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「関西電力問題」の意味と背景~官邸リークによるスピン報道で隠蔽した3つの大問題=世に倦む日日

九州電力、川内原発1号機の再稼働延期を発表

ここで注目するのは、10月3日に報道された、九電が川内原発1号機の再稼働を延期すると発表した事実だ。

このタイミングは偶然の一致だろうか。それとも、偶然ではなく、背後に政策的な意思があってのことだろうか。この事実を伝えたNHKは、他の原発でもテロ対策の不備と工事遅滞を理由にして、再稼働延期が続くだろうと報じていた。

現時点で、これだけの事実材料を以て、何か楽観的な予測を立てることはできないが、巷間言われていたのは、九州では再生可能エネルギーの生産が旺盛で、発電量全体が過剰となり、需要が供給に追いつかなくなり、ブラックアウトの防止のため太陽光発電の出力制御に至っていたという問題である。

それを根拠に市民側から、原発の稼働停止を求める世論が興っていた。こうした問題は、かねてより広瀬隆なども指摘していたところで、再生エネ出力が増加し、省エネや経済衰退で電力需要が低下し、原発は日本で不要になるだろうと言われていた。

国内で原発が生息する余地はない

日経の記事によると、原発の再稼働は今年ゼロで、再稼働している9基のうち4基がテロ対策の遅れで来年停止と言う。再稼働原発は5基に減る。

今回の関電の原発マネー問題は、原発に対する世間の目をさらに厳しいものにしたことは疑いなく、再稼働抑止の圧力として作用するのは確実だ。

安倍政権が進めた海外への原発輸出プロジェクトも、悉く凍結や中止や断念となり、いわゆる原子力村の長期事業展望に暗雲が垂れる深刻な事態となっている。海外に活路を求めた日本の原発産業だったが、頓挫して大赤字を計上し、次々と撤退を余儀なくされた。

海外展開の未来が潰れた以上、国内電力会社の既存原発で姑息に再稼働などやっても、原子力村の存続にとって何の意味もない。

省エネの機器や設備の利用が進み、経済低迷で電力需要が減少し、加えて再生エネ設備の拡充で再生エネ比率が増え、再生エネのコストも技術革新で下がるのは必然となって、最早、国内で原発が生息する余地はないのである。

Next: 政府策定「総発電量に占める原発比率・30年度に20-22%」の目標はどうなる

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