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江戸時代から変わらない!相場の黄金パターン「酒田五法」早わかり=清水洋介

相場の動きを探り、買い時・売り時・休み時を判断するのに役立つチャート分析講座。今回は江戸時代の米相場で財をなした本間宗久の「酒田五法」のポイントを証券アナリストの清水洋介さんが解説します。(『投資の視点』清水洋介)

筆者プロフィール:清水洋介(しみずようすけ)
大和証券、外資証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト「チャートの先生」としてテレビ・雑誌等で活躍し、現役ディーラーとして日々相場と対峙している。 日々是相場や講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校。

売買判断の基本ポイント!売り・買い・休むのタイミングを読む

酒田五法=江戸時代から変わらない相場のパターン

前回の記事「天底を見極める!「ローソク足」の必修チャートパターン9つ」では、「ローソク足」の見方を1本の足、2本以上の組み合わせで見てきました。この「ローソク足」を使った分析のしかたを戦術的にまとめたものを「酒田五法」と言います。江戸時代に米相場で財をなした酒田の豪商・本間宗久がまとめたものです。

今回の講座は多少長い講座となりますが、売買判断の基本的なポイントとなりますので、何回かに分けても丁寧にご覧いただければと思います。

ここで言う「五法」とは、「三山・三川・三空・三兵・三法」の5つを言い、それぞれにいくつかバリエーションがあります。以下に代表的なものを挙げておきます。

(1)「三山(三尊天井)・逆三山(逆三尊底)」――大天井と大底を示す

三山とは大天井を表わす線です。三回上昇下落を繰り返すもの、特に二回目が一番高いものを言います。欧米でもトリプルトップ、ヘッドアンドショルダーと言い、天井を表わすものとされています。

三つの山の間の谷(押し目)を結んだ線を「ネックライン」と言い、三つ目の山を作った後、この「ネックライン」を割り込んだところで、「三山(三尊天井)」完成 とされます。

別名の「三尊」とは仏像の配置からきており、「中央に釈迦、右に文殊菩薩、左に普賢菩薩」の形となっていることから、「三尊天井」と言われます。特に、出来高が時間の経過とともに(右に行くに連れ)減少してきているような場合は、典型的な天井のパターンとされます。

逆に三つの大きな底値(谷)を作り大底となるものを「逆三山、逆三尊底」という言い方をします。「三山(三尊天井)」と同じように(逆に)三つの谷の間の戻りの山を結んだ線を「ネックライン」として、この線を上に抜けたところで、「逆三山(逆三尊底)」完成とされます。

(2)「三川」――典型的な天井、底値を示す転換点

「星」「極線」と言われる小さな陽線や陰線または「十字足」と呼ばれるものなどを、大きな陽線と陰線あるいは陰線と陽線が挟んだ格好となっているものを「三川」と言います。

転換点を表すものとされますが、特に十分に上昇した後に大き目の陽線をつけ、次の日に上に放れて陽線や陰線の「星」や「十字足」などをつけ、次の日に下に放れて大き目の陰線を引いた場合には「三川宵の明星(十字星・流れ星)」などと言って、売りの決定線とされます。

逆に大き目の陰線を引いたあと、次の日に下に放れて極線と言われる小さな陽線や陰線あるいは「十字足」を引き、その次の日に上に放れて寄り付き大き目の陽線を引いたときには「底入れ」とされ、買いのシグナルとされるのです。

典型的な天井や底値を表すものとして注目されます。

Next: (3)「三空」――飛び上げ、叩き込みは相場の節目!



(3)「三空」――飛び上げ、叩き込みは相場の節目!

「三空」とは、連続して3回空(窓)を開けるもの。上げ相場においては「三空飛び上げに売り向かえ」と言って売りのシグナルとなり、下げ相場においては「三空叩き込みには買い向かえ」と言って(叩き込み=下げ相場の三度目の空の後を言い買い方の総投げ、売り方の売り崩しが起きる事が多い)大底を形成することが多いとされます。

「空(=窓)」とは前日の線と当日の線が全く重ならない場合、その重ならない部分を「空」とか「窓」と呼びます。新値とか保ち合い放れ(動きの少ない状態からどちらかに大きく動き出すとき)のときは、「放れにつけ」といい、「空」を開けた方向に動きやすいとされます。保ち合いの中では「窓埋め」(いったん空けた「空」のところで活発に売買すること)といい、元の値段まで動くことが多いとされ、相場の変化の「節」と考えられています。

その節となる「空」が3つ続けて出現したものとして「三空」というのは重要視されます。

Next: (4)「三兵」――大きな値動きの前兆



(4)「三兵」――大きな値動きの前兆

三兵というのは、陽線なら陽線が、陰線なら陰線が3本同じ方向に向かっているものを指します。

高寄りはしないが、確実に引値を切り上げる形で陽線が3本続いた形を「赤三兵」といい、大きな上げ相場の前兆とされています。

逆に上値を切り下げる格好で陰線が3本続いた形を「黒三兵」と言います。また「黒三兵」は「三羽烏」とも言われ、大幅下落の前兆とされます。烏は古来不吉な鳥というイメージが強く、陰線=黒=烏、と相場の下落が不吉なものとして、「三羽烏」は不吉の始まりとされています。

また、「赤三兵」が上昇したところで出現すると、逆に上値が重くなる時のシグナルともされ、特に段々と陽線が小さくなって来るようなケースでは、「赤三兵先詰まり」として天井を表すシグナルとされています。

Next: (5)「三法」――相場で重要な「休む」タイミングを教えてくれる



(5)「三法」――相場で重要な「休む」タイミングを教えてくれる

本間宗久翁の「三位の伝」(諸説ありますが)で「売り・買い」と同時に重要視されるのが、「休む」ということです。

狭い範囲での保ち合い相場では、頻繁に売買をしてもなかなか実入りが増えるものでもなく、売り買いを頻繁にすればするほど手数料などのコストで損になってしまうこともあります。こういった時は、相場を「休む」こともとても大切なことで、売り買いのタイミングを計るように、休むタイミングを計るのも非常に大切なことなのです。

この「休む」ということを「ローソク足の組み合わせ」でどんな状態のことを言うのかというと、以下のような「三法」の形に他ならないのです。ここでいう「三法」は、「売り・買い・休み」の三つの法則=「三法」ということになるのです。

下の図で示したパターンは、上昇過程において出現した大陽線のあと、小さな陽線・陰線をはらみ、大陽線の高値を坊主の陽線で抜けたもので、典型的な保ち合い相場を上に抜ける時の状況を表しています。

はらんだ小さな線は「小休止」を表し、大陽線の安値を「支持線」、上値を「抵抗線」とします。その抵抗線を抜けた形で「強い線」と見られますが、この抜けるまでの過程では売り買いを「休む」ということになり、このことを「三法」というのです。

逆のパターンも同様に、下落過程において見られるもので「弱い線」と見られますが、これが下に抜けるまでは「休む」時期となります。

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投資の視点』(2016年2月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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