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動画ストリーミング市場はまだ成長する、いち早く発表したNetflixの決算にみる業界動向=シバタナオキ

徐々に決算が開示され始めました。今回はいつもながら最初に決算を開示する企業群のひとつである、Netflixの決算から同社の成長を見ていきたいと思います。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年10月29日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

競合が続々参入するレッドオーシャンでも、高い成長力

Q. 絶好調のNetflix、自社の競合をどのように定義している?

A. Netflixは、Amazon、Hulu、 Apple、ディズニーなどの動画ストリーミングサービスを競合として見てはいません。

テレビやビデオゲームなどを競合として、(広義の)余暇時間の奪い合いをしていると認識しています。

2019年の7月から9月期の決算が徐々に開示され始めました。いつもながら最初に決算を開示する企業群のひとつにNetflixがあります。

今日はNetflixの決算から同社の成長を見ていくとともに、動画ストリーミング市場全般に関するNetflixの見解と、Netflixがどのように競合を定義しているのかを詳しく見ていきたいと思います。

決算分析だけではなく、経営戦略にも関連する記事です。

はじめに決算の概要を見ていきます。売上は前年同期比+31.1%の$5.2B(約5,200億円)でした。

営業利益率は18.7%、営業利益は前年同期比で倍以上の$980M(約980億円)となっています。有料会員数は前年同期比+21.4%で1.58億人を超えるユーザーが有料会員としてNetflixを利用しています。

今回の四半期だけで有料会員数が677万人増加し、売上成長は前年同期比+30%以上と決算は絶好調に見えます。以下では、この成長の要因を分析します。

Next: Netflixの成長要因は、動画市場の成長にあった



アメリカ vs アメリカ外の内訳

出典:同前

Netflixはアメリカ国内のストリーミング事業と、アメリカ以外のストリーミング事業の2つの地域に分けて売上や利益を開示しています。

アメリカの売上は$2.41B(約2,410億円)で、コントリビューションマージン(限界利益)が41.4%とどんどん高まってきています。

ある程度の有料会員数を獲得し、加入者数という点では成熟してきているアメリカ市場では四半期あたりの有料会員数は52万人の増加となっています。

この数は全体の有料会員増加数の10%に満たない小さな伸びですが、マージン率が高まっていることからも、しっかりと利益が出る構造が確立できていると言えるのではないでしょうか。

Netflixはこれまで巨額のコンテンツ投資をしてきていますが、少なくてもアメリカ市場においてはこれらの投資が積み上がって利益に繋がりつつあるということが良く分かる決算なのではないかと思います。

表の下側にあるアメリカ以外のマーケットを見てみると、売上は$2.76B(約2,760億円)とアメリカの売上を超える規模に成長しています。

コントリビューションマージンも20.2%まで上がっており、アメリカ市場ほどではありませんが、これまで大きく投資をしてきた海外市場でも利益率が徐々に改善してきています。

アメリカ外において最も注目すべきは、売上に直結する有料会員数の伸びです。この四半期は677万人もの有料会員が増えており、そのうち626万人はアメリカ以外の地域での増加です。

つまりNetflixの現在の成長はアメリカ以外の市場の成長が要因になっていると言っても過言ではありません。

Next: 四半期ごとの有料会員数の増加が復調している



四半期ごとの有料会員数の増加

四半期ごとの有料会員数の増加数を表したのがこのグラフです。

出典:同前

図の中でグレーが会社が発表した予測の数字で、緑と赤が実績値になります。

予想を上回る数字だった場合は緑、予想を下回った場合は赤で表記されています。

グラフを見ていただければわかるとおり、今回の四半期の有料会員増加数は予想に対して若干未達でしたが、前四半期で大きく予想を外していることに比べると復調してきていると言えるでしょう。

出典:同前

さらに有料会員数が増加しているだけではなく、増加の加速度が大きくなり成長を続けてきているという点が最も特筆すべきことだと言えるでしょう。

サービス開始から時間の経過と共に成長スピードが遅くなっていくのが普通ですが、Netflixのように加速度的に成長が継続できているサービスはグローバルに見ても少ないのではないかと思います。

Next: Netflixで最近もっとも成功したオリジナルコンテンツ3選とは?



今四半期で最も成功したコンテンツ3選

今回の決算資料で触れられている、最も成功したNetflixのオリジナルコンテンツを3つほど紹介しておきたいと思います。


1つ目が「ストレンジャーシングスの第3シリーズ」で、リリース後4週間で6,400万世帯で視聴され大ヒットになっています。

第1、2シリーズの評判が大変に良く、日本でもテレビCMを使ってで大々的に大々的に宣伝するなど、Netflixとしても力を入れている作品です。

出典:Unbelievable

2つ目は「アンビリーバブル」という作品で、リリース後28日間で3,200万世帯で視聴されました。8話完結の実話に基づいた二人の女性刑事のドラマ作品です。ドラマとしては異例の大ヒットと言えるのではないでしょうか。

3つ目は英語版では「La Casa de Papel」(英題はMoney Heist:邦題はペーパー・ハウス)というスペインで制作された作品で、リリース54週間で4,400万世帯で視聴されました。この作品は英語以外の作品としてこれまでNetflixの中で最も視聴された作品だと書かれています。

ちなみに、日本で大人気の「全裸監督」についても触れられています。日本をはじめ、アジアでも大ヒットになっていると記載されています。

ここまで見ると非の打ち所がないほど絶好調に見えるNetflixですが、一方で動画ストリーミング市場はAmazonやAppleなど、競合がどんどん参入してきており、レッドオーシャンにも見えます。

今日の記事では、決算説明資料から読み取れる範囲でNetflixが今後の動画ストリーミング市場やコンテンツ市場をどのように認識しているのかということを詳しく見ていきたいと思います。

この記事はコンテンツビジネスやエンタテインメントビジネスに携わっている方、動画ストリーミングサービス関心がある方や継続課金ビジネスを知りたい方に最適な内容になっています。

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Netflixのコンテンツ市場の将来に関する現状認識

現状認識#1: 競合はAmazon Prime VideoやHuluではなく、エンタメコンテンツ全般である

現状認識#2: まだ●●の●●%も取れていない

現状認識#3: ●●●●はNetflixの成長に大きく影響しない

まとめ

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※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年10月29日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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image by : XanderSt / Shutterstock.com

『決算が読めるようになるノート』 2019年10月29日号『Q. 絶好調のNetflix、自社の競合をどのように定義している?』より抜粋
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