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どっちの銘柄を選ぶ?株価が同水準のテノックスと日創プロニティを比較する=炎

投資する銘柄の探し方はさまざまです。そこで今回は、過去の株価変動はともかく、ほぼ同じ株価水準の銘柄同士を比べてどっちが良いのかを検討してみます。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

ほぼ同じ株価の銘柄を比較すると、わかってくることとは?

投資家の動向を気に留めず我が道をいく、堅物2銘柄の場合

光陰矢の如し。今年もはや11月を目前にしている。

3,700もの銘柄の中から有望銘柄を皆さん流で探し出しリスクテイクして成果を上げる。成果が上がれば本望だが、時には失敗に終わることもあり、株式投資は楽しくもあり悲しいこともあり。悲喜こもごもの投資歴を重ねているうちに、いつの間にか時が過ぎている。

本日は過去の株価変動はともかく、ほぼ同じ株価水準の銘柄同士を比べてどっちが良いのかを検討してみることにする。

本日取り上げるのは堅物2銘柄。堅物という意味は皆さんで考えていただきたいのだが、投資家のことは意識しないでわが道を行く一風変わった企業と考えていただいて良い。

真面目に事業には取り組んでいて儲かってはいるが自社のPRが下手くそ。なかなか変わろうとしない堅物の2銘柄は、今日も市場人気が得られないまま推移している。

1.基礎工事業界のパイオニア的存在 テノックス<1905>(JQ)

~ポイント~
1)相変わらず大人しい値動きが続くがそろそろ見直しのタイミングではないか。
2)3月の安値780円から時価828円は6%上昇した水準+約4%の配当金。
3)11月8日に中間決算発表。見通しは未公表ではあるが、経常利益の進捗率が50%を超えるかどうかに注目
4)今期予想EPS118円でPERは7倍の水準。今期の業績下方修正はないと見るが下期以降の業績は不透明。受注が端境期となることに注意必要。
5)PBRは0.5倍以下で時価配当利回りは4%の水準。
6)一昨年高値1,355円から4割値下がりした水準。
7)オリンピック需要に絡んだ受注の減少が株価に影響しているが指標は割安な水準にある。
8)今期予想経常利益12億円に対して時価総額は57億円で倍率は4.8倍。
9)過去の経常利益のピークは2016年3期の19億円。
10)保有する現預金は82億円で無借金経営。
11)出来高は日々1万株以下で推移しており流動性に乏しいが、このところは比較的出来高が増加傾向にある。
12)経営者は取引先で筆頭株主でもある住友商事の出身で、サラリーマン社長。
13)浮動株は95万株と推定。
14)従業員数は連結ベースで277名。
15)社員の年収は平均年齢42.7歳で650万円。
16)発行済み株式数は769.4万株、自己株は89.4万株(ESOP含む)。
17)個人投資家向けのIRセミナーを開催するなどようやく注力はし始めたがまだまだ熱心さには欠ける。アナリスト向け説明会を早期に開催すべきか?

Next: 株価が同水準にある、日創プロニティの詳細と比較すると…



2.建築材料の金属加工メーカー 日創プロニティ<3440>(東証2部)

~ポイント~
1)前期業績は想定を上回ったが今期の業績見通しを売上高110億円(▲18.4%)、経常利益14.5億円(▲26.6%)としたことで株価急落。
2)年初来安値を更新中だが、指標面では割安感が出ており、見直しのタイミングを探る局面と見られる。それにしてもこの水準でよく売りが出てくる。
3)7月16日の東証2部上場後の高値1,215円から時価820円は32.5%下落した水準。
4)今期予想EPS152.5円に対してPER5.4倍。PBRは0.58倍、配当利回りは3%の水準。
5)過去5期間で7回の業績上方修正を行っており、期初計画は控え目な可能性
6)ただしソーラー用架台の売上増が見られた前期に対して今期はソーラー架台を中心に受注が大きく減少した中での見通しである点には注意。
7)M&Aに積極的ではあるが収益の稼ぎ頭はまだソーラー用の架台に依存している。M&Aは来期にかけ50億円の資金枠を用意。
8)今期予想経常利益14.5億円に対して時価総額は52.7億円で倍率は3.6倍。
9)過去の経常利益のピークは2014年8月期の28.4億円。
10)前期末で保有する現預金は46.4億円。投資有価証券0.4億円。これに対して長短借入金は30.3億円。
11)決算発表以降の出来高は1日平均約6万株。
12)戻り売りも含めて売り圧力が強いが下値では買いも入っている。
13)石田会長、石田社長(親子か)によるオーナー経営で成長意欲は強い
14)浮動株は110万株程度と推定。直近の8日間で出来高は50万株あり、約半分は入れ替わったと推察される。
15)連結従業員数278名で社員の年収は平均43.8歳で485万円。
16)発行済み株式数は736万株、自己株93.5万株。
17)東証2部昇格後もIRには不熱心。時価総額からは考えにくいが、機関投資家にしか説明しない方針。個人向けもアナリスト向けも一切説明会を実施せず。

業種は違えども、堅物で似たモノ同士の株価の変動。皆さんは果たしてどちらに興味を持たれましたか。

どっちもどっちだが、株価が同じ水準なのでここからスタートで3か月後、半年後、1年後をチェックしていきたい

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image by : metamorworks / Shutterstock.com

億の近道』(2019年10月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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