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イギリスの「危険な賭け」 EU離脱(Brexit)にマーケットはどう反応するか?

英国がEUを離脱するかどうかが大問題になってきました。この6月に英国で国民投票が行われます。これまでは大騒ぎしながらも、最後はEUに留まると高を括っている人が大半でしたが、ここにきて雲行きが少し変わってきました。(「プロが教える投資信託運用術」

イギリスの欧州連合離脱に現実味、6月23日国民投票へ

ジョンソン・ロンドン市長「英国はEUを離脱するべき」

ギリシャ問題は何も終わっていないながらも、とりあえず小康状態が続いていますが、今度は英国がEUを飛び出すかどうかが大問題になってきました。

Brexit(ブレキジット)」とは、英国(Great Britain)が、欧州連合(EU)から離脱する(Exit)ことを表現した造語です。

いよいよこの6月に英国で選挙が行われます。これまでは大騒ぎしながらも、最後はEUに留まると高を括っている人が大半(筆者もその一人)でした。

しかし、ここにきて、雲行きが少し変わってきました。

EU残留派のキャメロン首相の盟友、ジョンソン・ロンドン市長が、「離脱するべき」と意見表明したからです。

また、混迷化した要因の一つが中東からの難民受け入れ問題のため、人々の感情は、なおさら複雑といえます。

結果予想は、非常に難しいですが、仮に離脱が支持された場合には、金融街シティーに本社や欧州の拠点を置く巨大金融機関に混乱が起きるかもしれません。

英国とドイツ、フランスなどという言い方をしますが、こと金融という分野に限っては、ロンドンと、フランクフルトやパリなどとの機能は比較にもならないからです。

ただ、為替レートに関しては、ポンド安になったとしても、あまり影響は大きくないと思われます。ポンドという通貨は、固定相場時代に、切り下げにつぐ切り下げを繰り返したという歴史から、現在では、あまり貿易決済には使われていません。

ポンドは米ドルとほぼ1対1になりかけた80年代から立ち直り、リーマンショック直前の1ポンド =2米ドルの時代を経て、今の1ポンド=1.4米ドルぐらいの状態になっています。

従って、仮に1ポンドが1.3米ドルくらいの「ポンド安米ドル高」になったからといって、大騒ぎするようなことではないのです。

とはいえ、ビジネスの世界では、そうはいきません。金融はもちろん、英国に欧州の拠点を持つ製造業が沢山あります。その逆の、大陸から英国への物の出入りも沢山あります。

またポンドはともかく、ユーロがどれくらい下落するかは重要な問題です。欧州経済の行方を見る意味でも6月23日の英国の投票は、注意深く見守りたいと思います。

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「リーマンショックの亡霊」に怯える市場~乱高下はいつまで続く?

新年早々、株式市場に限らず、いろいろな相場が乱高下しています。そして、その動きは今に至るまで止まっていません。

日本の株式市場で日経平均500円安とか、350円高とか聞いても、あまり乱高下しているようには感じられず、感覚が麻痺してしまったようです。

このように乱高下が続く最大の原因は、リーマンショック以降、各国で採用された超金融緩和政策です。とにかくどんな手段を使っても、市場へ現金をバラまいて、お金を使ってもらうという緊急手段です。

緊急手段という割には、あまりにも長い期間ではありますが、他に手立てがなかったとも言えるでしょう。

そして、実はもう一つ「リーマンショックの亡霊」とでも言うべき現象があります。

それは、「巨大金融機関への規制」の問題です。経済を立ち直らせる為の財政出動や超金融緩和政策がとられる一方で、「なぜ巨大金融機関を、税金で救わなければいけないのか」という議論が巻き起こりました。

結果論だけで考えれば、リーマンブラザース1社でもあれだけのインパクトがあったのですから、AIGやモルガンスタンレー、メリルリンチ等が万が一、一緒に潰れていたら、未だに世界は大恐慌の真っ最中だったでしょう。

その代わり、金融機関を監督する立場の人は周りの意見も聞いて、巨大金融機関への注文も忘れませんでした。簡単にいえば、
「本業以外に、余計なリスクをとるな!」
「リスクを取る時は、十分すぎるほど自己資本を厚くしろ!」
というものです。

これはこれで、まっとうな意見です。

但しその分、金融・資本市場での緩衝材的な役割を果たす存在が、いなくなってしまいました。落ちた時に買い向かう動きとか、急上昇した際に「上がりすぎだよ!」といって、売りにまわる人達です。そういう相場の乱高下を鎮める人たちがすっかりいなくなってしまったのです。

よく日本の株式市場が荒れた時に「海外勢が…」という解説を耳にします。日本株を扱う外国人たちの懐が、急に何十倍にも膨らんだわけでもないでしょう。

もちろん自民党政権が復活して以来、それまで見向きもされなかった日本株への投資が、再び戻ってきたという側面は見逃すことができませんが、荒れているのは、日本に限らず世界中の様々な相場です。

世界の巨大金融機関が自分でリスクをとることを控えめにせざるをえなくなってから、相場の変動率は明らかに高くなっています。

この傾向は今後も続くはずです。あまり先行きに重要な意味を持たない報道にも反応して、いろいろな相場がごく短期的に乱高下する現象は、これからも続くと考えられます。

【関連】北朝鮮とヒラリー、ゴールドマンを結ぶ点と線~半島有事は近いのか=高島康司

「プロが教える投資信託運用術」』(2016年2月24日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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