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老後と雇用の不安に震える平成世代の価値観は?マイカー、マイホームは昭和の産物?

平成時代は、テクノロジーの急速な進化によって新たな経済社会の仕組みやサービスが誕生し、人々の価値観やライフスタイルが著しく変化しました。働き方が多様化する一方、25~34歳の非正規雇用率は、この30年間で10.7%(1989年)から25.0%(2018年)に上昇し(※総務省「労働力調査」)、就職氷河期世代の不安定就労が顕在化しています。

令和の新時代に入り、更なる技術革新、雇用システムの見直しや年金不安など、先行き不透明感を背景に人々の行動様式や価値観は一層多様化していくと考えられます。

そんな令和時代の経済社会の中核を担う若年層の意識、行動、価値観は、他世代とどのように違うのでしょう。カーディフ生命保険株式会社が実施した「平成世代」「ロスジェネ世代」「バブル世代」の世代別比較調査の結果をみてみましょう。

平成世代の約8割が「家や車を買う」派

「若者が車を所有しなくなった」と若者の車離れを指摘する声も聞かれますが、この調査では平成世代の78%が「家と車を買う」派と回答(家:ロスジェネ世代78%、バブル世代79%)(車:同77%、76%)。シェアリングエコノミーが浸透している同世代においても8割近くが家や車を所有したいと考えていることが明らかになりました。

出典:PR TIMES

住宅観に関する質問で世代間差がみられたのは、「家は家族が団らんする場所」(平成世代53%、ロスジェネ世代43%、バブル世代44%)、「家族の思い出を刻むもの」(同40%、29%、26%)。平成世代にとって、家は家族とのつながりを象徴する場であることが伺えます。一方、他世代と共通して高いのは、「家は仕事の疲れをいやす休息場所」(同51%、53%、54%)という価値観でした。

出典:PR TIMES

Next: 若者世代が感じている「不安」は?



平成世代の8割強が「老後資金」を不安視

現在感じている不安に関して、平成世代で最も高かったのは「老後資金」(86%)(ロスジェネ世代88%、バブル世代86%)。次いで「自然災害」(83%)(同82%、80%)でした。

平成世代とロスジェネ世代は、「病気・ケガで働けなくなる」(平成世代80%、ロスジェネ世代81%、バブル世代77%)「親の介護」(同74%、77%、63%)」、「失業・リストラ」(同61%、58%、52%)と様々な要因でバブル世代よりも高い不安感を持つ傾向があるようです。

出典:PR TIMES

平成世代の住宅ローン利用者の7割が「返済に不安」

住宅ローンを利用している平成世代の74%(ロスジェネ世代69%、バブル世代58%)が「返済に不安を感じた」と回答し、ここでも他世代よりも高い不安を感じているようです。

不安理由として最も高かったのは「病気やケガによる収入減」(58%)(同61%、69%)ですが、20%(同11%、17%)と他世代よりも「勤め先の倒産」を不安視している傾向もあります。

住宅ローン利用者のうち団信の特約に加入している平成世代は51%(同41%、16%)にのぼり、若年世代ほど加入率が高いという結果になりました。上乗せ保障によって病気などによるローン返済不能リスクに堅実に備えていると推察されます。

出典:PR TIMES


出典:PR TIMES


出典:PR TIMES

Next: 平成世代にとって理想の生活は?



平成世代の理想は「広い家に住む」「挑戦し続ける」こと

「理想の生活を送るために重視するものは?」という質問に対して他世代と顕著な差がみられたのは、「広い家に住む」(平成世代56%、ロスジェネ世代42%、バブル世代27%)、「贅沢な旅行をする」(同50%、39%、31%)、「人から羨ましがられることをする」(同37%、27%、18%)、「人より早く出世する」(同33%、25%、14%)、「挑戦し続ける」(58%、49%、41%)でした。

一方、全世代を通じて高かったのは「のんびり暮らす」(同89%、89%、89%)、「ひとりの時間を大切にする」(同84%、83%、84%)という回答です。体力もある、働き盛りの世代ならではの、夢と希望に溢れた結果と言えるかもしれません。

出典:PR TIMES

住宅購入によって行動が前向きに変化

住宅購入経験がある平成世代の68%は「住宅ローン返済のため、仕事を頑張るようになった」(ロスジェネ世代49%、バブル世代41%)、「オンとオフの切り替えができるようになった」(同46%、38%)と回答。公私ともに充実感を得ていることが伺えます。

また、「自宅に友人や家族を招くようになった」(62%)(同38%、33%)「外出が増えた」(54%)(同32%、20%)「地域イベントに参加するようになった」(49%)(同26%、20%)など、住宅購入により意識が前向きに変化し、アクティブに行動する傾向も見えてきます。

お金に関する意識にも変化がみられ、平成世代の73%が「計画的にお金を使うようになった」(同58%、58%)、「金融や税制に関する知識が高まった」(66%)(同51%、45%)、「資産の管理・運用を始めた」(55%)(同38%、26%)と回答しています。最も大きかった気持ちの変化は「ずっと住み続けられるという安心感が得られた」(86%)(同69%、72%)でした。

出典:PR TIMES

Next: NISA、つみたてNISAで資産運用している人の割合は?



「NISA、つみたてNISAで資産運用している」1割弱

日ごろのマネー行動に関しては、平成世代の38%が「毎月の自分の収支を把握」と回答(ロスジェネ世代37%、バブル世代43%)。「お金に関する情報を収集している」は19%(同13%、12%)でした。

「インターネットバンキングを利用している」平成世代は15%にとどまり(同25%、27%)、「NISA・つみたてNISAで資産運用している」は7%(同9%、10%)でした。

出典:PR TIMES

この調査結果を受けて、カーディフ生命保険株式会社の清瀬社長は、次のように述べています。

「昨今、テクノロジーの進化が急速に社会構造を変え、シェアリングエコノミーの普及によりライフスタイルが多様化する中、20~30代前半の約8割が“家を買う派”という結果は、どの世代においても依然として住宅購入が大切なライフイベントであり、家を所有することに対して価値を見出していることの表れと捉えています。

また、平成世代は理想が高く、挑戦心が強いという特徴からも、マイホームへの夢や憧れがあると考えられます。一方で、この世代は、住宅ローン利用者の7割が返済に不安を感じるなど、雇用不安や先行き不透明感を背景に、漠然とした将来不安を抱えていると推察されます」

※この調査では、経済・社会的背景が価値観に及ぼす影響を測定するため、概括的に次の基準で世代分けしています。平成世代:平成生まれおよび主にゆとり教育を受けた世代(20~34歳)/ロスジェネ世代:主にバブル崩壊の影響を受けている世代(35~49歳)/バブル世代:主にバブル景気時に就職した世代(50~59歳)

image by: shutterstock
source: PR TIMES

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