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小池都知事、任期満了まで持たない?パフォーマンスオンリー政治は短命に終わる=山崎和邦

小池都知事の再選は株式市場にはまったく影響がないが、任期満了まで持たない可能性がある。直近のニュースや政治動向と合わせて解説したい。(「週報『投機の流儀』」山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2020年7月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

今年の9月〜10月に衆院解散実施か

8月に内閣改造を行い、8月24日に訪れる首相在任期間新記録の達成を見届けて、9月召集の臨時国会の冒頭かその直後に解散断行を仕組む可能性がある(シオタウシオ、週刊東洋経済誌7月18日号)。

安倍首相は耳学問だけに立脚した最低限の知性と情報収集と官僚機構を活用する調整型政治家が「安倍の地」である。

異常時の首相の適任者ではない。異常時の首相には決断力・発信力・牽引力を備えた異常人でなければならない。その点ではトランプの方が異常人だ。

安倍首相の本質は異常時のリーダーではなく、平常時型のリーダーだと言って良い。民意の結託をテコに0を1にして立ち上がるのではなく、周辺の声を調整しながら様子を見て動くタイプである。

任期切れまでの1年2ヶ月間の政権運営に臨む決心を固めているだろうが、安倍首相には改憲志向のように理念派の一面もあるが、本質は耳学問による情報収集力と官僚機構を利用する調整型政治家である。こういうタイプは危機に弱い。

「コロナ第1波は日本勝利」の謎

確かに感染者数と死者数は欧米諸国に比べて日本は圧倒的に少ない。

これは国民皆保険制度による医療のアクセスが良い・地方でも医療レベルが高い・公衆衛生水準が高い・生活慣習や文化が違うなどなどの理由からであり、麻生副総理が言ったから信憑性に欠けるように見えるが、実際のところは民度の高さと生活習慣の違いがあったと思う。

一方、運が良かっただけではないかという説もある(神戸大学岩田健太郎教授)。

日本に来たウィルスと欧米のそれとは毒性が違ったのではないかという仮説である。つまり運だ。ヒトの細胞内に侵入したウィルスが細胞の気孔を使って自らのゲノム情報をコピーして増殖していく際に起こるウィルスの突然変異によって日本の分だけ毒性が変わったのではないかという仮説である。

あまり味わいの良い仮説ではない。民度が高いと思いたい。また事実、生活習慣や行動監修が欧米とは全く違うことは事実である。

コロナ禍そのものはたいした問題ではないがそれの及ぼす影響の方が大きい

コロナ禍は反グローバル化を加速させる。

外に敵をつくって叩くポピュリスト政治家がコロナを敵として誕生する。敵はコロナだからだ。典型が「小池百合子」である。

米中対立の激化。アメリカ人のほとんどはコロナのパンデミックは中国武漢における初期政策が間違っていたからだと信じているし、トランプはそう叫んで選挙運動にしている。

独自の道を行こうとした北欧諸国(スウェーデンなど)には政治の分断は起きず経済も好調。

米中対立の狭間で各国は自国の国益のみを追求するようになろう。

Next: 現在の日経平均が大天井から1割下でとどまっているのは、もちろん日銀に――



「英雄の末路、哀れむべし」か。日銀の行く末

現在の日経平均が大天井から1割下でとどまっているのは、もちろん日銀によるETFの買いがテコ入れになっているからだ。長期的に見れば非常に不自然な相場である。

結果的に上値は重いし下値も深くはないということになる。投資妙味がない相場となった。健全な資本市場ではないと言える。

アベノミクス相場は期待先行の金融相場から始まった。何事も大相場というものはそういうものだ。

その時に日銀の黒田総裁は英雄視された。アベノミクス相場の青春期の米フォーブス誌(だったと思う)のアンケートによれば「世界で最も影響力のある人物」は1位がプーチンで4位が黒田総裁だったことがあった。その後も、フォーブス誌のアンケートでは、日本人では黒田が最も順位が高かった。

当時は黒田総裁の記者会見は「黒田バズーガ砲」と言われ、2014年10月末の連休前の黒田会見は壮年期相場の活況を演出した。「黒田バズーガ砲第2弾」と内外で騒がれた。

しかし前述したように日本の株式市場は不健全な資本市場となった。国民年金の原資を運用するGPIFは25%を株式で運用することも安倍政権は決めた。

それと日銀のETF買いが結果的には日本株式市場を下支えした。こういう人工的なものは不健全さを招く。そして日本だけが出口戦略に最も遅れた。

2年前の年末にジャーナリスト嶌信彦氏とのパネル・ディスカッションで筆者は幕開けの基調講演を依頼されて、「英雄の末路、哀れむべし」として日銀の行く末を述べた。

シーザー・ナポレオン・源義経・織田信長を列挙して英雄の末路は悲劇で終わると述べ、後年の現代金融史では黒田さんは国賊扱いされるのではなかろうかと危うんだ。

まだそこまでは来ていないが、これからの日銀はどうなるのか、これからのGPIFはどうなるのか、これからの日本市場はどうなるのか、長期に見ればそういう懸念がある。

小池都知事、任期満了まで持たない?

小池都知事の再選は株式市場にはまったく影響がないが、任期満了まで持たない可能性がある。

故にこれまで本稿ではテーマとして扱わなかった。相変わらずのパフォーマンス政治に終始し、今後4年間の公約や過去4年間の実績についての議論もなく、コロナに注意しましょうということだけに話をそらせて、選挙前の党首討論もなく、コロナ問題のワンマンショーを演じて選挙対策として選挙は終わった。

最初から最後まで劇場型政治を貫徹している。

ただ選挙は多数決だから票が集まった者が当選する。だからトランプが再選されそうだという話しにもつながる。これは大きい。だが、小池都知事の話しは大きくない。

彼女が任期満了まで務められるかどうか不明である。「絞り込む」「差別する」「排除する」の言葉だけをマスメディアが独り歩きさせて国政の政治生命を喪失した、彼女の傲慢さの表れと見る。あれと似た事件はいつでも何度でも起きえるであろう。

現に自分でもそれを感じているらしく、テレビ東京の番組で池上彰から「任期を全うするのか」と問われたら返答を避けた。「健康をしっかり守っていきたいです」と話をそらせた。パフォーマンスオンリーの政治には寿命が近いことを自覚しているのであろうか。

こういうのを選ぶ都民のレベルも怪しい。こういう憎まれ口を言いまくる筆者含めて、だ。

Next: 彼女には最初からある種の胡散臭さが漂っている(彼女は公人だから、個人――



小池都知事にある数々の疑惑

彼女には最初からある種の胡散臭さが漂っている(彼女は公人だから、個人事情を云々されても仕方ない立場にいる)。

第一に、出自が怪しい小池、芦屋の令嬢説の怪しさ(※1)、カイロ大学卒業という学歴詐称疑惑(公職選挙法違反疑惑)、見え透いた目立ちたがり屋、公安委員にワイロをやったのか(※2)ピラミッドに登り和服で写真に収めて売り出し自己宣伝した、喧嘩を売って人目を惹くワンパターン、権力に擦り寄る巧みさ、細川、小沢、小泉、みな引っかかった。安倍さんだけには失敗したから後ろ足で砂を蹴るように自民党を飛び出し「個人対組織の闘いをご覧あそばせ」と大見えを切って注目を浴びて都知事になった。

※1:この程度の嘘は許容範囲だ。ココ・シャネルも富裕な地主育ちとなっていたが、実は孤児で修道院育ち。これは、彼女の黒と白の配色が修道女の影響だ。この程度はどうでもいいのだ。

※2:筆者自身、何度も試したが、そうでないとピラミッドには登れない。メキシコのティオティワカンのピラミッドには誰でもいつでも登れる。

筆者は4年前の夏、某経済誌にて寄稿を頼まれ、思うとおりに書いたらひと月でクビになってしまった。山崎氏の独断と偏見に満ちた政治家論には辟易するという意見が多かったからだった。筆者は人に相談して書くわけではないからもちろん「独断」である。また、自分の意見が普遍的に正しいとは言ってないから「偏見」もあろう。

先輩諸氏には昔からアドバイスを受けてはきたが、筆者は「100人の敵を作っても100人の味方ができればいいのだ。200人に良かれという意見では1人の味方もできないものだ」と言い切ってきた。ビジネスマン時代も退任後の大学教授時代の今も、その流儀を一貫させる生態系で筆者は棲息してきた。

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第1部:当面の市況

・先週4日間は日足で「クジラ幕相場」を形成、典型的な往来相場。今週も週初は弱含み保合いで始まろう
・本格的な大相場の始動期は先週のような様ではない
・割安株の代表的存在で低PBRの代表的存在かつ高利回りの代表的存在であるところの銀行株が蚊帳の外に置かれてきた
・高利回且つ低PBR銘柄の台頭気配は本物か
・三角保合いの意味するところ
・低PBRの景気敏感株(鉄鋼・自動車など)が週初に大幅高したが…
・ここで目を離せば3月19日のような好機を見失う!!当面は上値重く下値も浅いという退屈な市況、ただし、「ここで目を離せば3月19日のような好機を見失う」ということだけは強調したい
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第2部:中長期の見方

・長期的に見て海外勢の買い越し・売り越し額は日経平均の大勢物語の筋と全く合致していた。日銀は年に6兆円買うが海外勢は今年に入って4.6兆円を売り越した
・コロナ禍で日米の貯蓄率が大幅上昇
・トランプかバイデンか。バイデン当選の可能性-バイデンならNY市場は一旦混乱
・中国の動向、狡知も奸智も悪知恵も中国の方が米国より上だ
・コロナ禍はそれ自体ではたいした問題ではないがその後が問題だ
・リーマンショック後の戻り相場とは全く異なる様相を呈している今回の戻り相場
・「景気変動による株価趨勢の変動」と「外部要因による株価趨勢の変動」、この2つは回復の仕方が異なるという事実。後者は回復が早いという事実
・反グローバル化と「象の鼻」──既報で既述した「グローバリズムへの疑義」の続き
・コロナ禍そのものはたいした問題ではないがそれの及ぼす影響の方が大きい
・コロナウイルスの感染拡大は米中摩擦を激化させる─「失望・嫌悪感・脱中国・反中国」の連鎖である
・価値あるものを価値より安く買える好機
・西側の中国に対する失望→嫌悪感→脱中国→反中国。そして香港は戦
・今は誰も言わぬが「中国の2023年問題」
・米中激突を巡って経済分断の危機もあり得る
・「コロナ倒産はこれからが本番だ-JAL倒産を手掛けた瀬戸英雄弁護士が断言」(週刊ダイヤモンド誌7月18日号記載)、その内容をできるだけ短く要約する
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  • ここで目を離せば3月19日のような好機を見失う!(7/19)
  • (補足資料)「現にある相場」から考える投資行動、その一選択肢(7/19)
  • トランプ大統領再選なるか(7/12)
  • 下値は浅いが上値は重いというボックス相場(7/5)

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image by:Fiers / Shutterstock.com

山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2020年7月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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