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LINEが300億円出資「出前館」は飛躍するか? 米中の同業比較で伸び代を測る=シバタナオキ

LINEグループから300億円の出資を受けた出前館、今後の伸び代は? 今回は出前館の将来性について、フードデリバリー事業で巨大な売上をあげているアメリカのGrubhubと中国の美団点評を比較してみます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

(※筆者注:この記事はYusuke Gotoさんとの共同制作です。共同制作者のYusuke Gotoさんは、SaaSビジネスのマーケティングを担当されているサウナ好きのライターさんです。)

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プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

出前館に伸び代はあるか?

今回は、先日LINEグループから300億円の追加出資を受けると発表があった出前館と、フードデリバリー事業で巨大な売上をあげているアメリカのGrubhubと中国の美団点評を比較してみます。

※全て直近で発表されている四半期の決算数値で比較します。出前館:2020年度Q2(2019年12月~2020年2月)、Grubhub:2019年度Q4(2019年9月~12月)、美団点評:2019年度Q3(2019年7月~9月)

2020年8月期(第21期)第2四半期決算説明会
2020年8月期第2四半期決算短信
2020年8月期 第1四半期報告書
2019年8月期(第20期)決算説明会資料
Grubhub Reports Fourth Quarter And Full Year 2019 Results
ANNOUNCEMENT OF THE RESULTS FOR THE THREE MONTHS ENDED SEPTEMBER 30, 2019

各社の会社概要

まずはじめに、それぞれの企業について簡単に説明をしていきます。

1.出前館

出前館は2000年から日本で運営されている、飲食店と出前を頼みたいユーザーを結ぶフードデリバリーのポータルサイト。先日、LINEグループから300億円の追加出資を受け、実質子会社化されることが話題になりました。

2.Grubhub

Grubhubは、シカゴに拠点を置き、アメリカとイギリス・ロンドンでフードデリバリーサービスを提供している全米一位のフードデリバリープラットフォーム。先日、コロナウィルスの影響の受けた独立系レストランからの手数料徴収を一時的に停止すると発表しました。

3.美団点評

美団点評は口コミグルメサイトの点評と、オンライン共同購入型クーポンを販売する美団が2015年に合併しサービスを開始した北京に拠点を置く企業。世界最大規模のフードデリバリー事業などのオンデマンドサービスを展開しています。

各社の会社概要

次に各社の決算を見てみましょう。

美団点評の四半期売上高は全社で4,260億円、売上高の成長率は前年同期比+44.1%と共に高い数値を記録しています。

出前館は四半期における全事業の合計売上高が約20億円、売上高前年同期比は+19.3%と成長しています。

しかし、出前館とGrubhubは、成長のための投資が先行しているため、四半期単体で見ると営業利益が赤字になっている状況です。

フードデリバリー事業単体で見ると、出前館は+26.7%と全社で見たときよりも、高い成長率を記録している状況です。

Next: フードデリバリー事業で重要な指標の一つである、「流通総額」を比較して――



流通総額比較

フードデリバリー事業で重要な指標の一つである、「流通総額」を比較してみます。

四半期の流通総額も美団点評がダントツの約1.7兆円と、強さが目立つ状況となっています。

また、Grubhubも約1,600億円という規模に加えて、前年同期比+14.3%の高い成長率を示しています。

出前館の流通総額は約220億円です。人口の差を加味しても、2社と比較するとまだまだ規模が小さいと言えます。

四半期あたりの合計オーダー数

次に、流通総額の構成要素の1つである「オーダー数」を見てみましょう。

オーダー数は、上述した流通総額と比例関係にあることがわかります。

美団点評のオーダー数が約24.7億件、Grubhubが約4,500万件、出前館が約820万件と美団点評が圧倒的なオーダー数を誇っています。

出前館は以前から有価証券報告書等でオーダー数を開示しています。そのことからも、フードデリバリーサービスにおいてオーダー数は重要なKPIと言えるでしょう。

Next: もう1つ、流通総額に影響を与えるKPIである「平均注文額」を比較して――



1オーダーあたりの平均注文額

オーダー数に加えてもう1つ、流通総額に影響を与えるKPIである「平均注文額」を比較してみます。

平均注文額は、これまでの流れとはガラっと変わり、Grubhubが最も高い金額となっています。

美団点評については出前館と比べても少ない額となっていますが、これは物価や平均賃金などが影響しているものと考えられます。1回あたりの注文金額は低くとも、中国の多くの人口に支えられたサービスであると言えるのではないでしょうか。

以上、各サービスの売上、流通総額とその構成要素であるオーダー数と平均注文金額について見てみました。

記事の後半では、「Q. LINEグループから300億円の出資を受けた出前館。米中の同業比較から見える今後の伸び代は?」の答えとなるKPIを3社で比較し、そのKPIの差がどのような原因に基づいているのかを考察していきます。

この記事は、フードデリバリービジネスに興味がある方、日米中それぞれの宅配マーケットに興味のある方、LINEから出資を受けた出前館の伸び代がどこになぜあるのかに関心がある方に最適な内容になっています。

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ヒント:アメリカ、中国のフードデリバリーサービスと比較すると、出前館はまだ低率な「●●」というKPI。LINEとの連携によって●●●●を拡大することで、このKPIも改善すると予想できる。

各サービスの●●比較

●●を構成する要素分解

出前館とGrubhubの1オーダーあたりの●●比較

各サービスの●●比較

まとめ

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『決算が読めるようになるノート』 2020年4月9日号『LINEグループから300億円の出資を受けた出前館。米中の同業比較から見える今後の伸び代は?』より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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