政府主導のスピン工作
最初に関電の発表があり、それをNHKなどテレビが撮ってニュースにした。そしてニュースの度に、菅義偉の盟友の松井一郎が登場し、テレビを使って関電に牽制をかけた。
「贈収賄」の不正は次々と新事実が出て、視聴者国民を飽きさせず、関心を引きずり膨らませ、夜のニュース番組のメインコンテンツの地位を維持、タイミングを計って会長以下辞任と第三者委設置の幕となった。
松井一郎が要求していたのが、関電現経営陣の引責辞任であり、国民の関心の焦点もそこにあったので、まずは一般が納得して感情を収めた結果に落ち着いている。
今回の件が菅義偉主導の政治リークであり、政権に不利となる材料の浮上を阻止することが狙いだったとすれば、首尾は上々というところだろう。
安倍政権は、1月の通常国会のときも、開会前からゴーン逮捕と日産の問題をマスコミ報道の餌にして撒き、他の政治案件を隠して大衆の関心から逸らすという周到なスピン工作を演じていた。
台本通りの決着
おそらく、菅義偉と松井一郎が示し合わせて台本を書いていたのであり、マスコミに絵を撮らせ、計画どおりに舞台を進行させていたのだ。
第三者委の座長を橋下轍にするぞと脅しをかけ、そこで思惑どおり八木誠と岩根茂樹のギブアップを得た。
橋下轍が第三者委の座長になったら、さらに厳しく関電の原発マネーの闇が掘り出され、単なる「不適切な金品受領」では済まなくなる。過激で強烈な暴露と糾弾が始まり、内部告発も出て、マスコミが煽り、経営陣は火だるま・槍衾の事態となる(内部告発については、一部、金平茂紀がTBSの番組で紹介していた)。原発事業の推進存続に致命的な一打を受けていたかもしれない。
菅義偉は次に落とす「爆弾」も用意して、関電側との駆け引きゲームを楽しんでいたのだろう。八木誠と岩根茂樹の辞任と引き換えに、第三者委の座長を(関電推薦の)但木敬一にするという温情人事となり、関電安堵のシャンシャン決着となった。