イエレンは、今のところ、景気の様子を慎重に見ながら、2016年内に、あと3回程度の追加利上げを行う、としています。しかし、投資家たちはイエレンの言葉に疑心暗鬼になっています。連邦準備制度理事会(FRB)がマイナス金利を導入する可能性について、マネー運用のマネージャーとして30年以上の経験を持つベテラン、ビル・フレッケンシュタイン(Bill Fleckenstein)が明解な回答を与えてくれています。(『カレイドスコープのメルマガ』)
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マイナス金利導入の裏に隠されている国際決済銀行の罠
日銀「マイナス金利導入」は出来レース?
2014年6月5日、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が中央銀行としては初めてのマイナス金利導入を発表した時、日本の経営者の間で、静かなざわめきが起こりました。
その後も、ECBはさらに念押しするように、去年10月22日の理事会後の会見で、量的金融緩和の規模拡大やマイナス金利をさらに進める意向を表明したのです。
しかし、具体的に「量」として示されることはなく、代わりにマイナス金利政策が発表されたのです。
そうです、マイナス金利にすることが本当の狙いなのです。
そして、日銀も、今年1月29日の金融政策決定会合で、民間銀行から預かる当座預金に「マイナス金利」の導入を決定すると、日本の経営者たちの静かなざわめきは、大きなどよめきに変わったのです。
それは、彼らが、マイナス金利の本質を知っていたからではなく、「世界の金融市場で根本的な変化」が起こったことを悟ったからです。
マイナス金利は、すでに、スイス(-0.75%)、スウェーデン(-1.1%)、デンマーク(-0.65%)などで先行しており、すでに実態チェックが行われているのにしても、その効果が分かっているのは、「自国通貨の為替レートを下げる」ということだけです。各国の中央銀行は、まさしく未知の領域に足を踏み入れたのです。
確かに、日銀がマイナス金利導入を発表したとたん、いったんは円安に振れたため、日経平均株価は大きくリバウンドしましたが、すぐに息切れして、昨日、今日と、再び反落しています。
この主原因は、中国人民元の引き下げ懸念が再燃したことです。
去年、中国上海市場の暴落を受けて、中国金融当局が8月に、3日連続で人民元の引き下げを行ったことによって、世界市場は大暴落しました。
この1月、「中国人民元レートの引き下げ、ようやく停止」と報じたブルームバーグの記事を鵜呑みにしてしまった世界の多くの投資家たちは、「まんまとしてやられた」と臍を噛む思いでしょう。
なぜなら、ロイターが「(日銀の)マイナス金利決定の舞台裏」を仔細に報じているとおり、スイスのダボスで、マイナス金利を先行して導入したスイス、スウェーデン、デンマークなどの欧州各国と意見交換する用意が、すでにできていた可能性があるからです。
上の太字の部分を記憶しておいてください。
日銀の黒田東彦総裁は1月22日、スイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」に参加するため、あわただしく東京・日本橋本石町の日銀本店をあとにした。
複数の関係筋によると、黒田総裁はその直前、現行の量的・質的金融緩和(QQE)の継続を前提に「追加緩和の案を用意するように」と事務方に指示した。
26日に帰国した黒田総裁に提示されたのは、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」だった。
総裁は、これによって追加緩和の障害となっていた政策打ち止め感も払しょくできると判断。28、29日の金融政策決定会合で提案することが固まったもようだ。
2014年6月5日、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がマイナス金利の導入を宣言した後、スイス、スウェーデン、デンマークは、金融の実験国家として次々とマイナス金利の導入を決め、さらに日銀が、こうした国々の中央銀行と会合を開くというのですから、日銀もマイナス金利を導入する蓋然性が高まっていたことを中国は重々承知していたはずです。
言うまでもなく、これらの会合をお膳立てしたのは、1月22日のスイス・ダボスで開催された「ダボス会議」です。
ダボス会議とは、世界経済フォーラム(WEF:本部ジュネーブ)の年次総会で、グローバリストの億万長者、“屠殺人”の国際銀行家、経済的独裁者、その走狗である政治家・学者などが年に一度、親交を深めるための魅惑的な夜会です。
また、参加国の内部に配置されている共産主義者や社会主義者らグローバル勢のカウンターパートたちの集いでもあります。
クリントン政権下で国際貿易担当局の要職に就き、キッシンジャー・アソシエイトの元マネージング・ディレクターであったデビィッド・ロスコフは、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)の常連であり、政府や企業を率い、金融市場を動かし、メディアや宗教を通じて世論を誘導しながら兵力を動かすこれらの人々に、すっかり魅了されています。
ロスコフは、「スーパークラス(Superclass)」(副題のThe Global Power Elite and the World They Are Making, Library Edition/邦題では「超・階級 スーパークラス」)という本を書いて、その特権階級への自身の憧れを披歴しています。
安倍首相や甘利明経済財政再生相が、国会を放り出してでも出席しなればならない理由は、彼らが、世界支配層の一員でいつづけるために必要不可欠なことだからです。
Next: FRBのマイナス金利導入は、限りなく現実に近い仮説になってきた
FRBのマイナス金利導入は、限りなく現実に近い仮説になってきた
ロイターは、このことを報じた同じ2016年2月3日、「最悪のシナリオ」としながらも、「米連邦準備理事会(FRB)がマイナス金利を導入する可能性」を言い出したのです。
また、同日のブルームバーグは、「マイナス金利もシナリオに-16年の大手行ストレステスト」と題して、連邦準備制度理事会(FRB)が実際にマイナス金利を導入した場合、アメリカ銀行大手にどんな影響を及ぼすのかシミュレーションをやっていると報じたのです。
もっとも、2015年10月16日付けのロイターでは、「FRB、海外景気減速でマイナス金利も視野」と題して、利上げどころか、マイナス金利の導入を示唆する記事を掲載しているのです。
去年のこの時点では、連邦準備制度理事会(FRB)議長、ジャネット・イエレンは、「年内利上げ」の姿勢を崩しておらず、彼女が宣言したとおり、2015年12月16日、政策金利の引き上げを決定したのです。
悲観論が飛び交う中、なんとか利上げの約束を果たしたイエレンですが、同時にマイナス金利の含みを残しての利上げ第一弾でした。
イエレンは、今のところ、景気の様子を慎重に見ながら、2016年内に、あと3回程度の追加利上げを行う、としています。
しかし、投資家たちはイエレンの言葉に疑心暗鬼になっています。
連邦準備制度理事会(FRB)がマイナス金利を導入する可能性について、マネー運用のマネージャーとして30年以上の経験を持つベテラン、ビル・フレッケンシュタイン(Bill Fleckenstein)が明解な回答を与えてくれています。
(以下は、これに関して詳述しているメルマガ第128号「純粋な意味で『富』と言える金(ゴールド)によって身を守る」からの一部抜粋です。ブログのダイジェスト記事はコチラ)
……株式市場は、連邦準備制度理事会(FRB)による操作によってファウンダメンタルに関係なく上げ下げしていることから分かるように、彼らは、この市場を破綻させないことに専念している。
リセッション(景気後退)は迫っている。
その明確な何かのサインが出たときに、QE4(量的金融緩和の第4弾)、あるいは直接的なQE、あるいは、少なくともマイナス金利(NIRP)が設定されるはずだ。
……しかし、やがて、FRBがどんな政策を打とうが、そんなことでは市場を支えることができないことを見せつけられることになるが、そんなときでも、投資家たちは、相変わらず下げたところを買い続ける。株式市場が完全に動かなくなるまで……。
QE4(量的金融緩和の第4弾)は、債務上限引き上げを米議会に諮らなければできないので、米国内で、大規模なテロなどが起こらない限り、議会は承認しないでしょう。
「米国経済は、すでにリセッション(景気後退)入りした」と宣言してしていますから、「2016年中のあと3回の利上げ」は、いったん棚上げにし、残すはマイナス金利の導入が検討される可能性が現実味を帯びてきたということなのです。
つまり、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」という真逆のベクトルを持った金融政策を打ち出した日銀と同じように、FRBも、そう宣言せざるを得なくなるということです。
これについて、産経新聞の記事の見出しを見てください。
「米、追加利上げに不透明感 神経とがらすFRB」
日銀が「量的金融緩和」と「マイナス金利」という相対する政策をパッケージにして打ち出したことで、アメリカの景気の行方が不透明になったので、FRBが追加利上げに足踏みしている」という記事です。
日銀のマイナス金利導入のアナウンスは、確かに世界に衝撃を謳えました。
そして、わずか数日だけ、日本の民間銀行が日銀の当座預金に資金を置いたままにしておくと目減りするので、一部は国債へ、一部は株式投資に回るだろうという憶測から日経平均の爆上げとなりました。
同時に、マイナス金利を導入した国々で起こったように、自国通貨安=円安に傾斜したため、ドルが買い戻されたのです。
結果、世界中の投資家たちが懸念しているドル崩壊が遠のいたように見えたのもつかの間、再び円高基調に戻ってしまいました。
これを「日銀がFRBを救った」と見ている評論家がいるようですが、首をかしげたくなります。
FRBと日銀は、国際決済銀行(BIS)のレシピどおりにやっているだけです。それが、国際決済銀行(BIS)とつながっているダボス会議で示された、ということです。
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FRBの追加利上げに疑問を抱く投資家たち
ビル・フレッケンシュタインが言うように、もしFRBもマイナス金利を導入した場合、世界はガラリと反転します。
まさしく、大きな経済災害を正確に予測することで知られている“経済予測士”、マーチン・アームストロング(Martin Armstrong)が言っていたように、「(2015年の)10月、世界的なパラダイムの転換が起こった」のです。
(※メルマガ第118号「天才相場師が『この10月、世界的なパラダイムの転換が起こる』と警告している」に詳述)
この意味は、「マイナス金利は個人の預金には影響しない」と言っている日銀の黒田総裁の嘘と論破しながら、この記事の最後に書きたいと思います。それが結論です。
その前に、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事の抜粋を見てください。
FRBのフィッシャー副議長は「金利をマイナスにすることはできないと(長い間)考えていた」とし、そうすればお金を持っている人は銀行預金口座から現金を引き出し、借り入れコストの変動による影響を避けるだけだからだと説明した。
だが、FRBに追加利上げが可能なのか、投資家は疑問を抱き始めている。
その一方、世界的な景気悪化を背景に、米国の景気拡大は続かないとの懸念が高まっている。
一部では、政策金利が0.25%~0.50%に設定されている現在、FRBは再び景気悪化に直面した場合どうするのか疑問が浮上している。
「FRBのマイナス金利が現実味」と報じるロイターやブルームバーグに対して、ウォール・ストリート・ジャーナルだけは慎重です。同じシオニストのユダヤ資本が入っている米英の“ロスチャイルド新聞”は、二つの可能性を示して投資家たちを混乱させているのです。
一方、日本のメディアは、ロイターのこの記事をなぞっているだけで、さして参考にはなりません。
対照的に、週刊誌は、はっきり分かれています。
Next: グローバリストとは、どんな人々なのか
グローバリストとは、どんな人々なのか
ヨーロッパも、日本も、そしてアメリカも…日米欧三極委員会で世界は動かされている、ということです。
これらの日本側のカウンターパートは、外務省、経済産業省、財務省の「日米事務方同盟」と、ワシントン周辺のシンクタンクです。こちらの記事を読んでください。これが霞が関と永田町を本当に動かしている影の構造です。
アメリカの「利上げ芝居」の本質をズバリ言い当てている驚くべき記事が去年の10月の時点でアップされていました。「イエレンの心変わりとQE4。経済崩壊を先送りするたった1つの方法」という記事です。
サブタイトルは、「最初から利上げするつもりのないFRB、次は富裕層から金を巻き上げる?」です。
つまり、昨年来からの「FRBの利上げ観測」は、米欧のロスチャイルド・メディアが仕掛けた「やらせ」であるということです。マイナス金利の本当の目的は、日米欧同時にマイナス金利にして、北半球の先進国の人々の富を収奪してしまおう、ということです。
毎度毎度、大変恐縮なのですが、読み進めていくうちに、『MONEY VOICE』が私が書いた記事を紹介してくれたものであると分かりました。書いた本人が、ほぼ忘れかけているのですが、改めて読んでみると、一貫して同じ姿勢を崩さず書いてきていることが確認できます。
これから世界で、私たちが受け入れようが拒否しようが、どんどん進められていくことが、どんなことなのか。その背景と目的を知るためには「グローバリズム」の本当の意味を根本から理解することが大切です。
「グローバリズム」が本当に理解できれば、1年後、3年後、5年後、10年後、20年後に起こることが、大方のことは予測できるようになるのです。それに、どう対処し、準備すればいいのか、それこそは個人の考え方次第ということになります。
理屈で理解するのが難しければ、まずは数十万円の元手でネット・トレードをやってみればいいのです。体でグローバリズムを理解することができます。
まず、楽天証券に口座を作り、投資ツールのマーケットスピードをダウンロードしてください。月額使用料が自動引き落としされます。楽天証券が性に合わなければ、SBI証券でもいいのです。投資ツールはHYPER SBIです。ただし、両方ともロイターからの投資情報を基にすることになります。
あなたは、その時点で、すでに、いわゆるシオニスト・ユダヤの情報コントロール下に置かれるのです。
通称「板」と言って、パソコンのモニターに表示される銘柄の値動き(ティック)を見ながら、売り買いをします。一番投資効率がいいのは、上がる直前に、その兆候を発見して買いに入り、その銘柄の株価がもっとも高くなったところで売ればいいのです。
それができるのは、10人に1人しかいません。
その10人に1人は、売り買いする銘柄の企業にどんな従業員が働いていて、どんな消費者がその会社の商品を買っているのか、まったく関心を払う必要はないのです。必要なのは、株価が上昇するシグナルを敏感にとらえることです。
もちろん、その会社が、陰で反社会的な悪業を行っていることなど斟酌することなく、いつ買って、いつ売れば儲かるのか、だけに集中すればいいのです。
その10人のうちの1人は、それに徹して大きな利益を出すことができました。そして、その1人が儲けたことを知った他の投資家たちも、その銘柄を「お気に入り」に加えます。その人は、反社会的な会社の時価総額を上げることに貢献したのです。
そして、その反社会的な会社は、一部の自社株を市場で売却して得た資金で、さらに悪業を働くための子会社を設立したのです。
その10人のうちの1人は、何の痛痒も感じることがありません。そこに存在するのは「市場」と「利益」「投資効率」だけなのです。これが「グローバリズム」の正体です。
なんとなくイメージできたでしょうか。
「グローバリズム」とは、ヒューマンな要素をすべて排除してしまうのです。まさしく、山下達郎のBOMBERの歌詞の内容そのものです。
そして、現在のデイトレードは、人工知能によって行われています。相場というバーチャルな仮想空間で行われているのは、人工知能と人工知能とのバトルです。取引されているのは、これもバーチャルな虚しい実体のないペーパーマネーなのです。
最近は、これを規制しようという動きが出ていますが、なんと人工知能の投資プログラムが、果たして適正な売買をやっているのかジャッジするのも人工知能ということになれば、もうブラックジョークです。
だから、モンサントに投資したり、自分を盗聴しているFacebookやツイッター社の株式を売買したり、子宮頸がんワクチンをつくっているグラクソ・スミスクライン社の株式を将来の「有望銘柄」と推奨したり、パレスチナの子供を狙い撃ちするロケット弾や、広島、長崎に投下された核爆弾の製造メーカーにさえ、平気で投資できるのです。
これが「グローバリスト」と言われる人々です。そうした世界に身をやつす人々に共通しているのは「人間らしい感情が欠如している」ということです。それが、世界中に増殖してしまったのです。
Next: グローバリズムとはイデオロギーであり、共産主義のこと
グローバリズムとはイデオロギーであり、共産主義のこと
「グローバリズム」の正確な意味は、「国際主義」「世界政府主義」です。そう、「グローバリズム」とはイデオロギーであって、「貿易を促進して世界中の人々が必要なものを安く手に入れることができるグローバルな商業主義のこと」ではありません。それどころか、その真逆な結果をもたらします。
それを端的に言い表しているのが、竹中平蔵氏の「正規雇用が非正規雇用を搾取する構造になっている。正規と非正規の壁をなくさなければいけない」という発言。だから、「正規雇用をなくして、全員、非正規雇用にするべきだ」と言っているのです。
賃金格差や身分格差に囚われてしまうと本質が見えなくなってしまいます。
全員、非正規雇用にすれば、愛社精神や自分が作っている製品に対する愛着や責任感さえも喪失し、単なる「モノ」と「市場」だけの世界になります。投資のたとえ話で取り上げた「無味乾燥で色のない世界」です。
そうした世界での勝者は、人の痛みをまったく感じることのできない不感症のようなロボットなのです。
最終的には、「1%」と「99%」の酷薄な社会が訪れ、両者の間で革命が起こるか、あるいは「99%」すべてが淘汰され、残りの「1%」が、さらなる無色透明の世界を目指して分裂していきます。そして、再び、「1%」と「99%」に分かれ、最終的には自己淘汰するのです。
こうした世界のことを、なんと言いましょうか。「共産主義」です。
マルクスの虚構理論では、こうした格差のよって生み出される階級闘争は「共産主義」によって終焉することになっています。しかし、よく考えて見ると、ヘーゲルの弁証法とは矛盾するのです。「正・反・合」のスパイラルは、対立があるところでは永遠に続くのです。「共産主義」世界は、新たな闘争の始まりに過ぎないのです。
これが本当の意味の「グローバリズム」です。つまり、「共産主義の次の世界」を目指すイデオロギーのことです。
それは、誰も想像もできない世界…そう、最後に残った「グローバリズムの神様」である悪魔を信奉する者たちが死闘を繰り広げるという、これ以上ないほどの悍ましい世界のことなのです。
Next: グローバルなマイナス金利の狙いは、富裕層の徹底的な破壊
グローバルなマイナス金利の狙いは、富裕層の徹底的な破壊
黒田・日銀総裁は、4日午後の衆院予算委員会で野党議員の質問に「個人の預金金利がマイナスになる可能性はないとの見解」を示しました。
日銀総裁ともあろうものが、これほど大嘘を吐いたことは、歴史に刻まれるでしょう。
まず、日銀が量的金融緩和を続けてきたことによって、銀行預金の口座に預けてあるあなたの顔値の価値は、絶対的価値(たとえば金が本来持っている不変の価値)は、相当減価されてしまっています。
このことは、メルマガ第139号パート1「景気後退が加速する2016年からは金に主役が交代か!? 」の中で、金に対する各国の相対価値の変化を追うことによって証明しました。
これは、中央銀行が札束を印刷し続けてきたことによってもたらせされたものです。
そう、「中央銀行が札束を印刷する」…これは、政府が発行した国債を民間銀行が引き受け、さらに民間銀行から国債を中央銀行が買い取り、その代金として信用創造の下で印刷しまくった札束で支払っているのです。
それは民間銀行の紙幣ですが、法的に一定額を中央銀行の当座預金に預けておかなければならない仕組みになっています。その時点で、紙幣は増えているので、あなたの預金口座のお金の価値は希釈されてしまったのです。つまり、モノやサービスを購入する際の購買力がその分、減ってしまったのです。
金本位制度から切り離された通貨システムでは、銀行に預けたままにておくと、お金の価値が減ってしまうのです。
そうであれば、預金者は銀行になど自分のお金を預けなくなってしまうので、銀行は貸出資金を確保できなくなります。それを防ぐために、民間銀行は、運用して得た利息(運用益)の一部を、預金者に還元するのです。
人口が増え続け、経済が拡大しているプロセスにおいては、活発な資金需要が見込まれるので、銀行の運用益も増えます。預金者への還元も順調に行われ(金利の支払い)、中央銀行が札束を刷って市中にばら撒き、多少、お金の価値が希釈されても、預金者はもとが取れる程度にはお金の購買力を維持できていました。
しかし、先進国では、世界的な少子高齢化に突入しています。これ以上の経済の拡大は見込まれなくなってきました。
したがって、市場を人口増加の著しい発展途上国の市場拡大に求めるほかなく、ODAなどによって新しい市場開拓のために資金を投入してきたのです。それを欧米列強の「新植民地主義」と言い換えることもできます。
結論を先に言うと、すでに、ぱんぱんに膨らんでしまった金融市場は、これから世界のほうぼうで、パチンパチンと音を鳴らしてはじけていくのです。これを止めることは誰にもできません。
アメリカ、欧州、日本の巨大市場は、それを必死になって食い止めようとしているのです。それが、最後の肉の策「マイナス金利政策」なのです。
しかし、この3つの巨大市場が破裂するのは時間の問題です。
それでも、少しでも史上最大の金融市場の崩壊を引きのばそうと、ばんぱんに膨らんでいる株式市場、債券市場を流動化(売買が一定以上行われる状態)されせため、さらにこれらの市場に資金を入れようとしているのです。
日銀は、民間銀行の資金を預かる当座預金を3段階に分ける階層構造方式を導入すると発表しました。いきなり、当座預金残高の全てにマイナス0.1%の利率を適用すると、金融機関の経営に負担がかかるため、すでに預けてある分については、今後もプラス0.1%の金利をつけることを約束しています。
それでも、民間銀行は、発表と同時に国債購入に殺到したのです。これは、日銀の目論見と逆の現象です。
つまり、この3階層構造も、いつまで続くか分からないと、民間銀行は日銀の当座預金から資金を引き出して、それで国債を買い漁っているのです。国債ならほんのわずかでも金利がつくからです。
国債の価格と利回りとの関係は逆相関の関係があります。
国債の需要が増えたことによって国債の金利は低下します。そのことによって、政府は国債の利払いが減るので、政府の資金調達コストが低減されます。金利が低く抑えられているので、政府はさらに赤字国債を増発しようとします。
そして、民間銀行は、その国債をがぶ飲みするように、再び買い入れるのです。
これは、さらなる国債バブルを生みだし、日銀が「マイナス金利幅を引き上げることもありうる」と言っている以上は、民間銀行は日銀の国債の買いオペ(応札)をしぶり、民間銀行に国債が溜まったままにになってしまう危険があります。
これは、国債の流動化を阻害することにつながり、いずり国債バブルは破裂します。そのときの規模は、私たちの想像を絶するものになるはずです。
日銀のマイナス金利導入は、結局、民間銀行を自滅させる政策以外の何者でもなく、ひいては日本の金融システムを根底から破壊することになるでしょう。
そして、もし、連邦準備制度理事会(FRB)も、欧州中央銀行(ECB)、そして、日銀に続いて、マイナス金利を採用することになれば、その規模は地球規模の大崩壊を招くでしょう。世界の中央銀行をコントロールしている国際決済銀行(BIS)の隠された狙いが、そこにあるのです。人々の銀行口座は、そのとき、すっからかんになるはずです。
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