80年代に週刊少年ジャンプで連載され、当時の少年を大いに熱狂させた「キン肉マン」。現在は週プレNEWSでのWeb連載にくわえ、週刊プレイボーイでの同時連載も今年8月から始まるなど、以前と変わらぬ人気を誇っているが、その周辺で“作品内容のネタバレ”にまつわる騒動が勃発し、ファンをヤキモキさせている。
各社の報道によると、Webでの連載の開始されて以降、Twitter上にスクリーンショットのよるネタバレ画像がアップされる行為が後を絶たなかった同作品。このような状況に対して、作者である嶋田隆司氏が自身のTwitterで度々苦言を呈していた。
それに呼応するように今月10日には、週プレNEWSがSNSやブログ等、ネット上における『キン肉マン』画像利用についてのお願いという記事をアップ。そのなかで編集部の声明として、漫画のスクショのアップとともに、文章によるネタバレ投稿に関しても、発信者情報開示請求・刑事告訴・損害賠償請求といった法的手段を講じることを表明したのだ。
これに対して、週1回の更新日にはSNS上で大いに盛り上がっていたファンたちは、「ネタバレ行為=悪」という共通認識は持ったうえで、様々な反応を見せた。特に取沙汰されたのは、「文章によるネタバレの基準はどこ?」という点。作者・出版社サイドとしては「感想はOK」ということだが、それでも拭えないネタバレ基準の曖昧さに、一様に戸惑いの声があがった。
キン肉マン何が悲しいってネタバレは文章すらアウトなわけでじゃあ線引きはどこなんだと言うのは一切分からない今まで俺達が盛り上がってたのはなんだったんだ?ってなるし新しい超人が出てその名前でどんな技使うのと考えたりとかこれからの展開とか盛り上がったのも犯罪なのか?ってなるんだよな…
— ぽちょむきん (@potemkin0P) September 10, 2020
キン肉マンのネタバレ禁止って早バレに対してのことかと思ってて「そりゃ当然でしょ」とおもってたけどウェブ掲載直後に感想をつぶやくことも「5分で消費されて悲しい」「法的措置取るかも」って言われてたのか こんなの自ジャンルで言われたら泣くなhttps://t.co/9789i30PBz
— でん (@dend_er) September 11, 2020
当然、作品のネタバレ行為は許されるものではなく、以前にもいわゆるネタバレサイトの運営者が摘発された事例もある。とはいえ、今回の作者・出版社サイドの宣言は「さすがに悪手だったのでは」という意見も多く見られた。
キン肉マンの件。
「この線を超えたら殴る」って言われたら線を超えないように動けるけど、「近づいたら殴る」って言われたらもうピクリとも動けんよね。利害や感情はさておき、ネタバレの基準なんて人それぞれで明確な基準を出せないのに中途半端なメッセージを出しちゃったのは悪手と思いました。
— MASATO (@masatoff) September 11, 2020
ネタバレの線引きをどうするかはともかく、キン肉マン周りは「ファンダムの盛り上がりは欲しいし実際ネットで盛り上がったけど、美味しいとこだけ取って線引きの責任は訴訟リスクという極めて強い形で全部読者に投げる」というのをしたので、たぶん信頼を取り戻すのはもう難しいと思う
— かぷりにおしりこ (@heppoco01) September 10, 2020
「もうツイートはしない」の声も
Web連載の「キン肉マン」は毎週月曜日に新作が更新され、最近ではその度にSNS上が大盛り上がり状態に。先月31日に更新された際には、作中の超人である「レオパルドン」というワードが、Twitterトレンドの1位となったほどだ。
それだけに大いに気になるのが、今回の「ネタバレ法的手段表明」を受けた後のSNS上の盛り上がりはどうなるのかという点だが、ファンたちの反応を見ると「もうツイートはしない」という声が一定数あるようだ。
一般人にとって怖いのは「誤って著者の権利を害してしまうこと」ではなく「訴訟されること」なので、キン肉マンについては極力ツイートしない以外の対策はない。
— 高川 新一@諏訪さん (@HANDBIT) September 10, 2020
ζ*'ヮ')ζ<キン肉マンという作品は好きなのでこれからも読み続けるけど感想はもうツイートしない。訴訟が怖いんじゃなくて告訴を匂わせるのはさすがにやりすぎと思ったからで。
— 黄やよい (@yellow841) September 10, 2020
普通に読むと「今後キン肉マンに関するネタバレを含む感想は公式コメント欄以外では訴訟リスクが発生しますのでご注意下さい」にしかならないので、まあ萎縮するのはやむを得ないっすなあ。 https://t.co/QA52JC34GC
— ex_hmmt (@ex_hmmt) September 10, 2020
さらに、ネタバレと疑われるようなツイートが投稿され次第、通報されてしまうという、いわゆる“通報祭り”が起こるのではという予想も。
まぁ普段からキン肉マンの感想をゆで先生に直接リプライしてる層が今後 キン肉マンの感想ツイートを拾っては「先生こいつネタバレしてますよ!訴訟しましょう」みたいなことやり始めるまで秒読み段階って感じ…
— ねおらー31♎ (@neora31) September 9, 2020
今度の月曜のキン肉マン界隈は荒れるだろうな。
「感想にネタバレだから訴訟されたくなきゃ削除しろ!いま、ゆで先生と週プレ公式に通報してきた!」とかいう輩が大量発生して、ゆでも週プレもうんざりとかさ。— すごいセキセイインコ(どっちを向いても宇宙) (@sugoisekiseiink) September 10, 2020
確かに、昨今のマスク警察や自粛警察といった類が幅を利かせる世情を考えると、それも考えられなくもない。先に挙げた「もうツイートはしない」という人たちも、訴訟のリスクを心配する向きもあるいっぽうで、こういった“ネタバレ自警団”に絡まれるのが鬱陶しいというのが大きい、という人もいるようだ。
あれかな今後キン肉マンの感想を呟く時はネタバレに配慮して、ネットでは肉隠語とか作られるのかな?
キン肉マン→肉 テリーマン→米 友情パワー→発光 とか— コータ (@Kota_Naruo) September 11, 2020
キン肉マンの件、性格悪いから電子版の配信から週プレ発売までの期間は、嘘のあらすじとかキャラクターを呟いて、偽物のネタバレをトレンド入りさせる案を思いついた
— haburareya2 (@haburareya2) September 10, 2020
さらに、なんとか今まで通りSNS上で盛り上がれるように「登場人物などを隠語にして語り合う」、あるいは「嘘のネタバレを投稿」といった案も。ちょっと楽しそうではあるが、もしこれらが現実のものとなれば、SNS上のキン肉マン界隈は今まで以上にカオスな状況となってしまいそうである。
このように、にわかに注目が集まる格好となっている「キン肉マン」の次回配信。とはいえ、ファンはもちろんのこと作者・出版社サイドも、作品外の騒動で盛り上がることは望んでいないのは言うまでもなく、今後ネタバレ問題を想定した「新しいSNS上での盛り上がり方」が早急に確立されるよう祈るばかりである。
Next: 関西人がネタバレに耐性がある理由
ツイッターの反応
キン肉マンを問題にしてた人の大半は、今の盛り上がりを維持しつつゆでの望むラインを踏み越えないためにはどうすれば良い?だったのに
ラインが曖昧なお気持ち宣言と法的手段ちらつかせというマッスルドッキング並のツープラトン食らってだいたい死んだ感— 俺の惨状 (@SimesabaRakkyou) September 10, 2020
これ、キン肉マンのネタバレ感想がどうとか作家のお気持ちがとうとかの問題ではなく、それらから切り離して単純に「週プレ編集部スラップ訴訟宣言問題」と捉えた方がよいのでは?
— うなぎ(steel_eel) (@dancing_eel) September 11, 2020
キン肉マン問題、なんか大変だな〜って対岸の火事気分で見てたんだけど、えいがのおそ松さんで松クラがあまりにもネタバレ配慮したせいか映画公開時に感想自粛してしまって、公式が「感想つぶやいていいんだよ?」って言った途端、映画が公開されて数日経ってるのにトレンドに上がったの思い出すね。
— 春さん (@haruharu_san) September 11, 2020
ネタバレ回避肉の時間、各々が今週のキン肉マンを読んだ上で全く異なる展開を口々に言い合う狂気の2時間になりそう(2時間やること前提!?
— 大刀🔞・ザ・ヒュージザンバー (@DAIGATANA) September 10, 2020
キン肉マンのゆでたまご先生がネタバレに怒っているらしいが、そんなんでは関西では映画ファンとして生きていかれへんぞ。関西やと浜村淳がラジオで、「映画のあらすじ紹介」と言いながらストーリー全部喋るからな?
— リーアム兄さん (@zimkalee) September 11, 2020
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