スルガ銀行が、ついに「かぼちゃの馬車」問題にケリをつけるようです。被害に遭ったオーナーに対して、物件を手放すことで借金を免除することを検討しています。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。
風化する「かぼちゃの馬車」問題、世論はオーナー保護に違和感?
物件を手放せば借金「免除」?
日経やそのほかの報道でほんのちょっとだけ触れられる程度ですが、スルガ銀行が、かぼちゃの馬車オーナーに対して、物件を手放すことで借金を免除することも検討しているそうです。
これがすべてのかぼちゃの馬車オーナーに適用されるなら、なかなかの好条件ですね。
今回の「かぼちゃ」のケースで言えば、資産価値はせいぜい5,000万円くらいなのに、物件価格1億2,000万円くらいで売買し、借金を1億800万円ほど背負うかたちで今のオーナーは購入しているわけです。
これだと、普通に物件を手放しても、残債が5,800万円ほど残ってしまうので、困ったなぁ…となっていたわけです。
てなわけで、物件を手放したら借金をチャラにすることを検討という、ウルトラCのようなことが見えてきただけでも、かなりの光明だと思います。
日本では珍しい対応
この物件を手放したら借金チャラという仕組みを「ノンリコースローン」というのですが、まぁ日本の普通の不動産取引ではなかなか珍しい対応です。
というのも、日本において一般の不動産でノンリコースローンを行うことは不可能だからです。
かぼちゃの場合は極端にひどいのですが、一般のマイホームなどでも、状況は似たり寄ったりなのが不動産です。
日本では、担保評価としての資産価値がせいぜい2,000万円しか出ないような夢の新築マイホームが、4,000万円くらいで普通に売りに出されています。
ノンリコースローンでこのマイホームを購入しようとすると、銀行は2,000万円までしかお金を貸してくれないので、50%の自己資金を求められるようになります。
そうしたら建築業者も不動産屋もマイホームを売れなくなって、銀行もろともドボンとなるわけで、まぁそんな施策は誰も取らないというのが理由です。
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世論はオーナー保護に違和感?
そうそう、このスルガのニュースについて、一般の人はほとんど興味を持っていないようです。
一方、不動産投資家はとても興味を持っているようで、ネットにはかなりの数の書き込みがなされていました。
ネットの反応を見ていると、「徳政令はズルい」とか「自分の投資の失敗は自分で責任とれ」とか、かなりかぼちゃのオーナーを叩いているコメントが多くて気になりました。
いちばん悪いのは業者
確かに、かぼちゃのオーナーがあまりに不勉強だったことは事実です。エビデンス書類改ざんや二重契約書、謎の覚書など、善意というにはオーナーの責任は軽くないと思う人もいると思います。
しかし、忘れてはいけない事実があります。
それは、最も悪いのは、かぼちゃの馬車を売りつけたスマートデイズ(スマートライフ)だということです。
ある意味で弱者であるオーナーを叩くのではなく、その原因を作ったスマートデイズを叩くべきなのです。
スマートデイズや類似のことをやっていた不動産業者は軒並み会社を倒産や解散していますから、責任の所在がわかりにくくなっています。
それで怒りの矛先がわかりやすいオーナーやスルガ銀行に向かっていますが、本来、社会正義としての怒りの矛先は、そういった悪質な業者たちに向くべきなのです。
こういうことが2度と起こらないために、スマートデイズの責任者をちゃんと処罰してこそ社会正義が通るというものだと思います。
まぁそんなわけで、かぼちゃのオーナーにとって一筋の光が見えてきたわけですから、同じ投資家仲間としては一緒に喜びましょう。
いつかは自分もそういった救済策に救われることもあるかもですよ。
『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2019年11月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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