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安倍辞任、なぜ海外紙は功績を評価?「トランプとの蜜月」の世界的価値=山田健彦

安倍首相退任の記者会見では、総じて批判的な質問をぶつけてくる記者が多かった印象です。しかし、海外メディアでは功績を好意的に評価する報道が多く、こちらの方が客観的に判断していたと思います。(『資産1億円への道』山田健彦)

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メルケル首相が安倍首相に相談「どうしたらトランプと仲良くなれるのか」

安倍首相が退任を表明をしました。人の考え方は様々ですから、退任をウェルカムと考える人もおられるでしょう。個人的にはとても残念です。

外交面では、民主党政権がほぼ完璧にぶち壊した日米関係の修復に力を注ぎ、その結果、当時の現職アメリカ大統領が来日。広島で核廃絶の演説をして献花を行うという、世界中のメディアが称賛した成果を上げました。

また、言うことがコロコロ変わるトランプ大統領と信頼関係を築き上げ、在日米軍維持費の増額要求を巧みにかわしました。ドイツのメルケル首相が「どうしたらトランプと仲良くなれるのか」を聞くためだけの目的で、安倍首相に国際電話会議を申し込んできたこともあったそうです。

また、トランプ大統領がもっとも信頼している外国首脳は安倍総理といわれます。そのためトランプ大統領は、金正恩書記長との二度に渡る会談で「拉致問題」を議題の1つに取り上げ、拉致被害者の解放に向け助力してくれたり、中国の習近平主席もこの件では北朝鮮に度々解放に向けて取り組むようメッセージを送ってくれたそうです。

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を推進するなど、何かと利害関係が対立しがちな経済・外交問題で他国とこれほどの信頼関係を築き、成果をあげた政治家は今後しばらくの間は出てこないのでは、と思います。

海外メディアは安倍政権を高く評価

残念ながら国内問題ではアベノミクス三本の矢のうち、最も大事な「成長戦略」が縦割りの官僚機構、族議員そして政府が旗を振る改革には何でも反対の野党等のため、十分な成果をあげられませんでした。

二度に渡る消費増税も、経済再生のアクセルを踏みながら同時にブレーキもかけたというチグハグさは否めませんでした。

退任の記者会見を見ていましたが、総じて批判的な質問をぶつけてくる記者が多かった印象ですが、海外の一流メディアでは功績を好意的に評価する報道が多く、こちらの方が客観的に判断していたと思います。

特に安倍政権には割と批判的な記事を載せるニュー・ヨーク・タイムズも今回は「東日本大震災からの復興を率い、アメリカのトランプ大統領とも良好な関係を築いた」と評価していました。

「来年以降は」株価低迷か?

次の総理は誰になっても当面の政策は現状維持となるでしょうが、来年以降は財務省に説得されて徐々に緊縮財政、再々増税の話題が持ち上がりそうな気がします。

そうなると再度の経済失速懸念から株価低迷もあり得るので投資家としては、欧州株、米国株の研究にも時間を割いたほうが良いような気がします。

ただ、これは1年以上先の話なので、直ちにアクションを起こす必要はないと思います。

Next: 現政策の継続は揺るがない?海外投資家は日本株の今後をどう見るか



海外投資家はどう見るか

改めて、安倍総理辞任のニュースには本当にびっくりしました。

日経平均が一時600円超の値下げとなったためか、この先1ヶ月くらいの間に買えればラッキーかな~と、かなり下の方で指値をしていた銘柄が2つあったのですが、2つとも14時20分くらいに買えてしまいました。

しかもその後、株価が急速に戻したため、終値ベースでは5パーセント近くの含み益となってしまいました。

日経平均株価終値 15分足(SBI証券提供)

気になるのは海外投資家が投資先としての日本の先行きをどう見るかですが、主要海外メディアの報道を見る限りでは、割と落ち着いたものになっています。
※参考:安倍首相辞任でも、経済・金融政策運営には大きな変更なしとの見方 – Bloomberg(2020年8月28日配信)

ロイターは、「コラム:関心はポスト安倍の経済政策へ、避けられぬ成長戦略の練り直し」という見出しの中で、「安倍首相と政策スタンスが最も異なる政治家が首相になっても、現在の大規模な財政出動と超金融緩和の政策は当面、継続せざるを得ないだろう」とし、現政策の継続は揺るがないとしています。

また「民間企業の利益剰余金が急膨張し、現在のコロナ危機に際し、日本の大企業の財務体質が欧米と比べ、相対的にしっかりしている。これは安倍政権の功績の1つだ」との記述もあり、ある程度の安心感をもって見ているのがわかります。

しかし「一方で、成長戦略は見直しが急務だ。第2次安倍政権の7年8カ月を通じ、ITを中心にした『生きのよい』成長産業や企業は生み出せていない。このコロナ禍で打撃を受けて市場から敗退するかもしれない企業に代わり、雇用を支える新しい受け皿があるかといれば、かなり心配な状況だ」とも指摘しています。
※参考:コラム:関心はポスト安倍の経済政策へ、避けられぬ成長戦略の練り直し – ロイター(2020年8月28日配信)

今週は、次期総理選出の動き次第で市場は神経質な展開になると思われるので、新規投資は控えて手持ちの銘柄の動きに注視して一旦撤退、買い増し等を考えていきたいと思います。

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資産1億円への道』(2020年7月13日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。

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