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新規上場したランサーズはクラウドワークスの約半分、両社を比較するときのポイント=シバタナオキ

今回はクラウドソーシング事業をメインで展開している、新規上場したランサーズとクラウドワークスを比較します。両社の共通点と違いはどこにあるのでしょう。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年12月26日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

発注量の差は、両社の収益にそれぞれどのような影響を与えるか

Q. ランサーズとクラウドワークスの年間発注単価の差はどのくらい?

A. ランサーズは19.4万円。クラウドワークスは31.7万円。
1クライアントあたりの年間発注単価はクラウドワークスの方が約1.6倍大きい。

この記事はYusuke Gotoさんとの共同制作です。Yusukeさんは、医療介護領域で複数事業展開している会社でSaaSのセールスを担当されている、サウナが大好きなライターさんです。

本日は12月16日にマザーズに上場した「ランサーズ」と、何度か取り上げている「クラウドワークス」を比較していきたいと思います。

ご存知の方が多いと思いますが、両社のメインの事業は、「クラウドソーシング」と呼ばれる事業です。ウェブサイトや動画制作、ライティングやイラスト制作などネットを介して提供できる様々なサービスをフリーランスや副業などで提供する個人と、より多くの選択肢から値段に見合ったアウトプットを求める企業や個人をネット上のプラットフォームでマッチングする事業を柱としています。

同じクラウドソーシング事業をメインで展開している両社のKPIのうち、似ている部分と異なる部分はどういったところにあるのでしょうか?

まずはじめに両社の決算の概要を見てみましょう。
※参考:新規上場申請のための有価証券報告書‐ランサーズ株式会社(2019年11月13日)
※参考:2019年9月期 通期 決算説明資料‐株式会社クラウドワークス(2019年11月19日)

Next: ランサーズとクラウドワークスの決算概要を見比べてみると?



ランサーズの決算概要

2019年3月期の1年間の流通総額は64億円で前年同期比+21%となっています。

※ランサーズは直近の数値として2020年3月期第2四半期の数値を公表していますが、2019年度3月期第2四半期時点の数値は公表されていないため、2019年3月期通期と前年度の数値をベースに比較します。

次に売上、売上総利益と営業利益を見ていきます。

売上は約25億円で前年同期比+32%、売上総利益は約14.8億円で前年同期比+18%と早いペースで成長していますが、営業損失は△2億円と引き続き赤字が出ている状況です。しかし、2020年3月期第2四半期の決算では営業利益が約5,500万円と黒字化を達成しています。

クラウドワークスの事業セグメントの変更について

次にクラウドワークスの決算です。クラウドワークスの決算概要を読み解くにあたって、必要なセグメント変更についてはじめに共有します。

元々8つに分かれていた事業セグメントを2020年9月期から、「マッチング事業」「受託事業」「その他」の3セグメントに再編成しています。

今回はクラウドソーシングの事業が主になっている「マッチング事業」のKPIを見ていきたいと思います。

Next: クラウドワークスのメイン事業はランサーズと比較して2倍の差



クラウドワークスの決算概要

ではクラウドワークスの決算概要について見ていきます。

クラウドワークスのマッチング事業の総契約額は2019年7月-9月期四半期で約31.2億円、前年同期比+37.4%と引き続き早いペースで成長しています。

マッチング事業の売上も非常に高い成長率で、直近の四半期で前年同期比+30.6%の約14.5億円となっています。

1年間の売上を比較すると、ランサーズの売上25億円に対して、クラウドワークスのマッチング事業は52億円と約2倍の規模の差があります。

マッチング事業の売上総利益は6.3億円で前年同期比+23.1%となっています。

クラウドワークスのマッチング事業セグメントにおける総契約額、売上高、テイクレート(売上総利益率)が20%以上の成長率となっており、順調に成長していると言えるのではないでしょうか。

ランサーズとクラウドワークスのテイクレートの違いはどのくらい?

次に、ランサーズとクラウドワークスのテイクレートの差を比べてみましょう。

テイクレートの計算方法についていつもの記事と少し違う点があるので説明します。ECサイトの記事では、テイクレート=売上/流通総額で計算していますが、クラウドワークスの決算説明会資料では、売上総利益/流通総額をテイクレートとしています。

これを踏まえたうえで、前述したランサーズの流通総額と売上総利益をベースに計算すると、以下のようになります。

流通総額:64億円
売上総利益:約14.8億円
=>テイクレート:23.1%

クラウドワークスのテイクレートは、直近の2019年9月期第4四半期に20.2%を記録しています。

両社のテイクレートをまとめると以下のようになります。

<テイクレート比較>
ランサーズ:23.1%
クラウドワークス:20.2%
=>約2.9%、ランサーズの方がテイクレートが高い

今後期待されるランサーズ流通総額の成長に伴い、テイクレートがどのように変化していくのか注目していきたいと思います。

Next: 年間の発注単価の差が、売り上げ規模に大きく影響する



クラウドワークスの1クライアントあたりの年間発注単価はランサーズの何倍?

冒頭で記載した1クライアントあたりの年間発注単価の差分を見ていきたいと思います。

ランサーズのクライアントあたりの発注金額は、2019年3月期の1年間で19.4万円です。

対して、クラウドワークスは1クライアントあたりの年間発注単価が31.7万円です。

まとめると以下の通りになります。

<年間発注単価比較>
ランサーズ:19.4万円
クラウドワークス:31.7万円
=>クラウドワークスが約1.6倍大きい

年間の発注単価の差が、売上規模の差に大きく影響していること分かります。テイクレートと同様に1クライアント毎の発注単価も、今後ランサーズとクラウドワークスの成長を見ていくうえで重要な指標の一つになるのではないでしょうか。

ここからの記事では、ランサーズの今後の成長において重要だと思われる数値について、クラウドワークスとの比較から明らかにしてきます。

この記事は、シェアリングエコノミービジネスに携わっている方、マーケットプレイス型のビジネスを担当されている方などに最適な内容になっています。

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重要なKPIその1:●●数の比較

重要なKPIその2:●●の割合比較

重要なKPIその3:過去1年間の●●数の比較

重要なKPIその4:過去1年間の●●の割合比較

主要KPIまとめ

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※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年12月26日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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image by : metamorworks / Shutterstock.com

『決算が読めるようになるノート』 2019年12月26日号『Q. 上場したばかりのランサーズとクラウドワークスの1クライアントあたりの年間発注単価の差はどのくらい?』より抜粋
※記事タイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部による

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