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文在寅に突き刺さる2つのブーメラン、側近スキャンダルと反日煽り過ぎで支持率急降下=勝又壽良

ついに韓国・文在寅政権の不支持が支持を上回りました。側近の裏口入学スキャンダルと、反日やりすぎによる経済低迷が響いています。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年9月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

日本の「経済制裁」だと猛反発したのに、実際は影響がなく窮地に

文在寅大統領の側近中の側近にスキャンダル

文在寅(ムン・ジェイン)政権は、側近中の側近と言われる法務部長官候補、曺国(チョ・グク)前大統領府民情首席秘書官のスキャンダルで足下を洗われています。

曺氏にまつわる疑惑はいくつかありますが、最も国民感情を逆なでしているのは娘の大学不正入学疑惑です。高校3年生で、大学医学部論文の筆頭筆者として名を連ねたからです。

「筆頭筆者」とは、その学術論文を主としてまとめたという意味です。高校生の身分で、大学医学部論文の筆頭筆者になり得るはずがありません。この論文によって、娘が高麗大学という韓国で「四天王」とされるトップクラスの大学へ、無試験入学できたのです。

韓国の大学入試は、競争率と質の高さで異常なほどの関心を呼んでいます。前記の「四天王」クラスの受験生は、高校2年レベルで東大入試問題をクリアするというほど。1日の受験勉強は20時間に近いと言いますから、常識を外れています。

昨年春、ソウル大学へ入学できた学生が、入学から1週間後、なぜか飛び降り自殺した事件がありました。これに悲嘆した家族(両親と妹)が、相次ぎ自殺するという悲劇が起こっています。韓国の大学受験は、これほどの悲劇と裏腹のところで行われる狂気とも言えるでしょう。

過激な受験競争の世界である韓国で、ソウル大学教授を父に持つ娘が、親の七光りで高麗大学へ無試験入学とは、あまりの優遇で卒倒するほどでしょう。

このスキャンダルは、他の投資問題と絡んで韓国検察から強制捜査が入りました。約20カ所の家宅捜査です。関係者2人には出国禁止命令が出されました。事件化するまでに出国した2名にも帰国要請が出されました。

これだけの捜査態勢が敷かれている以上、文大統領は曺氏を法務部長官候補として指名し続けるのか、大きな曲がり角に立っています。

前大統領・朴槿惠氏も同様のスキャンダルで支持を失った

文在寅氏にとって頭の痛いのは、前大統領の朴槿惠(パク・クネ)氏と長年の友人であった崔順実(チェ・スンシル)氏の娘が、大学不正入学で国民の憤激を買った事件と似通っている点です。

前大統領の事件で、文氏は当時の野党代表として朴政権を厳しく非難しています。今度は、文氏の最側近で同様な事件が起こったのです。

まさに、ブーメランに見舞われました。ダブルスタンダードは許されません。崔氏の娘の不正入学を非難攻撃し、自らの最側近では「不問」とはいきません。

文氏が、得意とするフレーズの「国民感情が許さない」のです。 

Next: ついに不支持が支持を上回った/なぜ文在寅は歴史問題をほじくり返す?



文在寅政権、ついに不支持が支持を上回る

現に、これまで文大統領を支持してきた中道派は、今回の法務長官候補のスキャンダルで嫌気が刺し、顕著な「支持離れ」を見せています。

韓国ギャラップ調査(8月27日発表)によると、今月20~22日実施した世論調査で、文大統領に対する中道層の国政遂行支持率は43%。直前の調査だった8月第2週(50%)より7%ポイントもの急落となりました。否定評価は同期間43%から50%へ7%ポイント上昇したのです。

20代と50代、地域では首都圏中道層の離脱が目立つと指摘されています。

20代は、生々しい受験競争の経験が生きています。50代は、受験生の子どもを持つ親の世代です。首都圏中道層が多いのは、大学入試が最も身近な世代が住んでいるので、今回のスキャンダルで敏感に反応したのは、合理的説明が可能です。

文政権発足当初と現在までの中道派支持率推移を比較しますと、中道層離脱で劇的な変化が起こっています。政権発足時には、多くの期待を寄せた「御祝儀」でした。それが、最低賃金の大幅引上げによる失業者増加で、期待感が薄れて昨年12月では 支持・不支持が拮抗しました。最近時の調査では不支持が支持を上回るという逆転が起こっています。

     17年6月第1週   18年12月第3週   19年8月第4週
 支持率:87%       40%         43%
不支持率: 5%       40%         52%

与党や野党を支持しない、無党派層の支持率変化は中道派よりも厳しく、次のような変化を見せています。

     17年6月第1週   19年8月第4週
 支持率:63%       18%

以上のような、中道派と無党派の文政権支持率変化から何がわかるでしょうか。

文政権は、今年5月で就任3年目を迎え、これまでの「期待値」が「現実値」に変わる時期という点を考慮するとしても、法務部長官候補のスキャンダルが、娘の不正入学から資産形成を含む広範囲であること。さらに、次期大統領候補と取り沙汰されてきた失望感も加わって、文政権の受けた打撃は大きなものがあるようです。

なぜ文在寅は歴史問題をほじくり返す?

文政権は、民族主義を鮮明にしています。南北統一を政治の最終目標にしていることからもわかるように、日韓問題は統一へ向けた国民意識をテコ入れする手段程度にしか見ていません。

その証拠に、繰り返し日韓併合時代の「歴史問題」をほじくり返しています。日本を危険な存在と敵視して南北が統一することで、この「危ない日本」と対抗するという意識です。

日本が、韓国への半導体製造3素材の輸出手続き強化を始めた7月以降、文大統領は感情にまかせて「日本対抗綱領」を喋ってしまいました。南北統一を足がかりにして、日本へ対抗する青写真を描いていることが明白になったのです。

Next: 「日本の経済制裁だ」と猛反発したのに、実際は影響がなく窮地に



「日本の経済制裁だ」と猛反発したのに、実際は影響がなかった

文氏は、1つ重大なことを見落としています。南北統一には、「憎い」日本の協力が必要なことです。文氏が、アマチュア政治家と言われるゆえんはここにあります。

文大統領が、現状判断で見誤った点も多くあります。

日本が、7月から始めた半導体製造3素材の輸出手続き強化によって、韓国経済が大きな影響を受けるという判断でした。現実には、日本からの輸入はさほどの変化がなかったのです。

韓国産業通商資源省が9月1日に発表した8月の輸出入動向によると、対日輸出は前年同月比で6.2%、輸入は同8.2%それぞれ減りました。日韓貿易は、これまでも米中貿易摩擦激化などの影響で減少傾向にありました。8月も同様の傾向が続いています。

日本は、7月から半導体材料3品目の輸出管理を強化していますが、韓国は「いまのところ大きな影響はない」と分析しているのです。

日本の「経済制裁」と声高に主張してきた韓国政府は、100%当てが外れたのです。大きい影響が出れば、日本批判を世界中に吹聴する予定だったのでしょう。

日本軽視が招く韓国経済衰微

韓国政府は、日本の経済制裁の恐怖感を国中に拡散し、積極的に「不買運動」を薦めてきました。

それが、国内の消費者心理を悪化させるという予想外の展開になっています。「憎い日本へ旅行するな、日本製商品を買うな」という呼びかけが、韓国の消費者心理を急激に悪化させたのです。

これが、個人消費を痛撃するはずです。すでに小売販売高にマイナス影響が出ています。GDPの成長率を引き下げるのです。

次に、韓国銀行発表の「消費者心理指数」の悪化を見ておきましょう。数値で100以上が消費心理拡大、以下は消費心理縮小と判断されています。データは、『ブルームバーグ』(8月27日付)を引用しました。

<消費者心理指数推移>

2017年1月:92.4
2017年2月:93.6
2017年3月:96.0
2017年4月:100.6
2017年5月:107.6
2017年6月:110.8
2017年7月:110.9
2017年8月:109.6
2017年9月:107.3
2017年10月:108.8
2017年11月:112.0
2017年12月:110.6

2018年1月:109.9
2018年2月:108.1
2018年3月:108.3
2018年4月:107.0
2018年5月:107.9
2018年6月:105.4
2018年7月:108.8
2018年8月:98.9
2018年9月:100.0
2018年10月:99.2
2018年11月:95.7
2018年12月:96.9

2019年1月:97.5
2019年2月:99.5
2019年3月:99.8
2019年4月:101.6
2019年5月:97.9
2019年6月:97.5
2019年7月:95.9
2019年8月:92.5

上記のデータを見て大きな特色を指摘できます。

1)2017年1~3月は、朴政権弾劾で韓国中が政治的に不安定化したことです。韓国は、政治的な危機に陥ると、消費者心理が悪化する傾向が強いのです。

2)弾劾が決まった17年4月以降は、新政権への期待感によって消費者心理が好転していく様子が窺えます。100を回復するからです。

3)18年10月以降は、再び100を割ります。最低賃金の大幅引き上げが、失業者を増やして雇用条件悪化で不安心理は高まります。

4)19年7月以降は、日韓関係悪化が政治的不安心理を煽っています

Next: 韓国は決して変わらない?政治不安が韓国消費者を萎縮させる



政治不安が韓国消費者を萎縮

韓国の消費者心理は、政治的不安が大きく響くという特色があります。

これは、朝鮮半島が近隣国による勢力争いの舞台にされて来たという歴史要因がDNAとなっているものと見られます。心理学でいう「集合的無意識」によるものでしょう(筆者注:集合的無意識とは、人間の心の深層に、われわれの祖先が経験してきたものが遺伝してきているとするユングの考え方です)。

となれば、この状況から簡単に抜け出すことは不可能です。日韓関係が悪化している限り、韓国の消費者心理は回復せず、個人消費は停滞すると見るほかありません。

文政権が、反日運動を煽っていること。また、日本が韓国を「ホワイト国除外」扱いにしている限り、韓国の個人消費は停滞を余儀されるという「宿命」を負っています。

韓国は、不買運動を続ければ続けるほど、「集合的無意識」によって韓国国内の消費を減らすという矛楯した結果を招きます。

反日の不買運動が韓国製品の売り上げも落とす悲劇

韓国メディアは、不買運動で日本商品の売り上げを減らしたと得意げに報じています。

これは間違いです。日本商品を買わなくなった反面、韓国製の商品も買い渋っているのです。韓国は「集合的無意識」によって、政治的不安が起これば消費を引き締めるパターンが定着しています。文政権はこの事実に早く気付くことが大事です。

米韓関係まで危うくなってきた

現在、韓国政府は日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄し、日韓関係をさらに不安定化させるだけでなく、米韓関係まで損ねる恐れが出てきました。

これは、韓国の安全保障を根本から揺るがす問題になります。当然、韓国の消費者心理を悪化させます。

こう見てくると、文政権はあまりにも民族主義に固執し、日米関係を揺るがせている以上、韓国経済の基盤は不安定化せざるを得ません

Next: 孤立する韓国。米国の批判に「国益は、同盟国の利益に優先する」と反論



政策ミスで経済的に自滅していく

韓国のGSOMIA破棄によって、日韓関係だけでなく、米韓関係も軋みを見せています。

米国が、韓国に向けた批判に対して、韓国大統領府は次のように反論しています。「国益は、同盟国の利益に優先する」と。同盟国の利益は、国益の前にその位置を譲るというのです。

国益最優先論は、同盟国から見れば、なんとも頼りにならない韓国に映ります。韓国大法院が、日韓基本条約を骨抜きにした判決を出したり、韓国政府が日韓慰安婦合意を破棄したのも、すべて同じ論法によるものです。

こういう韓国では、ますます外国と摩擦を引き起こして、政治的不安定状況を自らつくり出し、経済的自滅型コースを歩むものとみられます。

韓国の政治的な失敗が、経済を不安定化させているのです。

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2019年9月配信分
  • 文在寅の内憂外患 側近スキャンダルと日韓危機で経済不安が深刻(9/2)

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勝又壽良の経済時評』(2019年9月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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勝又壽良の経済時評

[月額864円(税込)/月 毎週木曜日(年末年始を除く)予定]
経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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