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上海市場の押し目で輝く、世界経済成長の中核となる5G銘柄が魅力なワケ=田代尚機

11月22日現在、2019年の上海総合指数は年間変動幅を100とすると、高い方から48%下げたあたり。一方で、5Gセクター指数をみると、37%下げたあたりです。(『中国株投資レッスン』田代尚機)

全体相場に引っ張られて下落する、5G銘柄の押し目に注目

5G時代の幕開けとともに、AI、IoT、自動運転など新しい技術が急速に発展

11月22日現在、2019年における上海総合指数の最安値は1月4日の場中で記録した2,440.91ポイントである。その後、米中貿易戦争の緩和、前年下げすぎた反動などから急上昇、4月8日の場中で3,288.45ポイントの高値を記録した。しかし、トランプ大統領が突如として、4月、8月の2度に渡り、追加関税措置の拡大、強化などを行ったことなどから株価は低迷、11月22日の終値は2,885.29ポイントで引けている。年間変動幅を100とすると、高い方から48%下げたあたりにある。

一方、5Gセクター指数(同花順、関連する213銘柄で構成)をみると、最安値は1月4日の場中で記録した1,627.57ポイントだが、最高値は9月24日の場中で記録した2,578.30ポイントである。高値の時期が上海総合指数よりも新しい。11月22日の終値は2,228.31ポイントであり、年間変動幅の高い方から37%下げたあたりである。

ちなみに、11月22日現在の年間上昇率を比べると、5Gセクター指数は32.5%であるのに対して、上海総合指数は15.7%、深セン総合指数は26.8%である。

今後、5G時代の幕開けとともに、AI、IoT、自動運転をはじめ新しい技術が急速に発展するとみられる。5Gは中長期成長銘柄の中核をなすセクターである。また、足元でセクター指数が下落しているのは相場全体が弱いからであり、長期投資の観点からすればこの下げは、買いのチャンスであろう。

5Gに関する技術では、チップ、モジュール、最終製品に至るまで部品、設備に関しては既に完成の域に達している。後は、キャリアによるネットワーク建設を待つばかりであるが11月1日、遂に5Gの商業サービスが正式に始まった。

最初は、一線都市、新一線都市、二線都市など規模の大きな50都市に限定してサービスが開始されるが、2020年にはサービス範囲が340以上の都市に広げられる。そうなれば、世界最大の5Gネットワークとなる。

4Gが始まった当時、対応するチップメーカーは僅か3社であったが、5G開始時点では40社を超えるメーカーが対応製品を出すと発表している。

Next: 5Gが普及してくると、日常にはどんな変化が起こってくるのか



クラウドゲーム市場の拡大、自動車の遠隔操作など…

5Gの通信速度は4Gと比べ、10倍速くなると言われており、遅延が格段に小さくなる。5G時代の到来で、クラウドゲーム市場が急拡大するだろう。高価なゲーム専用機は不要となり、PCやスマホでもストレスなく、遊ぶことができるようになる。VR、AR技術が加わることで、臨場感が高まり、視線の位置の選択幅が広がるなど、ゲームの質は飛躍的に高まる。テンセントの業績をみてもわかるが、現在でもゲームの市場規模は十分大きいが、それがさらに膨張することになりそうだ。

遠隔操作の実用性が高まることで、いろいろな新製品、サービスが開発されよう。最もわかり易いのは、自動車の遠隔操作である。たとえば、北京市内に居ながら、重慶市内を走る車の運転ができるようになる。さらに、日米中の大手企業は現在、し烈な自動運転の開発競争を繰り広げており、中国では、すでに複数の特定地域で試験運転が始められている

医療分野では、カメラ、医療ロボットの開発が進むにつれて、遠隔操作による診断、手術が可能となる。中国は国土が広く、住民が広く分散して暮らしている。従って、地方では、病院、医師の数が不足しており、多くの住民が十分な病院サービスを受けられないでいる。遠隔操作による診断、手術は遅れた地域での医療サービスレベルを格段に引き上げることができる。

そのほか、遠隔操作にAI技術が加わることで、学校教育、物流管理、電力、建設から、いろいろな製造現場に至るまで、革新的な効率アップをもたらすことになるだろう。

小米集団の雷軍CEOは11月21日、北京で開かれた世界5G大会に出席し、「インターネット発展の全体的な方向は、5G+AI+IoTによる次世代スーパーインターネットである。パソコンのインターネット時代は10億台のPCを繋ぎ、モバイルネットワークの時代は50億台のスマホを繋いだが、IoTは500億規模の“モノ”を繋ぐ」などと述べている。

5Gサービスの開始は世の中を大きく変える始点となる。そう考えると、5G銘柄は成長銘柄の中核である。

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image by : Tom Wang / Shutterstock.com

中国株投資レッスン』(2019年11月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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