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香港人権法案に署名したトランプ大統領、米中貿易はこのまま部分合意へ進む見込み=馬渕治好

先週は、トランプ大統領が11/27に香港人権法案に署名し、中国の反発が懸念された。今週は、米雇用統計をはじめとする米国の主要なマクロ統計など材料は多い。(『馬渕治好の週次メモ「時の花」』)

※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2019年12月2日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。

馬渕治好の週次メモ「時の花」2019/12/2号より

日経平均:材料は多いが、上値は重くなりそう

今週(2019/12/2~12/6)の日経平均予想

2万3,000~2万3,600 円
(先週の予想:2万2,600~2万3,400円)
(実績値:2万3,255.39~2万3,608.06円)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

先週は、トランプ大統領が11/27(水)に香港人権法案に署名したため、それが中国の反発を招き、米中部分合意が進展しないのではないか、という懸念が世界市場に広がった。しかし大統領は、署名時の声明で、「習近平国家主席と香港市民への敬意をもって法律に署名した」「(香港人権法の執行は)大統領権限に委ねられている」(大統領権限で、法案を実際には執行しないかもしれない)と、中国にこびへつらうような発言を行なっている。

ここからは、中国に膝を屈してでも、中国の農産品購入増という「成果」を米国内の農家向けに誇示したい、という大統領の強い意志が感じ取られ、来年にずれ込むかもしれないが、部分合意は成ると見込んだ方がよいだろう。

しかしこうした大統領の姿勢は、政権内の強硬派や米議会にとっては好ましいものではなく、部分合意の後は、米中間の関係改善は全くないだろう。その点では、部分合意の進展を織り込み切ったような米国株価は、追加の好材料を欠いて、反落の様相を次第に強めると見込む(そもそも、足元の米国株の予想PERは、S&P500種ベースで近年の上値メドである17倍を大きく超えてきており、割高感がつのっている)。それは、日本株にとっても重石となるだろう。

今週は、米雇用統計をはじめとする米国の主要なマクロ統計(11月分)など、材料は多い。ただし市場では、ISM非製造業指数を除いては、おおむね10月より改善すると既に見込まれており(詳細は次項)、かなり強い数値にならない限りは、内外の株価を大きく押し上げることにはなりにくいだろう。

Next: ここのところ円安が進む、為替の動向は?



為替:需給的にはもう少し円安に動く可能性

今週(2019/12/2~12/6)の米ドル円相場予想

108.80~109.90 円
(先週の予想:108.00~109.20円)
(実績値:108.61~109.67円)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

先週の外貨相場は、全般的に外貨高・円安気味の推移であった。この背景に、シカゴ先物市場での円売り残積み上げの動きがあり(ただし、直近の先物残のデータは、米感謝祭の休日のため、公表が遅れている)、まだ需給的にはもう少し円安に動く可能性がある。

今週は、米国の主要な経済統計が注目されよう。具体的には、下記の通り(すべて11月分の統計、日付は発表日、カッコ内は(10月分実績→11月分市場予想))。

12/2(月)ISM製造業指数(48.3→49.2)

12/4(水)ADP雇用統計(雇用者数前月比:12.5万人増→14.0万人増)

同日 ISM非製造業指数(54.7→54.5)

12/6(金)雇用統計(非農業部門雇用者数:12.8万人増→18.8万人増)

ISM非製造業指数以外は、各指標とも前月に比べて改善が見込まれている。それを足元の米ドル円市場が織り込んでいるとすれば、一段と米ドル高に進むには、上記の経済指標の改善が大きいものとなる必要があると言えよう。

【今週の一枚】

日本の10月の鉱工業生産統計は、11/29(金)に発表されたが、生産は前月比で4.2%減と、大幅な下落を示した。

その生産減の理由として、台風による水害が発生し、部品供給が滞るなどにより、生産活動に支障が生じた、と言われている。しかし在庫指数をみると、前月比で1.2%増加している。需要が落ちることなく、供給面の要因だけから生産が縮小したのであれば、在庫が減るはずだ。この在庫指数の上昇は、大幅な生産減以上に内外(内需及び輸出)の需要が落ち込んだことが示されていると言える。

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image by: Evan El-Amin / Shutterstock.com


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馬渕治好の週次メモ「時の花」』(2019年12月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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