新型コロナウイルスの影響で、米国小売業界では2020年中に2万5,000店舗が閉鎖されるという衝撃の予測が出ました。小売業界からの失業者は、今後ますます増える一方だといいます。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2020年6月25日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
店舗閉鎖は増加の一途
米国小売業界では、2020年中に2万5,000もの店舗が閉鎖される見込みとの予測が出ました。海外報道を翻訳しながら、その悲惨な状況を解説します。
小売チェーンの分析で有名なコアサイトの予想では、今年度、実店舗が2万から2万5,000店舗ほど閉鎖されるとの予測を出している。
今年度初めの予測では、1万5,000店舗の閉鎖であったので、大きな下方修正である。なお、前年の2019年通年の閉鎖店舗数は9,300店舗であった。
コアサイトの調査によると、2020年6月上旬現在の小売分野での店舗閉鎖数は4,000店舗とのことである。
出典:Coresight predicts record 25,000 retail stores will close in 2020 – CNBC(2020年6月9日配信)
すなわち、今年度、下半期には2万1,000店舗の閉鎖を見込んでいることになります。小売業界からの失業者は、今後も減るどころか増加の一方になると考えられます。
世界最大の宝石チェーンも大量閉店へ
最近の実店舗閉鎖の例では、世界最大のダイヤモンド宝石小売チェーンを複数ブランドで実店舗展開しているSignet社の店舗閉鎖報道が注目されました。
中間層顧客グループが縮小していることを肌身で感じているのでしょう。従業員総数は約3万人です。
こちらも現地報道を翻訳しながら解説します。
大手小売宝石店チェーンのSignet社は、約400店舗の閉店を進める予定である。
同社の2020年第1四半期業績は、売上は40.5%減少して852M$へと落ち込んだ結果、291M$の損失となった。
同社は米国、カナダ、英国で3,200店舗を展開しており、北米地域で約150店舗、英国では80店舗を一時的に休業しているが、これを閉店に切り替え、さらにあと150店舗ほどの閉店を考えているそうだ。
同社はこれまでにも、2018年に150店舗、2019年に200店舗を閉店している。
実店舗販売からオンライン通販へと切り替えているが、それも2020年第1四半期の伸びはたったの6.7%であった。
この会社の第2四半期業績発表はまだまだ先になりますが、どのようになるのかまったくわかりません。
Next: 続いて、コロナ不況で婚姻率・離婚率・出生率がどう変わったのかを見て――
婚姻率・離婚率・出生率はコロナ不況でどう変わった?
続いて、コロナ不況で婚姻率・離婚率・出生率がどう変わったのかを見てみたいと思います。まずは以下のグラフをご覧ください。
青色折れ線グラフは婚姻率、オレンジ色折れ線グラフは離婚率です。いずれも人口1,000人あたりの率です。
婚姻率は、1920年の狂乱怒涛の時代の人口1,000人あたり12件から、1930年には10件へと下がり、これがその後に8件以下に下がり、そして元の10件に戻ったのは1933年だったのです。
離婚率も傾向としては同じ動きを示しています。
大恐慌の頃の「婚姻率マイナス離婚率」は 黒色の上向き矢印で示しています。2020年現在の「婚姻率マイナス離婚率」は緑色の上向き矢印で示しています。
婚姻率は1980年以降、米国経済の凋落と正の相関関係で減っており、2020年以降は急激に減ると思われます。
出生率のグラフはここには掲載されていませんが、大恐慌当時は1930年当時を100とすると、1933年から1940年の約7年間は85から90の間で推移していました。
となると、2020年から始まった新型コロナウイルス大恐慌では少なくとも2030年頃まで、出生率は下がったまま回復しないだろうと推定できます。
1930年から1933年の間、3分の1の家庭で、家族数が2倍に増えたとの報告があります。その多くは、結婚した娘が夫と子どもを連れて実家に住んだそうです。
このような現象が再び起きる可能性は高いと想像しています。
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・銀行耐久度テスト:合格?不合格?(7/6)
・米国失業率:大恐慌レベルを越した(7/5)
・1933年の金没収の実態(7/3)
・貴金属鉱山産業の現在:武漢冠状病毒の影響(7/2)
・優良企業の大量首切り報道特集(7/1)
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※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による