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日経平均はピーク、予想を上回った米雇用統計を無視して「円高」再開だ=長谷川雅一

先週末の日経平均は今年初の4日続伸となり、17,014円で引けました。日経平均株価は、2月8日に17,004円で引けて以来、17,000円の下で低迷していましたが、ほぼ1ヵ月ぶりに17,000円の大台を回復したことで、株式相場に安堵感が漂っています。

日経平均は、2月15日から3月1日まで「横ばい」でした。この横ばいのあと、レンジを下に抜けて下落する可能性もありましたが、2日にレンジを上に抜けたことで買いに勢いがつき、17,000円に到達したという状況です。

要するに、この上昇は「株式相場の強さ」を表すものではなく「株式相場の不安定さ」を表すものだと見ておいた方がいいだろう、というのが僕の考えです。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

日経平均はテクニカル的にほぼピーク、これ以上の上昇は難しい

月曜以降「もみあい」から下落に転じる可能性大

今回の上昇局面では、おそらく政府の買い支えもかなりあったのではないか、と思います。

ちなみに、安倍総理は常に、日経平均株価と為替(米ドル/円)を気にしており、国会の審議中にも、事務方が、株価や為替レートを記したメモを総理に渡しているとのこと。

当然ながら、「株価を落とすな。買い支えろ」という指示が飛んでいることでしょう。ただ、日経平均のチャートは、テクニカル的に「ほぼピーク」となっており、これ以上の上昇は難しい形です。

日経平均株価 日足(SBI証券)

加えて、後述のように「円高傾向」が根強いため、月曜以降、もみあいから下落に転じる可能性が高いのでは、と予想しています。

雇用統計が良すぎると困る?

今、この原稿を書いているのは、4日(金)の20時ですが、22時30分に、米国で「雇用統計(2月分)」が発表されます。

今回の雇用統計は、おおむね「良さそうだ」という予想になっていますが、特に株式市場にとっては、「良すぎるのも困るし、悪すぎるのも困る」という微妙な状況です。

「雇用統計が良すぎた」場合、米国の利上げ懸念が再燃し、株価が下がりやすくなりますし、「雇用統計が悪すぎた」場合は、米国のリセッション懸念が台頭し、これまた株価が下がりやすくなるからです。

つまり、今回の雇用統計に関しては、「良すぎず、悪すぎず」の範囲で静かに通過して欲しい、というのが株関係者の「願い」だと思います。

※編注:先週末の2月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想+19.5万人に対し結果+24.2万人と予想を大きく上回った。前回値+15.1万人も+17.2万人に上方修正され、失業率は4.9%と5.0%を下回った

雇用統計前の「盛り上がり」がない

為替相場については、雇用統計が良ければ「ドル高(円安)」になりやすく、悪ければ「ドル安(円高)」になりやすいわけですが、僕は、今回の雇用統計が良くても、「ドル安(円高)の流れは変わらないだろう」と思っています。

今、この原稿を書いている4日(金)20時時点で、雇用統計前なのに、米ドル/円は頭が重い状況が続いており、114円を突破することさえできていません。

雇用統計に期待が集まっているとき、米ドル/円は雇用統計に向けて、1~3円程度、上昇します。雇用統計の発表前から「雇用統計まつり」が始まるのです。

米ドル/円 1分足(SBI証券提供)

今回「雇用統計は良さそうだ」という予想が出ているのですから、米ドル/円は現段階で115円を突破していてもおかしくありません。

しかし今回、雇用統計を前にしての「盛り上がり」が、まったくありません。こうなると、雇用統計発表後は、ふたたび円高方向に動く可能性があります。

Next: 米ドル/円の「割高感」が目立つ/今が「売り」のチャンス



米ドル/円の「割高感」が目立つ

アメリカで発表された、最近の経済指標は良好なものが多く、市場では、「アメリカのリセッション懸念は杞憂だった」というムードが高まっています。

しかし、「積極的に利上げを続けるべきだ」というレベルまで、アメリカの景気がいいわけでもありません。

出てくる経済指標が多少よくても、「世界経済が悪い中、アメリカが利上げできる可能性は低い」というのが、基本的な見方です。この状況下では、どうしても現在の米ドル/円の「割高感」が目立ちます。

このメルマガでたびたび採り上げているように、米ドル/円の週足の200MAは105円付近にあり、105円が米ドル/円の長期的な「平均値」です。

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

米ドル/円は、利上げ期待で平均値を20円も上回り、今もまだ平均値より7円ほど高い状況です。アメリカの利上げ期待が「はく落」した今、いったん米ドル/円が平均値(105円)に回帰しても、まったくおかしくありません。

その「円高」は、上下変動をともなう、ゆるやかなものになるかもしれませんが。

今が「売り」のチャンス

先週は、もみあう米ドル/円を尻目に、日経平均は上昇しました。しかし、いぜんとして米ドル/円の「ドル安(円高)」傾向は根強く、僕は今後も、じりじりとレートを切り下げる可能性が高い状況だと考えています。

そして、円高トレンドがボディブローのように効き、株価の上昇を抑えるのではないか、と見ています。

具体的には、株価は最大で17,250円付近までの上昇が限度で、高値圏で、もみあったのち、月曜以降ふたたび下落に転じる可能性が高い、と予想しています。

日経平均のチャートには、14,000円付近まで強いサポートがありません。いったん下落が始まれば、大きく下げる恐れがあります。

株を持っている方は、「今が売りどき」かもしれません。また、今ポジションがないなら、日経平均が17,000円を超えている間に、インバース型、ベア型のETF(日経平均が下がると上がる)の買いか、個別銘柄のカラ売りをするのがよいのでは、と思っています。

【関連】これからも円高が続く10の理由 100円までオーバーシュートの可能性も=長谷川雅一

長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/3/4号より一部抜粋・再構成
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による

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