インデックス投資と個別銘柄投資。あなたの資産をより増やすためには、どちらを選択することが正しいでしょうか?その選択こそが、運命の別れ道になるかもしれません。今回は、インデックス投資と個別銘柄投資の長所と短所について見ていきます。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。
インデックスファンドの押し付けに疑問
こんなことを言うと、多くのファイナンシャルプランナーさんから叱られるかもしれませんが、僕はインデックスファンドの押し付けに疑問を感じています。
インデックスファンドというのは、例えば日経225やS&P500といったように、各市場の平均点(インデックス)連動型の投信のことです。
各国の株式市場にはインデックスがあり、インデックス構成銘柄や銘柄ごとのウエイトが開示されています。
ですからインデックス連動のファンドは運用コストを低減でき、私たちはインデックスファンドを使って、低コストでお金を増やすことができるのです。
インデックスファンドへの投資を突き詰めていけば、「私は平均点で充分だ、その代わりコストは極限まで抑えたい」という発想に行き着きます。
平均点で十分なら、自分自身で会社を研究する必要はありません。
さらに予測を放棄しているので、運用の責任を自らに問う必要もなく、ただ結果を受け入れるのみです。
つまりインデックス運用を凝縮すれば、「予測の放棄と結果の受け入れ」にあると言えるでしょう。
投資は平均点で十分?
もちろん僕はそれが悪いと言うつもりはありません。
たとえば個別の企業業績を分析してみたり、その企業の将来を予測したり、さらには今後の経済や社会がどのような方向に向かって進むのか、あれこれ想像してみたり。
こんな予想は苦手だし、本業があるのでそんな時間もない……。大勢の方はそのような考えで、インデックス運用に甘んじているに違いありません。
なにしろインデックス運用でも、先進国株の長期的なリターンは6%もあります。6%も取れれば十分だとお考えの方のほうが、むしろ正常なのかもしれません。
しかも個別銘柄運用では、持ち株が紙切れになってしまう可能性すらあります。
「私は株にそこまで求めない、考えない代わりに平均点で十分だ」。
このような考え方に僕は、なんら違和感を持ちません。
ただし個別銘柄投資にも、インデックス運用にはない魅力があります。
Next: たとえば自分の読みが当たった場合の儲けの大きさと満足感です。それは――
個別銘柄投資の大きな魅力
たとえば、自分の読みが当たった場合の儲けの大きさと満足感です。
そうしょっちゅうあることではありませんが、とくに小型株の場合、投資額が10倍以上になることだってあります。
たとえ5銘柄程度だけの分散投資をしていても、そのうち1銘柄が数倍になれば、それで十分な利益を得ることもできます。
万が一、その5銘柄のうち1銘柄が破綻しても、全体としてはOKというシナリオを描くこともできます。
個別銘柄投資の利点は、ほかにもあります。
1つ目は、究極のローコスト投資であるという点です。
近年ローコストのインデックスファンドが増えてきましたが、それでも初期手数料ゼロで、かつ信託報酬ゼロというわけにはなかなかいきません。
これに対して、個別銘柄投資はどうでしょう。
証券会社に支払う株の購入手数料はほんのわずかかかりますが、運用資産額の中では無視できる金額ではないでしょうか。
2つ目は自分自身の知識やスキルの向上で、僕はこれが大きいと思います。
個別銘柄投資を長くやっていますと、何度も痛い目に遭いますし、逆に大儲けすることもあります。
人は学問を通して知識を増やすこともできますが、自分の損得勘定を通して身に着く知恵や知識は、学問には代えがたいものがあります。
さらに単に株で損した儲けたという、狭くて浅い知見にとどまりません。
これは僕自身の経験から申し上げますが、個別株投資を通して身に付いた経験やスキルは、他のあらゆる投資……たとえば債券や保険など紙の資産だけではなく、不動産やコインなど実物資産投資における相場観の形成にも役立ちました。
まさに個別銘柄投資は投資の原点だと言えるでしょう。
あなたに合った投資は?
今回のメルマガでは株のインデックス運用と、その対極にある個別銘柄投資について考えてみました。
どっちが良くて、どっちが悪い、と言うつもりはありません。
人それぞれ個性も違えば、株への期待値・位置付けも異なります。
ですから、どちらの方向に進まれるかは、皆さん次第です。
それぞれに長所と短所があること、そして私たちはどちらの方向に進んでもいいんだということを知っていただきたく、今回のメルマガは書きました。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2020年5月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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