消費増税を懸念して売り込まれた内需株でしたが、蓋を開ければ日経平均株価は好調。このように難しい株価予想ですが、投資家はどう立ち回ればいいでしょう。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
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多勢の予想に反し株価が上昇するのはなぜか
日経平均株価が好調です。金曜日も年初来高値を更新しました。
日本株はダウ平均株価と連動することが多いのですが、ここ最近はダウが下がっても日経が上がるという状況が続いています。世界的に見ても日本株が好調なのです。
上昇が目立つのが、医薬品や建設、銀行などの内需関連です。これらの銘柄に引っ張られて、10月に入ってからの株価は好調を維持しています。
10月と言えば、消費増税が始まったタイミングです。そこで内需銘柄が上昇しているとはどういうことでしょう。
穿った見方をすれば、消費増税を懸念して内需株を売ってきた投資家が、いざそのタイミングになってみると株価はむしろ好調なので、買い戻しに走ったということが考えられます。
特に、相場を動かしている外国人投資家の動きが顕著です。9月まで売り越していた外国人投資家が急速に買いに転じています。
しかし、これは決して消費増税の影響が小さかったことを意味しているわけではありません。増税からまだ1ヶ月も経っておらず、影響が数値として明らかになってくるのはこれからです。
ではなぜ株価が上がったのかと言うと、多くの人が「厳しい」と思う消費増税のタイミングで、たまたま世界の株式市場の「雰囲気」が良く、売りの流れにならなかったからでしょう。
もし、このタイミングで株式市場にとってショッキングなニュースがあったら、逆に大きく下がっていたことも十分に考えられます。実際に多くの投資家は、それを見込んで株を売り込んでいたと考えられます。
結果的には、株価は多くの投資家の予想とは裏腹に上昇することになりました。株価はこのような動きをするからこそ、その予想は難しいのです。