国税庁民間給与実態調査によると、民間企業における2019年の平均給与が7年ぶりに減少しました。コロナ以前から減少した理由とは?(『生活マネー ミニ講座』中村宏)
山口県生まれ。大阪市立大学経済学部卒。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。個人相談件数は1,500を超える。セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力等でも活躍。
2019年平均給与、7年ぶりに減少
民間企業で働く人が2019年の1年間に得た平均給与は、前年比▲0.1%の436万4,000円となり、7年ぶりに減少しました。
データは、国税庁の民間給与実態調査から。単なるアンケート調査ではなく、国税庁の徴税の基礎データですので、信ぴょう性が高いです。
※参考:令和元年分民間給与実態統計調査結果について(PDFファイル) – 国税庁
また、この調査は、昭和24年(1949年)から実施されているため、過去からの推移データなども有益でしょう。国の「基幹統計」とされています。
雇用者数が増えて平均が下がった?
さて、民間企業の全給与所得者5,255万人(対前年比+4.6%、+229万人)の平均給与が436万円(対前年比▲1.0%、▲4万3,000円)ですが、男女別にみると以下の通り。
男性の給与所得者3,032万人(対前年比+2.9%、+87万人)で平均給与は540万円(対前年比▲1.0%、▲5万3,000円)。
女性の給与所得者2,223万人(対前年比+6.8%、+142万人)で平均給与は296万円(対前年比+0.8%、+2万4,000円)。
給与所得者の人数の対前年比をみると、辞任した安倍晋三前総理が「雇用者数を増やした!」と実績をアピールしたこともよくわかります。
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正規・非正規の平均給与の差額
正規、非正規の平均給与についてみると、
正規503万円(対前年比▲0.1%、▲1,000円)
非正規175万円(対前年比▲2.5%、▲4万4,000円)
給与所得社の給与階級別の分布をみると、男性では年間給与額400万円超500万円以下の者が532万人(構成比17.5%)、女性では100万円超200万円以下が526万人(構成比23.7%)と最も多くなっています。
中小企業の苦戦鮮明。コロナ後の今年はもっと悲惨か
なお、このデータは、昨年(2019年)のもの。したがって、給与が減少した理由は、新型コロナウイルスではありません。
従業員数100人未満の中小企業の減少が、全体を押し下げたことが要因のようです。
さて、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年はどうなるか?2021年9月末に調査結果が公表されます。「こわい、こわい」
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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