※本記事のタイトル・見出し・改行・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
「ゴーン逮捕」と同じ手法?官邸のシナリオ通りに報じるマスコミ
忘れられていく関西電力問題
9月末以降、ずっと関西電力の不正問題が報道されている(※編注:原稿執筆時点10月11日)。発覚から2週間後の10月10日、会長の八木誠ら7人が三度目の会見で辞任を発表した。
この問題、マスコミではまだ正式な事件名が付与されていないようで、NHKは「関西電力問題」というカテゴリーでタイトリングしている。いかにも暫定的だ。「金品受領事件」という呼び方をしている社もあるが、まだ共通の名称として定着していない。マスコミも左翼も、ここぞとばかり原発マネーの糾弾に熱中し、野党に国会追及での第一テーマにせよと言い、関電役員の参考人招致を求めている。
今日が11日(金)で、12日(土)には台風19号の上陸襲来があり、週明け以降のマスコミ報道は台風被害とその対応一色となるに違いなく、必然的に予算委の話題も台風被害関連が中心になり、討論は休戦になるか、対策の審議で埋められると予想される。
翌々週(23日)には即位礼正殿の儀と祝賀パレードが予定されている。台風の被害が甚大でなければ、日程は変更なく執り行われ、マスコミ報道は皇室の方に集中し、「国民の熱狂と興奮」を派手に伝えて騒ぐという環境になるだろう。
ということは、ここから2週間ほどは関電関連のニュースは背後に退くことになり、国民の関心も薄れる方向になるだろう。会長と社長を含む7人が辞任表明し、一件落着となり、国民が忘れた頃に第三者委が報告を発表と、そういう進行になりそうだ。
皇室の祝賀行事が終われば、またぞろマスコミは、文在寅憎悪(韓国叩き)と香港問題(中国叩き)でワイドショーとBS政治番組を埋め、その合間に憲法改正問題などを入れ、いつものルーティンに戻り、同じ顔ぶれが同じ喋りを言い、そのまま師走を迎えるだろう。
そして、社会保障の大幅削減の制度改定が詳らかになり、解散総選挙と東京五輪のある令和2年の年明けとなるだろう。
関電事件は官邸がリークした政治工作だ
私は、今回の関電の事件は、官邸が国会開会に合わせてリークした政治工作ではないかと睨んでいる。
目的は、
(1)日本郵政と総務省によるNHK介入事件を報道から隠蔽するためであり、
(2)千葉の台風災害における政府・政権の不作為と怠慢の問題を国会追及から遮断するためであり、
(3)消費税増税に伴う政府対策の失敗と破綻を国会での論戦から隔離するためである。
基本的に、関電の問題は安倍政権が関与したものではなく、政権が直接打撃を受ける不正や過誤ではない。安倍晋三にとっては他人事の気軽な問題だ。
菓子折の中に金の小判がどうのという、大衆受けする面白い「贈収賄事件」を、国税の報告を受けた官邸はずっと溜めていて、ここぞという効果的な局面でローンチして報道と関心を埋めたのだろう。
つまり、いわゆるスピンの工作に他ならない。
この事件は、朝日新聞や東京新聞などの独自スクープではない。野党の発掘でもない。官邸から撒かれたネタだ。