10万円の給付金はどう使われたのか?9月18日に日銀が発表した資金循環統計(2020年4~6月期速報値)によると、個人の金融資産は6月末時点で約1,883兆円となり、3月末の約1,828兆円から増加した。その内訳をみると、現預金が前年比4.0%増で過去最高となったことがわかる。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)
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個人消費は戦後最大規模の減少へ
9月16日・17日に開催された日銀金融政策決定会合の主な意見が公表された。
金融政策そのものは予想通りの現状維持となったこともあり、市場の関心度はそれほど高くはなかったが、念のため目を通してみたところ、下記のような指摘が気になった。
※参考:金融政策決定会合における主な意見 2020年9月16日・17日開催分(pdf) – 日本銀行
「今般の感染症により、予期せず将来の所得が減少するリスクが認識されたことで家計の貯蓄性向がさらに高まり、消費の下押し圧力となることが懸念される」
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、経済活動にブレーキを掛けざるを得なくなり、その結果、4~6月期のGDPは個人消費主体に落ち込み、戦後最大規模の減少となっていた。
コロナで生活が一変した
今年はじめ辺りまでは、今年は東京オリンピック・パラリンピックも控え、国内はお祭りムードも強まろう。海外からの観光客はさらに増加して、インバウンド需要はさらに拡大するであろうと予想されていたと思われる。
しかし、新型コロナウイルスの世界的な拡大が状況を一変させた。
オリンピック開催どころではなく、こちらは延期され、海外との行き来も制限された。空港にずらりと飛行機が駐機している姿や、ほとんど人が乗っていない新幹線の姿が映し出されていた。
まさかこのような事態になることを誰が想像したろうか。過去にはスペイン風邪なども経験したとはいえ、それを体験として知っている人はいないはずである。過去の歴史でしか見たことがないことが現代社会で起きたのである。
さすがにパニックが発生するようなことはなかったものの、人々の社会経済活動がこれをきっかけに一変することも予想される。
Next: 使われなかった給付金10万円。現金・預金が前年比で4.0%増へ
給付金10万円の行方
政府はこの対応策として国民1人あたり10万円を配った。
その原資が将来の税収を担保とした国債発行によるものであることもあり、それをむやみに使いたくはない気持ちもわかる。
それ以上に今回のコロナ禍によって、普通の生活が一変してしまうリスクを感じ取り、安易に消費に回すのではなく、将来のために貯蓄に回すということは理にかなっている。
それが統計上も示されていた。
9月18日に日銀が発表した資金循環統計(2020年4~6月期速報値)によると、個人の金融資産は6月末時点で約1,883兆円となり、3月末の約1,828兆円から増加した。
※参考:資金循環 – 日本銀行
個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で4.0%増の約1,031兆円となり、これは過去最高となった。
政府による1人10万円の特別定額給付金の支給が影響したようで、その多くが現預金に回っていたとみられる。
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『牛さん熊さんの本日の債券』2020年9月29日号より
※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部による
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