日米問わず、スタートアップへの転職の相談をよく受けます。今回は以前FacebookやTwitterに投稿したところ、とても反響が大きかった内容を記事にしてみたいと思います。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年1月16日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ブラック企業とスタートアップを見分けるためのたった2つの質問
「裁量が大きい」とは?
日米問わず、スタートアップへの転職の相談をよく受けます。
一番多いのがこのような内容です。
僕・私は『裁量が大きい』スタートアップに入りたいのですが、この会社に入っても大丈夫だと思いますか?
たいていの場合、「裁量が大きい」というのは抽象的な表現なので、非常に危険だという話をします。と言うのは、ほとんどのブラック企業ってとても裁量が大きいんですよ。僕のところに相談しに来るくらいなので、人より多く仕事をしてどんどん成長したいと思っている人たちが多いです。
こういう質問をしてくる方は、たくさん仕事をしたいと思っているので、長時間労働そのものがイヤだと思っている人は、ほぼいません。しかし「ブラック企業」に入りたいとは誰も思っていないんですよね。
誤解のないように書いておくと、「裁量が大きい仕事」が全ての人にとって良い仕事だというわけでは決してありません。
仕事の選び方というのは人それぞれで、毎日決まった時間に決まった仕事をして、決まった給料をもらうのが好きな人もいます。そういう働き方を否定するつもりは全くありません。
この記事で対象にしているのは、前述したように成長意欲が強く、大きなチャレンジを希望し、そのために自分の裁量の大きい仕事を希望している人だというふうにご理解いただければと思います。
ブラック企業とスタートアップを見分けるための最初の質問
「裁量が大きい」かつ(ブラック企業ではなく)本人のキャリア形成に役立つ会社はたった2つの質問で見極められます。その一つ目の質問ですが、これを(入社を迷っている会社の)社長に聞けば、だいたい一発で分かります。
その質問とは何か、知りたいですよね?(笑)
それは…
「今期の売上は、前期の何倍だったか教えて下さい」という質問です。要は売上成長率を聞けばいい、という話です。
ToC企業(直接ユーザーから売上を得る企業)で、売上よりもGMV(流通総額)やMAU(月間アクティブユーザー数)などを用いる方が、よりビジネスの実態を適切に表せる場合は、「売上」を「GMV」や「MAU」などに置き換えても構いません。
なぜこの質問が大事なのか?という理由ですが、売上成長率が高い会社というのは、売上の成長に社員数の増加が追いつかないので、良い意味で人が全く足りません。つまり、あなたにどんどん新しい(かつ、やりがいのある)仕事が回ってきます。まさに「裁量が大きい」状態にならざるを得ません。
Next: ブラック企業とスタートアップの違いはどんなところにあるのか
ブラック企業とは?
他方、売上が伸びていないのに「裁量が大きい」という会社は、単に人を増やせないのでブラック労働をさせている可能性が高いです。
できるだけ少ない人数で大量の仕事をこなす、つまり「労働力の単価をいかに安くするかだけ」を考えているのがブラック企業だと言えます。
経営者であれば少しでも労働単価を安くしたいと考えることは理解できますが、社員の個人としての成長と会社のベクトルが合わない状況が続くと、双方にとって悲劇を招くことになります。
この点も誤解を招きやすいので念のため書いておくと、すべての企業が急成長を目指すべきだとは全く思っていません。
普通の会社より圧倒的に速いペースで成長しようとする会社を「スタートアップ」、そうではなく安定的にしっかり利益を出せることを目指す会社を「スモールビジネス」と区分けして呼ぶ場合があります。
決してスモールビジネスが悪いと言っているわけではありません。例えばこの「決算が読めるようになるノート」を一つの事業として見ると、間違いなくスモールビジネスです。
この記事は、「急成長を目指すスタートアップに入りたいと思っている人が、そうではない会社に間違って入ってしまうことを防ぐ」というのが最大の目的です。この点だけご理解いただければと思います。
以下では「ブラック企業に間違って入社しないために聞くべき2つ目の質問」とその理由について書いていきたいと思います。
この記事は転職活動中の方、これから転職活動をするかもしれない方、企業の採用担当者の方、経営者の方に最適な内容になっています。
売上成長率の目安
なぜ「社員数の成長率 >> 売上成長率」だと危険なのか?
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『決算が読めるようになるノート』 2020年1月16日号『ブラック企業とスタートアップを見分けるためのたった2つの質問』より抜粋
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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方にも役立つ内容です。