マネーボイス メニュー

日経平均は戻りメド1万7600円、下値1万5600円~「理論株価」最新分析=日暮昭

3月4日の日経平均は1万7014円と大台を回復しました。ここ1ヶ月あまりの回復は顕著ですが、果たしてこの先もこの急速な回復基調は続くのか?「理論株価」の考え方に基づいて足元の株式相場の位置づけを評価します。(『投資の視点』日暮昭)

筆者プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

2/12の安値1万4952円から2062円(13.8%)反発、戻りのメドを探る

急速に理論株価に立ち返る日経平均

3月4日の日経平均は1万7014円と1万7千円台を回復しました。

2月12日に1万4952円と1万5千円台割れとなってから1ヶ月あまりでの回復は顕著です。この間の日経平均の上昇幅は2062円、率では13.8%となります。

年初からの荒い値動きに目を奪われると、果たしてこの先もこの急速な回復基調が続くのか、続くとすればどこまで上昇するのか、あるいは急回復したことの反動が一気に来る場合としたら相場はどこまで下げるのか、といった判断はなかなか難しいのではないでしょうか。

こうした時に当マガジン、「理論株価で測る相場の位置づけ」がご参考になるものと思います。

日々の相場の値動きから一歩退いて下の図1をご覧下さい。

図1:日経平均と理論株価の推移―2014年1月6日~2016年3月4日―

図1は一昨年の年初から直近の3月4日までの日経平均と理論株価の動きを示したものです。図から日経平均は理論株価を中心に上下に変動していることが分かります。

すなわち日経平均は一定の幅で理論株価から離れると理論株価に立ち返ることを示しています。

足元の3月4日では日経平均の1万7014円に対して理論株価は1万7644円、かい離の幅は630円、率では3.57%となっています。

では、日経平均がどの程度理論株価から離れると理論株価に回帰するのでしょうか。そのメドを示すのが図2です。

図2:日経平均と変動範囲の上限・下限―2015年8月3日~2016年3月4日―

図2は対象期間を昨年の8月以降に絞り、日経平均と理論株価をもとに求められる日経平均の通常の変動範囲と変動の限界の位置を示します。

日経平均は紺色の線で、通常の変動範囲は緑色の線、変動の限界の位置は赤色の線で示されています。

図から、昨年の8月以降で日経平均が赤線の変動の限界値を超えたのは3回、すなわち、昨年のチャイナ・ショック時の9月29日、今年の1月21日、そして2月12日です。

いずれの場合もその直後に日経平均は急反発し緑色の線である通常の変動範囲に戻っていることが分かります。

今回は2月15日に反発して限界領域を脱したあと、3月2日に緑線の通常の変動範囲に戻りました。こうした動きを実際の数値で捉えるのが表1(次ページ)です。

Next: 日経平均は当面は安定期、1万7600円~1万5600円が妥当水準に



日経平均は当面は安定期、1万7600円~1万5600円が妥当水準に

表1は直近の1週間(5営業日)について日経平均と通常の変動範囲、変動の限界の値を一覧表にまとめたものです。通常の変動範囲、変動の限界ともに上側と下側で示しています。もっとも近時はもっぱら下側が注目ですね。

表1:直近5日間の日経平均と変動の範囲―直近日:2016年3月4日―

ここでは2月29日から3月4日までの5営業日の値をまとめています。

この表で右端にある「かい離率」が通常の変動範囲と変動の限界値を決めるカギとなります。詳しくは下段の[理論株価とは]にある、『資産運用のブティック街』のうちの「理論株価で測る相場の位置づけ」をご覧ください。

直近では変動の下限はマイナス10.7%、通常の変動範囲の下側はマイナス5.75%となっています。足元のかい離率は3.57%と5.75%の内側となりますので通常の変動範囲内に収まっているわけです。

さて、こうした理論株価に基づく相場の位置づけを今後の相場展望につなげると次の3つの見方が可能です。

  1. 日経平均は通常の変動範囲に戻ったので当面は安定期に入りしばらく落ち着いた動きが続く
  2. 日経平均は足元の回復基調をそのまま維持して理論株価に回帰していく、その場合の目標となるメドは理論株価の1万7600円程度
  3. 外部環境の悪化等でリスク回避志向から再び下げ基調に戻る、下げ局面が続いた場合の下値のメドは変動の下限の1万5600円程度

当メルマガは相場見通しが難しい時にこうしたシナリオを立てる根拠としてご利用できますますので、相場判断の材料として頂ければ幸いです。今後ともご愛読のほどよろしくお願いいたします。

[理論株価とは]

「理論株価」は株式相場の位置どりを客観的に評価することを目的に、業績と為替で日経平均の水準を評価する指標です。この指標は個人向けの投資学習サイト「資産運用のブティック街(bCAM)」で相場の妥当な変動範囲を判断するコーナー、「理論株価で測る相場の位置づけ」で使われる指標で、日次ベースで更新、公開されています。同コーナーでは「理論株価」の具体的な求め方、意味についても紹介しています。当メルマガと合せて『資産運用のブティック街』をご覧いただくことでより確かな相場評価のご参考にしていただければ幸いです。

【関連】ECB、日銀、FRBは3月に動くのか?追加緩和と利上げの可能性は=久保田博幸

投資の視点』(2016年3月5日号)より一部抜粋

無料メルマガ好評配信中

投資の視点

[無料 週刊]
「投資の視点」はより実践的な株式投資の力をつけるための講座に衣替えしました。真に投資の力をつけるには以下の3つの要件が必須です。(1)中立の立場(2)実務の専門家(講演の専門家ではない)(3)もれのない講座体系大手経済新聞社OBを中心に、ファンドマネージャー、チャーチスト、財務分析とポートフォリオ運用の専門家が集結してこれらの要件を満たす講座を立ち上げました。講座は「資産運用のブティック街」として、市場の切り口、テクニカル分析、企業の財務、ポートフォリオ戦略―の4つのテーマに整理・提供いたします。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。