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韓国、失業率が1%も改善? 実態は大半が高齢者の政府雇用、若者はむしろ悪化へ

韓国の8月失業率は3%となり、前年同月比で1%も改善した。しかしその内訳を見ると、増加した雇用の86%が高齢者で、政府が雇ったものだった。つまり政府ドーピングだ。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)

※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2019年10月6日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

税金で無理やり雇用を水増しし、予算が足りなくなったら増税へ…

貿易・投資・雇用から韓国経済全体が透けて見える

今回の韓国経済メルマガでは、8月の雇用状況について見ていく。

韓国経済を見るうえで大事なのは、貿易・投資・雇用の3つだ。これら3つの数値から、韓国の経済状況が正確に読み取れる。

ただ、いくつか問題がある。

まず、そのデータが改竄されてないことが大条件だ。しかし、ここを疑うと経済分析も何もできないので、参考数値としては利用している。

あとは数値上昇の主体が、政府なのか、民間なのかも重要だ。税金を投入して政府が製品を購入したり、雇用をいくら増やしたりしたところで、民間投資まで続かないのであれば一時的なものにすぎない。その資金がなくなれば元に戻ってしまうからだ。

8月だけで40万以上の雇用増?

さて、今回の話題は失業率なので、「雇用」がテーマとなる。もっとも、タイトルに書いたとおりなのだが…。

韓国の8月の失業率は3%となり、前年同月比と比べて1%改善した。8月の失業者数は85万8,000人で、前年同月比27万5,000人も減少したという。

しかも、8月の就業者数は2,735万8,000人で、前年同月から45万2,000人も増えた。なんと8月だけで40万人以上の雇用である。

確かにこの数値だけ見れば、韓国の雇用は劇的に改善したといえる。そして、参考にした聯合ニュースでは、この数値の紹介で終わっている。

だが、雇用で重要なのは、量より「質」である。

Next: 増加した雇用の86%が高齢者。政府ドーピングによる見せかけの成果だ



増加した雇用の86%が高齢者

今回も、雇用が45万人も増えても、その39万人(86%)が高齢者だった。つまり、政府ドーピングにより、見かけ上の数値だけ良くしようとした結果である。

例を挙げると、公園の雑草取りや、伝統市場の掃除、大学の部屋の電気の消し忘れを管理など、誰でもできる単純な労働にわざと雇用を創り、それを高齢者に仕事として与えたに過ぎない。

もちろん、高齢者は仕事が貰えて助かるだろう。

しかし、逆に若者の仕事がなく、30代の雇用は9,000人、40代は12万7000人も「減少」したのだ。しかもそれは、韓国経済を支えてきた製造業金融業の雇用減少である。

税金で雇用を水増しし、足りなくなったら増税へ

雇用の質が良くないので、今回の失業率の改善は経済活性化に繋がるはずもない。いうなれば、雇用のばらまきである。

もちろん、政府が金を払っているわけだが、そのお金は国民の税金であり、蓄えてきた基金である。

さらに、その基金が失業手当の大幅増加で枯渇しそうだからと、なんと増税をするのである。雇用保険料を10月から23%も引き上げるのだ。

10月から年間の雇用保険料を引き上げ

これはいったいどういうことを招くのか、少しだけ詳しく解説しよう。

勤労者:27万2,952ウォン → 33万5,940ウォン(6万2,988ウォン増加)
雇用主:158万8,416ウォン → 195万4,968ウォン(36万6,552ウォン増加)

そして、以下のようなループが完成する。

韓国政府「最低賃金を大幅に引き上げる。目標は10,000ウォンだ」
雇用主「最低賃金が大幅に引き上げられた。労働者を減らそう」
労働者「働く場所がない。仕方がないので失業給付で生活するしかない」

韓国政府「雇用保険基金が枯渇しそうなので、雇用主と労働者は雇用保険負担額を増やそう」
雇用主「今度は雇用保険負担額が増えた。労働者を減らすしかない」
労働者「また働く場所がなくなった。失業給付で生活するしかない」

韓国政府「雇用保険基金が枯渇しそうなので…(以下、繰り返し)」

とまあ、このような状態となっている。どう見ても、最低賃金の大幅な引き上げによっての悪循環である。

まさに働いたら負けという状態だ。

最後に韓国の景気動向で重要な発表を見ていこう。

Next: 韓国統計庁「景気の山は2017年9月で、24ヶ月連続の景気後退局面」と発表



韓国統計庁「景気の山は2017年9月で、24ヶ月連続の景気後退局面」と発表

韓国統計庁が景気の山を「2017年9月」として、現在は24ヶ月連続の景気後退局面と発表した。つまり、韓国の景気は後退しているのだ。

何度も指摘してきたことだが、韓国の景気は2017年9月がピークだったのに、それを半導体特需で見えにくくしていた

だが、実際は半導体を除く主要産業は軒並み,ひどい有様だった。そして、ここ2年で半導体需要も落ち込んできた。半導体で韓国経済を支えることも難しくなった

韓国経済の底は深すぎて見えない

ここで、問題なのは韓国の景気に谷(底)が見えないことだ。

景気循環では、谷が見えない限りは上向きには決してならない。谷を通り越して回復なんてことはない。

だから、私はいつ、韓国の景気が底にたどり着くかを注視している。しかし、現在も底が見えない。少なくとも向こう半年が経過しても、韓国は景気回復をしてないと推測できる。

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・韓国8月の失業率が劇的に1%改善!?実際はほぼ高齢者の政府雇用という酷い有様(10/6)
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image by:Blue House at Wikimedia Commons [Public domain], via Wikimedia Commons

※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2019年10月6日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2019年10月6日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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数年ごとに起きるデフォルト危機。世界経済が後退すれば、投資家が真っ先に資金を引き揚げていく新興国市場。輸出依存が96%という恐ろしい経済構造。ヘッジファンドに玩具にされる韓国市場。中国の属国化へと突き進む2014年。並行してスタグフに悩まされる現実。そして、1100兆ウォンを超え、雪だるま式に膨らむ家計債務の恐るべき実態。経済の問題点とは何なのか?なぜ、また、第四次経済危機が迫っているといえるのか。それは読めばわかる!投資、ビジネス、教養、雑談ネタにも最適な、最も韓国経済の実情を知ることが出来るメルマガ。

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