2020年4月から「同一労働同一賃金」が始まります。格差の解消はよいことですが、正社員の賃金低下が予想されています。するとどうなるか。社会保険料の財源が減少するのです。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
ついに「団塊の世代」が後期高齢者へ。社会保険の破綻はありえる
2020年4月から「同一労働同一賃金」はじまる
2020年4月から、働き方改革の一環で「同一労働同一賃金」が実施されます。
別名では、パートタイム・有期雇用労働法とも呼ばれています。
同じ職場で同じ仕事をする正社員と、非正規の派遣やパート社員の待遇や賃金格差をなくすという考え方です。
この「同一労働同一賃金」が施行されると、正規職員の諸手当が減額されると言われています。また、残業規制によって、残業手当がなくなってきています。
正社員の実質的な賃金切り下げが進行するともいわれています。
社会保険制度が破綻する?
派遣やパートで働いてきた方との格差をなくすのは良いことだと思いますが、とっても心配なこともあります。
それは、「社会保険料の収入源が減る」ということ。
正社員の方が高いお給料で支払っていた社会保険料ですが、非正規と同じ給与水準になれば
保険料は低くなります。
つまり、社会保険料の財源が減少するということなのです。
2025年、4人に1人が75歳以上に
さらに、2025年には「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になるのです。
いままでも高齢化が急速でしたが、25年以降は、4人に1人が75歳以上になる「超・高齢化社会」が到来するのです。
医療・介護・福祉サービスの需要が高くなるのは、火を見るより明らかです。
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お金持ちしか病院にいけない?
社会保険の収入源が減ることが予測されているのに、超・高齢化が進んでいるのですから、
社会保険の破綻も考えられるのです。
破綻まで行かなくても、医療・介護・福祉サービスの給付は削減されるでしょう。
私たち現役世代は、給料も上がらないのに給付も減るので、ますます自分でお金を準備しなければなりません。
「お金持ちしか病院に行けない」なんて時代がくるかもしれないのです。
健康に気を遣うのはもちろんのこと、貯蓄は必須です。
そして、預貯金だけでは準備できない時代がすぐそこまで来ているのです。
企業が儲けても賃金は増えない…
同一労働同一賃金で、正社員も非正規もお給料が上がれば良いのですが、それは難しいと考えています。
そもそも会社の利益が上がっていても賃金に反映されず、配当金の方が増えているのが現状です。
同一労働同一賃金で企業が賃金を上げるとは、考えにくいのです。
『教育貧困にならないために』(2019年12月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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