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投資初心者におすすめな投資信託の選び方…2024年に改正されるNISAをどう活用する?=花輪陽子

NYダウが高値を更新し、株式投資が再注目されています。現在のような投資環境のときにどんな投資をしたらいいのでしょう?おすすめのファンドを紹介します。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)

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プロフィール:花輪陽子(はなわ ようこ)
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。

シンガポールのファンドマネージャーに聞いたおすすめファンド

2020年はどんな年に?相場に合った投資信託ファンドの選び方とは

2020年は東京オリンピックや11月に米大統領選挙を控えていますが、安倍政権の解散総選挙の可能性も含めて、米中貿易摩擦や朝鮮半島動向など、どんな年になるでしょうか。東京オリンピック・パラリンピックは一過性のイベントに過ぎず、一般に株価や不動産とも無関係と考えてよいでしょう。

不動産はその地域の需給バランス、株式投資はマクロ経済やその会社の将来価値をしっかりと見極めることが重要です。

2019年はS&P500が30%程度上昇しましたが、昨年のウィーカンパニー(旧ウィーワーク)の上場撤回からIPOバブルに陰りが見え始め、危うい状況となっています。

また、アメリカとイランの緊張関係など世界情勢から目が離せません。

さて、S&P500などのインデックスファンドに投資をする場合、基本的にコストでファンドを選べばよいでしょう。

しかし、リーマン・ショックのような大暴落時にヘッジなしのインデックスファンドを保有していると大火傷を負います。

先行きが不透明な相場ではアクティブファンドを選ぶのも一つです。

パッシブ運用とは市場全体の値動きと同様の投資成果を目指す運用で、TOPIX(東証株価指数)などインデックスに連動した値動きを目指します。

他方でアクティブ運用は株価の上昇が期待される銘柄を厳選して投資をする運用手法です。

日本株はアメリカや欧州の株式と比べるとROE(株主資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)が非常に低いという特徴があります。

PBR(株価純資産倍率)は株価を純資産額で割って算出した数値で、解散価値とも言われます。

1株あたりの純資産が株価を上回っていれば、倒産をしたとしても買った金額より多い金額が理論上は戻ってきます。

日本企業は1.1倍などで、中には0.9倍の企業などもあります。米国は3.5倍程度、欧州は2倍前後です。

それでは日本株は割安だから買えばいいかというと、そんなに単純ではありません。米国や欧州の株式と比べると、ROEが低いからです。ROEとPBRは強い正の相関があります。

Next: 日本株はなぜ、海外投資家から評価されないのか



株価の変動に影響を与えるとして注目を集めるROE

ROEとは、投資家が投下した資本に対し、企業がどれだけの利益を上げられるのかという指標です。

ROEは次の計算式で表すことができます。

ROE=当期純利益÷自己資本=EPS(一株当たり利益)÷BPS(一株当たり純資産)

つまり、海外からは日本企業は利益を上げられないと低評価されているということです。

日本株は一般にアメリカ株やシンガポール株など外国株と比べると配当も少ないです。日本企業が資産を有効活用させて、利益を上げて、株主に対して配当を多くするなど、価値を投資家に還元させない限りはこの問題は解消されないでしょう。

アクティブファンドでは、企業調査によって組み入れ銘柄を選別します。ゾンビ企業が話題になっていますが、日本にはゾンビ企業がたくさん生存しています。

ゾンビ企業とは、長い間、利益が出せず、本来なら経営破綻しているはずなのにカネ余りを背景に銀行融資によって生き残っている企業のことです。

日本の低生産性企業の存続率は2010年を起点としてみて、5年後でも約半数近くが残っているのに対して、アメリカの上場企業の低生産性企業の存続率は30%程度に留まります。
※参考:第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化 第3節‐内閣府

ゾンビ企業が市場から退出して、新しい企業に入れ替わりをしない限り、日本に活力は出ないでしょう。利益を十分に上げられる会社でないと、投資家への配当や従業員への十分な給与を出せないからです。

アクティブ運用は買い一辺倒ではないファンドも

アクティブ運用の中では、ロングショートを採用しているファンドもあります。ロングショートとは、ロングは買い、ショートは売りを意味します。割安と評価する株を買う一方で、割高と判断される株を信用取引等で売り建てる投資手法です。

ヘッジファンドの代表的運用手法の一つで、公募の投資信託の中にも運用方針として採用されているものもあります。同一業種の割安株・割高株をペアにし、買いと売りの比重をどちらかに傾けて適用することが多いです。

株式相場の上げ下げに左右されずに、絶対リターンを追求し、下落相場でも小幅なリターンを積み上げていく手法です。ただし、買いの銘柄が下がって、売りの銘柄が値上がりすると、両方で損失が出て裏目の結果になるリスクもあります。

ロングショートを応用したマーケットニュートラル(市場中立型)という運用手法もあります。ファンドの設計のなかで投資目的および投資方針などという形で投資対象や運用の方針などが書かれています。

ファンドの設計の時点で買い一辺倒のファンドであればショートをすることはできないので注意が必要です。

そこで、今回はシンガポールのファンドマネージャーやプライベートバンカーなどに聞いたオススメの日本株アクティブファンドをご紹介しましょう。

Next: 日本株アクティブファンドでオススメなのは?



オススメの日本株アクティブファンド

J.P. Morgan Asset Management JPMザ・ジャパン

J.P. Morgan Asset Managementが優れた運用会社であること。日本株以外にも中国株式や外債などのファンドも優れた運用成績を出しています。

JPMザ・ジャパンの運用チームが優れていること。シンガポールのヘッジファンドの現役のファンドマネージャーに聞いたところ、非常にうまい運用をするファンドマネージャーがチームにいるということです。

加えて設立20周年という長寿ファンドです。日本のファンドはとにかく短命なファンドが多い中、長寿ファンドは貴重な存在です。

ひふみ投信

今では国民的ファンドとなりましたが、2008年頃の厳しかった時代も乗り越えました。実は2010年頃に社長の藤野さんと一緒にセミナーをしたこともありましたが、日本を代表するファンドだと思います。

APS Alpha Fund

APSALPH:SP

APSはシンガポールのヘッジファンドです。ビルゲイツ財団などの運用をしていたことのあるほどのファンドです。

ファンドラインナップの中でAPS Alpha Fundは公募投信なので一般も購入することが可能です。

ただし、このファンドは日本を除く東アジアの先進国および新興国株式です。シンガポールのオンライン証券などで取り扱いのある会社もあります。

ヘッジファンドの中には日本株単独のファンドもあります。

<藤原グローバルファンド>

シンガポールのMASからライセンス供与されている金融仲介業者が運用するヘッジファンド。ロングショートでバランスさせながら保守的なポジションを取っています。私募のために、購入するには適格投資家である必要があり、購入単位も大きくなります(※筆者注:初出時の説明に一部誤りがありました。お詫びして訂正します)。

もちろん、今年のパフォーマンスを約束するのもではありませんので投資判断はご自分でなさってください。

マネー現代の記事にヘッジファンドのことを書いたことがあります。
※参考:一般人もできる!高利回り15%「ヘッジファンド」の始め方とリスク‐マネー現代(2019年1月27日公開)

この記事を書いた時よりもヘッジファンドの購入単位が大きくなってしまいました。ただし、公募ファンドになっているヘッジファンドであれば他のファンドと同じように少額から投資をすることができます

オンライン証券などを活用させれば日本にいながら外国ファンドを購入することもできます。

フィリップ証券

外国ファンドを購入する場合、フィリップ証券が便利です。日本にあるUSドルをUSドル口座に送金をして運用をすることも可能です。

また、UOB、DBS、OCBCなどのローカル金融機関も証券会社を保有しています。もしくはプレミアバンクの銀行口座を保有して、オンラインでトレードをする形が一般的です。ヘッジファンドから直販で購入する場合、そのファンドによって購入単位が決まっています。

Next: 投資信託を買うにあたって知っておきたい、改正NISA



改正NISAについて

さて、改正NISAについて解説しているコラムは非常に多いですが、この2本をお勧めします。

日経の田村編集委員とも経済評論家の山崎元さんとも親しくしており、投資家目線で分かりやすい記事です。
※参考:イデコ・NISA大改革 間違いやすい5つのポイント‐日本経済新聞(2019年12月19日公開)
※参考:「新NISA」はいまのNISAとどこがどう違うのか‐東洋経済ONLINE(2019年12月21日公開)

要約をすると、2023年までの一般NISAと37年までのつみたてNISAがそれぞれ5年延びる見通しです。それと共に一般NISAは2024年から、新型NISAに変わります。

新型NISAでは2階建てとなり、1階部分は現在のつみたてNISA対象商品に限定して積み立て投資(年20万円上限)ができ、2階部分では投信や個別株を投資できます。ただし、
2階部分ではレバレッジ型の投信や整理銘柄や管理銘柄の個別株を排除
します。

すでにNISA口座を開いている人や過去に投資経験がある人の場合、1階部分は使わず2階部分だけで個別株の投資をすることも可能です。

また、改正NISAは2024年からなのでそれまでは現行の制度を利用することになります。

かなり制度が複雑ですが、日本で資産運用をする場合は非課税のメリットがあるNISAを活用させると有利でしょう。確定拠出年金のイデコも改正され、厚生年金の加入者などは65歳まで延長が可能になります。

ただし、NISAはいつでも好きな時に売却をできますが、イデコは原則として60歳までは解約することができません。お金を長期間、閉じ込めていかなければならないというデメリットも多いと感じます。

シンガポールの場合、強制貯蓄制度で約1/3は国の制度に積み立てなければなりません。しかし、多くの人は外でも貯めたがります。国家の制度は良く変わるからでしょう。また、自分自身のライフプランも変わります。

起業や子どもの学費など、「ここぞ」という時にお金の入り用ができる可能性もあります。

もちろん一定額をかけておくのはよいと思いますが、国を100%信用できない場合は国の制度の外で運用をするのも一つでしょう。

本日のまとめ

・インデックスファンドを選ぶ際にはコストに着目

・アクティブファンドは運用会社とファンドマネージャーで選ぶ

・暴落リスクがある時にもロングショートなら絶対的リターンを出せる

・改正iDeCoとNISA改正を抑えて、非課税メリットを受けよう

image by : oatawa / Shutterstock.com

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本記事は『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』(2020年1月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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