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韓国存亡の危機。日米中ロ北の四面楚歌状態で韓国経済の息の根が止まる=斎藤満

日韓対立が激化しており、大袈裟ではなく韓国は存亡の危機にあります。日本と争うだけでも危機的な負担ですが、それ以外の問題も同時に数多く抱えています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年8月5日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

韓国の報復措置で、韓国自身がピンチに?さらに米国も韓国を非難

日本株にも追い打ち

週末金曜日の東京株式市場は、まさに「三重苦」の下げに見舞われました。

4〜6月期の企業決算がやはり芳しくなく、銀行証券・化学・機械関連で業績悪化が目立ち、株価を圧迫していました。木曜にはトランプ大統領がFRBに追加利下げを促すため、突然中国の残り3,000億ドル相当の製品に10%の制裁関税を上乗せすると言い、ダウはニュースの前後で一気に500ドル近く下げ、リスクオフの円高が発生しました。

そこへ追い打ちをかけるように、日本政府が閣議で韓国をホワイト国から除外することを決め、予想通り韓国から強い反発を招くとともに、インバウンド需要に期待する分野などで警戒感が強まりました。

日本株にとっては、業績悪化・米中貿易戦争で苦しいところへ、後ろから日韓関係の悪化で蹴飛ばされた感があります。

しかし韓国はさらに大きなリスクを抱え、危機を迎えたことになります。

高飛車な姿勢が反韓ムード助長

今回の日韓関係のこじれには、韓国の計算違いが見て取れます。

いくら高飛車に出ても、日本は決して怒らないとの読みがあり、北朝鮮問題優先のなかで、日本を無視してきました。

しかし、半導体部品の輸出取り扱いや韓国に対するホワイト国の適用除外は、日本政府の建前は「安全保障上の問題」で内政問題としていますが、実際には韓国の度重なる「非礼」に堪忍袋の緒が切れた点にあります。

慰安婦基金の勝手な解約、自衛隊機へのレーダーの照射事件、天皇への謝罪要求、元徴用工問題と、度重なる「非礼」が韓国への信用を失墜させ、これが正されない限りは、仮に韓国が貿易管理をきっちりしたとしても(その可能性はないのですが)、ホワイト国待遇を続けることは、国民世論が反発します。

安易に妥協すれば、安倍政権の支持率が低下します。

そこを理解しない韓国が、今の安倍政権に倣って、自分の非を認めず、すべて相手国日本の問題に転嫁し、これまで以上に高飛車に出た結果、日本の反韓ムードをいやでも高めてしまいました。

国民の9割がホワイト国から韓国を除外することに賛成し、日本が譲歩すべきでないとの声が優勢になっています。

韓国経済の息の根が止まる

日韓関係の悪化は、確かに日本経済にも負担となります。韓国では日本製品の不買運動が広がり、日本への旅行も急減しています。これを当てにしていた日本の観光地、百貨店などはインバウンド需要の減少を余儀なくされ、韓国向けの輸出も減ることになると見られます。

半面、韓国では反日ムードの高まりで苦境にあった文政権の支持率が急回復し、ますます日本に強硬姿勢を強めています。

しかし、韓国の経済基盤は「底辺」が弱く、頭でっかちの構造になっていて、日本が手を引くと韓国経済は回っていかない構図になっています。

長い目で見れば韓国が自立する「チャンス」ではありますが、日本からの部品を止められると、半導体も自動車も行き詰まります。

おまけに、輸出信用状(L/C)を日本のメガバンクに出してもらってる状況で、日本がL/Cを止めてしまえば、韓国は輸出できなくなり、経済は息の根を止められます

Next: 韓国の報復措置でダメージを受けるのは韓国自身?さらに米国も韓国を非難



韓国の報復措置

そこで韓国内には報復措置として、今月24日に期日を迎える日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)を延長しない、との案が提示されています。しかし、これは韓国にとっても大きなリスクになります。

韓国は日本の衛星やイージス情報に依存し、またこの協定がなくなれば、米国は在韓米軍を置いておく必要がなくなり、米軍の引き揚げが早まります

また韓国の外相が米国の支援を求め、これに対しポンペイオ国務長官が仲裁の意向を示唆したと報じられましたが、トランプ大統領とポンペイオ国務長官、ボルトン補佐官との間には溝がありそうで、安倍総理、菅官房長官は「そのような事実はない」として、2日に済々とホワイト国から韓国を除外しました。

これに対してトランプ政権からはここまで批判は聞かれません

米国、WTOの「途上国待遇」を批判

日本と争うだけでも韓国には危機的な負担となりますが、韓国はそれ以外の問題も同時に数多く抱えています。

その1つが、トランプ政権によるWTO(世界貿易機関)への韓国優遇停止勧告です。

WTOはいまだに韓国や中国を「発展途上国」として、特別に高率の輸入関税を認め、両国の経済を保護しています。

これにトランプ大統領が噛みつきました。すでに世界でも有数の豊かな国になった韓国や中国に対して、「途上国特別待遇」は止めろ、というもので、WTOが止めなければ、米国がこれに代わって韓国、中国の関税を引き下げさせる、と言っています。

韓国は自国の農業を守るために、輸入コメなどに500%以上の関税を課しています。

こうした恵まれた環境が、トランプ大統領によって崩されようとしています。少なくとも米国は韓国・中国に対して「もはや途上国特別待遇はしない」と言っています

Next: 米国を取るか中国を取るか。選択を迫られる韓国/韓国は存亡の危機にある



米国を取るか中国を取るか

さらに韓国は、米国に支援を求めた際、トランプ政権から「踏み絵」をさせられています。

つまり、韓国は最後には中国をとるのか、米国をとるのか、の姿勢を問われています。

現に、米国にすがりに行く前には、中国にすり寄っていました。しかし、韓国を信用しない中国が色よい返事を見せなかったことから、今度は米国に頼ったわけです。

米国は中国と「新冷戦」を展開しようとしています。習近平国家主席とは、個人的に「友人」であっても、冷戦を戦う国であり、韓国はその中国の同盟国になりたいのか、米国の同盟国に留まるのか、態度をはっきり示せ、と迫ったことになります。

できれば両方とうまく付き合いたい韓国には、苦しい選択となります。

北朝鮮主導の統一も

そして最後のよりどころと見る北朝鮮が韓国の文大統領を裏切るリスクがあります。

このところの北による短距離ミサイルの発射実験は、明らかに韓国への牽制と見られます。北は米国の支援を得て、北朝鮮主導の「新コリア」建設を考えている模様で、在韓米軍、並びにその家族は38度線から離れ、ソウルよりも南に移動しています。

さらに在韓米軍が引き揚げた後に、北が南進し、半島を統一する可能性があります。

韓国(南朝鮮)は消滅することになり、その場合は韓国からの移民難民が日本に押し寄せる可能性も出てきます。福岡や新大久保だけでは受け入れしきれません。

韓国は存亡の危機にあることを認識すれば、日本にケンカを売っている場合ではありません。日本も火遊びを続ければやけどを負います。

Next: 北朝鮮・中国・ロシアが狙っている?日韓共倒れは避けよ



日韓共倒れは避けよ

日本からすれば韓国の「非礼」連発に堪忍袋の緒が切れたのでしょうが、かつて日本に侵略されたとの怨念が強い韓国には、これまでの非礼を顧みる余地はますますなくなり、再び日本に侵略されるな、悪いのは日本の侵略主義だと反日感情を高め、国がまとまりつつあります。

その間に、日韓には北朝鮮・中国・ロシアがチャンスとばかりに両国を攻め込んでいます

日本も東シナ海、北方領土が中ロに脅かされつつあります。外交交渉が通じないと、韓国の非礼を安全保障問題にすり替えたために、GSOMIAの延長がなされない可能性が出てきました。

そうなると東アジア地域の安全保障がにわかに脅かされ、日韓が共倒れするリスクが出てきます。歴史認識問題を抱える両国に、理性・道理での解決は容易でありません。

米国の作家、ジョシュ・ビリングスは「許すことほど完璧な復讐はない」と言っています。日本は落としどころを見つけつつ、大人の対応が必要と思われます。

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【関連】経財白書まで忖度。非正規雇用の増加、日本的経営の破壊は安倍政権の功績なのか?=斎藤満

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2019年8月配信分
  • 韓国存亡の危機(8/5)
  • FRBの支配権をめぐる争い(8/2)

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マンさんの経済あらかると』(2019年8月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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