その異常なほどの品揃えの良さを度々ネタにされるAmazonだが、最近「棺」まで販売されていることが俄かにクローズアップされ、そこに掲載されているカスタマーレビューの内容も含めて注目を集めている。
話題となっているのは「棺 平棺 折りたたみ式 布団付 直葬 家族葬 適」なる製品。見たところ過度な装飾が廃されたいたってシンプルな和風の棺で、現時点のお値段は1万9,000円。これにプラスして配送料が3,500円かかるという。
カスタマーレビューにあった直葬の体験談とは
販売ページの下部にあるカスタマーレビューを見ると、現時点で10件の評価が入っていて、それなりに売れている商品であることが窺い知れるが、そのなかでも話題になっているのがこの棺がなければ父の葬儀ができなかったと思うので感謝しています」という星5つのレビューだ。
それによると、レビュアー氏の父親が亡くなり、葬儀屋に電話をしたところ、葬儀には最低70万円かかると言われ、せめて棺だけと思い値段を聞いたところ、それでも12万円からと言われてしまう。そんな途方に暮れていた時にネットで見つけたのが、この棺だったという。
レビュアー氏はそれを足掛かりに、父親を葬儀屋を通さない直葬にすることにし、準備を始めたとのこと。棺はすぐに注文して、火葬の予定日までに十分間に合うタイミングで到着。バラバラの状態で届いた棺も、義理の母との2人がかりで5分ほどで組み立てられたという。これにくわえ、ドライアイスを近隣の店舗から買い、また骨壺は再びAmazonで注文するなどして、ほぼ自力で父親を送ったとのこと。
他のレビューを見ると、この棺を活用して直葬を行ったという人は結構多いようで、それらを総合すると、火葬許可証などの書類関係以外では、上記の例で挙がった「棺」「骨壺」「ドライアイス」、そして病院から自宅そして火葬場へとご遺体を運ぶための「車」があれば、直葬の形は整うとのこと。ただし、ドライアイスは事前に近隣で大量購入できる店を探しておくこと、また棺はできれば存命のうちに購入しておくのが望ましいとのことだ。
直葬の場合、火葬が後回しにされる事例も
身内が亡くなった際に葬儀社を使って葬儀をしたものの、想像以上に金額が嵩んでしまったというのは、よく耳にする話。そういった費用が不透明なイメージが根強くある葬儀に対して、なんとかならないものかと考える向きからは、これらの葬儀社を通さない直葬の体験談はかなり興味深いものだったようで、「自分も直葬にして欲しい」という声が多くあがっていた。
私も直葬がいいなぁ
葬儀だの戒名だの要らない
葬儀は亡くなった人のためでは無く、残された人のためと聞くけど残された人に負担を強いてるようにしか思えない。
あと戒名も。死んでまでランク付け要らない。— ねこ (@le_vient) October 4, 2020
実際、仮に自分が火葬される側の立場だとしたら、通夜・葬式なんてやらずに、直葬にしてほしいと思うよね。 https://t.co/lL8aw58knF
— okitch (@okitch36) October 4, 2020
しかし、そのいっぽうで身内が亡くなって悲しみにうちしひがれている時に、果たして棺を組み立てたりできるのか、といった意見も。実際、直葬となると参加する人数もごく少数に限られるケースが多いと思われるが、その際に棺を運んだりといった基本的な人手にも困りそうだといった声もあった。
Amazonの棺桶のレビューのツイート、確かにお値段は安い。でも悲しみにうちしひがれている時にああいう物作るのは大変だろうなと思う。大往生した祖父母ならまだしも。子供とかじゃ無理だろなぁ。精神的に。
— ルーシー コロナ対策は窓開け換気🍃🌿 (@3HNOca5af7dfuxC) October 4, 2020
また火葬の際に、葬儀社を通さない場合は順番を後回しにされる、場合によっては断られてしまうケースもあるとのこと。どういった理由で、そのような扱いにされるのかは不明だが、直葬というスタイルが現場レベルでは浸透していないという現実も見えてくる。
Amazonで棺桶レビューに纏わるツイートがバズってるの見た。色々とツッコミ所はあるんだけど、一番心配なのは東京23区の主な火葬場だと葬儀屋を介さないと火葬だけでも無理なんだよなぁ。今後緩和される可能性はあるけれど。
— すばやい心 (@stagEye) October 4, 2020
棺桶が自身で買えると知りびっくりしました。母の所在地は直葬は後回しされます。自治体によってはすぐに火葬してくれません。親族や友人が「会いたかったのに」と必ず揉めます。生きてるうちに話しておくといいと思います。母とも話しており「骨をダイヤにして謎の光線を発射したい」と言ってます。
— I.REIKA (@renkon1982) October 4, 2020
このように費用が抑えられる面が魅力の直葬だが、実際のところは少々手間がかかるうえに、場合によっては途中で行き詰ってしまうことも考えられるということで、ある程度の部分は葬儀社に頼むというのが現実的なのではといった意見も多かった。
うちのときは、直葬を葬儀屋さんに頼んで、10万弱だった。
役所への連絡とかがちょっと面倒なので、人の力を借りれす一人でやるなら、かなりお安いと思った。
特に俺は免許もないからな。 https://t.co/OcsRe07Jea— 文月樹頼 (@fumitukijyurai) October 4, 2020
たしかに葬儀なしの直葬は負担が軽くて良かった。この方は葬儀社も入れなかったようだけど、病院からの遺体搬送、火葬までの低温安置、火葬場までの搬送等も個人でやると結構大変なので(遺体けっこう重いし)、ウチはそこだけ葬儀社にお願いした。費用は棺込みで20万円ちょい。>RT
— zuma (@live_at_budokan) October 5, 2020
また葬儀の低価格化も進んでおり、イオングループが運営する「イオンお葬式」とその広告表現が物議を醸していた。
毎日広告デザイン賞。イオンのこの広告が選ばれていることが悲しいですね。違和感というか、何かを冒涜しているような気分になりはしまいか。作り手も選び手も途中で踏み止まることはできなかったのだろうか。 pic.twitter.com/RkSww7V3qo
— カレー坊主@吉田武士(僧侶Lv10) (@curry_boz) October 4, 2020
圧倒的に高コスパの直葬か、あるいはある程度の出費は覚悟のうえで葬儀社に頼むほうが満足度は高いのか。いずれにしろ、後で悔やむことのない葬儀にするためには、やはり可能な限りで事前の情報収集と段取りはしておいたほうが良いというのは、間違いなさそうだ。
Next: 葬式を値切るやつなんかいないんだからこの値段
ツイッターの反応
昨日もアマゾンで組み立て式の棺桶買って自作して葬儀したって人見たけど、もうそういうとこまできてるんだなー
— クロミ(ナナライさん) (@blackwater963) October 5, 2020
amazonで棺桶! 私もちょうど去年の今頃お葬式のことを調べていて、ふと『DIY葬儀ハンドブック -遺体の搬送から遺骨の供養まで-』っていう本をささっと読んだんですよ。あれは勉強になった。
— 村井理子 (@Riko_Murai) October 4, 2020
直葬に最低限必要なのが「棺桶」「ドライアイス」「車」と書いてあるが、安く済ませるためにAmazonで棺桶を買ってカーシェアで出棺する奴がそのうち出てくるだろうな。実際にロシアで目撃されてニュースになった事あるし。https://t.co/rGpbtjckUu
— カーシェアマニア (@carsharemania) October 4, 2020
大学出て初めて就職したのが葬儀屋の下請だったんだが、「葬式を値切るやつなんかいないんだからこの値段(めちゃくちゃ吹っかけている)でいいんだよ」といった趣旨の話を社長から言われて衝撃だったな……てのをAmazonの棺のやつみて思った。
— 鉄面あなざ (@Gadjetmovie) October 4, 2020
Amazonで棺が買えると話題だったけど、海への散骨代行サービスも売ってて、揺り籠から墓場までになってるな… →
代行散骨サービス/東京湾代行海洋散骨葬/散骨証明書発行/送骨用梱包キットを無料配送/沖縄・相模湾・大阪湾の代行散骨葬も (東京湾) https://t.co/XmrvR2kBeg
— dragoner (@dragoner_JP) October 5, 2020
Amazonで売ってる棺桶のレビューも話題になってたけど、それで「済ませたい」人がいるのは分かるし、そうしたい人はそれでも構わないとは思う。人の葬送に関して選べないのは不自由なことだと思うし。ただ一回きりの事だから、時間をかけてよく考えておいたほうがいいとは思うけど。
— ヤギの人(マスク) (@yusai00) October 5, 2020
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