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米国有名企業の大量閉店・解雇が続々、18の報道から読み解く真の失業率

日本でも知名度の高い米国企業が次々と大量閉店・解雇を発表しています。10月報道から18個を紹介しながら、統計ではわからない失業者数の実態に迫ります。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2020年11月12日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

あらゆる業種で有名企業が大量閉店・リストラ断行

アメリカでは先月10月も店舗閉鎖と大量解雇が続きました。今回は代表的な企業の閉店・解雇の情報を集めて、現地の報道を翻訳しながら紹介します。

1)子供服大手小売チェーン「カーターズ」200店舗を閉鎖

販売不振で店舗閉鎖へ。失業者増加、そして感染への恐怖で妊娠・出産は減っていると報道されています。

子供服大手小売チェーンCarter’s社は、米国、カナダ、メキシコでCarter’sブランド及び OshKosh B’Goshブランドの約850店舗を展開している。

次回の店舗リース契約の更新時に、全体の25%の約200店舗の閉鎖をすると発表した。

経営トップは「閉鎖する約200店舗の6割近くを、2021年の年末までに閉店する。古くなって、採算の悪い店舗を閉鎖する予定だ」と語った。

出典:Carter’s to close 25% of stores as leases expire | Chain Store Age(2020年10月23日配信)

2)ケンタッキー州「28の地方病院」に閉鎖の可能性

コロナ禍が病院財政を圧迫、最低でも16箇所、最大で28箇所の病院が閉鎖されます。

ケンタッキー州病院協会のレポートによると、同州の地方病院の28病院が閉鎖される可能性が出ているとのことである。

同州の68カ所(職員総数2万4000人強)の病院は、州政府の財政に大きく依存している。しかしパンデミックで病院財政を圧迫しており、最低でも16カ所、最大で28カ所の病院閉鎖になるだろうと予測している。

出典:Up to 28 Kentucky hospitals at risk of closure(2020年10月13日配信)

3)マンハッタンの名門ホテル「ルーズベルトホテル」95年の歴史に幕

「雰囲気の良いホテル、大好きなホテルが消えていく」と報道されています。

NY市のマンハッタンの名門ルーズベルトホテルが10月末を以て永久閉鎖となるそうだ。

なお、同ホテルの名前はセオドア・ルーズベルト大統領の名前に因んだもので、開業は約95年前の1924年。

出典:Roosevelt Hotel to shut doors from Oct 31 – Newspaper – DAWN.COM(2020年10月9日配信)

4)大手外食チェーン「Ruby」に会社更生法を適用、185店舗閉鎖へ

大手外食チェーンRuby、会社更生法(チャプター11)を10月7日申請。債権グループと企業再生の為の支援の約束を取り付けたと発表。

同社は、185店舗を永久閉鎖するので、残りは236店舗となる。それ以外に各地域のフランチャイズ・オペレーション会社の元で運営している店舗も閉鎖になる見込みだが、その店舗数は不明である。

出典:Ruby Tuesday closing 185 restaurants, files Chapter 11 bankruptcy(2020年10月7日配信)

5)映画館チェーン「Cineworld」500箇所を閉鎖、4.5万人を大量解雇

世界第2位の映画館チェーンであるCineworld社、米国及び英国の500カ所以上の映画館を再び閉鎖した。4万5,000人の従業員を解雇する見込み。

全米の映画館収入予測は2019年実績の11.4B$から、2020年予想では34%減の7.5B$になると業界専門家はみている。

出典:45,000 Jobs At Risk As Regal Owner Cineworld Closes All U.S. And U.K. Cinemas(2020年10月5日配信)

6)中華外食チェーン「P.F. チャングス」大量一時解雇

おそらく、最終的には永久解雇になるでしょう。

「P.F.チャングス」は、アメリカ合衆国アリゾナ州フェニックスに本拠を置く中華料理専門のレストランチェーン。、全米20州に店舗展開をしている、NASDAQ上場企業だ。

同レストランチェーンは、5,800人の従業員を一時解雇する。

出典:P.F. Chang’s extends temporary layoffs for up to 5,800 workers | Restaurant Dive(2020年10月2日配信)

Next: 銀行、自動車、石油業界.あらゆる業種で店舗閉鎖・解雇が続出



7)ピザハットの大手オペレーターが破産申請、163店舗売却へ

ピザハットの大手フランチャイズ・オペレーション会社のNPCインターナショナル社の会社更生法申請については既報の通り。

企業再建の策として、保有している163店舗の売却を開始していることがわかった。 

出典:163 Pizza Hut restaurants up for sale after franchisee files for bankruptcy | Fox Business(2020年10月7日配信)

8)銀行業界での解雇報道。あのウェルズ・ファーゴも大規模リストラ

ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)銀行は、リストラ策の一環として商業銀行部門の700人以上の行員を解雇するようだ。

今後、同銀行の各部門で何千人もの解雇、さらには銀行業界全体からの大量解雇が行われるだろう。また5,000以上ある支店のうち、150店舗以上を撤去する計画だ。

同行CEOは7月に10B$以上のコスト削減の必要性を発表していた。

出典:Report: Wells Fargo Lays Off 700, Targets $10 Billion In Cuts As Banks Eye Mass Layoffs(2020年10月7日配信)

9)大手独立系自動車部品メーカー「テネコ」の解雇

自動車部品メーカーのテネコ(Tenneco)社は2021年にインディアナ州の鋳造工場従業員475人の内350人を解雇する予定である。

出典:Tenneco will cut about 350 out of 475 jobs at South Bend plant | Business | southbendtribune.com(2020年10月22日配信)

10)石油元売り大手で解雇続出

石油元売り大手のシェブロン社(Chevron)ヒューストン支店で、約700人の従業員を10月23日から解雇するとのことが判明。このヒューストン支店では、6,500人が勤務しているので、700人の解雇と言えば約1割に相当する。またカリフォルニア州でも100人以上の解雇が報道されている。4月に同社が発表していた、社員を10%から15%削減するとの計画に従っていると言える。

つい先週には、ロイヤルダッチシェル社(Royal Dutch Shell)が、2022年末までに7,000人から9,000人の解雇を目指すと発表していた。

またエクソンモービル社(Exxib Mobil)も欧州地域で1,600人の解雇を発表。

6月にはブリティッシュ石油社(BP)も7万100名の従業員のうち、約1万人を解雇すると発表していた。

出典:Chevron to cut Houston jobs amid larger layoff plans – Houston Business Journal(2020年10月10日配信)

11)基幹インフラの鉄道会社の大量解雇の可能性

アムトラック鉄道は今後、国からの支援が無ければ、2,400人の従業員の解雇が必要になると発表。

議会に宛てた書簡の中で、同社のCEOは2021財政年度で4.9B$の赤字補填が必要として支援要請を出している。乗客数がコロナ感染前の25%ほどしか無いためだ。

2021財政年度の予測では、回復しても感染前の40%にしか戻らないと見ている。

出典:Amtrak warns of 2,400 possible layoffs | WWLP

12)娯楽産業「ユニバーサルスタジオハリウッド」の大量解雇

ロスのユニバーサルスタジオハリウッドテーマパーク遊園地は、3月から閉鎖を続けているが、7月からの4ヶ月間で2,200人を解雇している(内訳 正規職員1,374人+非正規職員849人)。

出典:Universal Studios Hollywood has laid off 2,200 workers since July(2020年10月14日配信)

13)娯楽産業の解雇続々

遊園地の従業員はほとんどが非正規です。ディズニー等は費用自己負担のボランティアまでいます。正規職員の解雇の舞台裏に、その数倍もの非正規社員の解雇があるはずです。

巨大ジェットコースターがシンボルの遊園地チェーン「Six Flags社」は、正規職員の10%、約240人を解雇すると発表した。

出典:Six Flags to Lay Off 10 Percent of Full-Time Employees(2020年10月13日配信)

Next: 大手通信会社、ビール会社も大量解雇。失業件数はどうなった?



14)アルコール飲料企業「Monarch Beverage」も大量解雇

Monarch Beverage社も販売不振でリストラへ。企業は吸収合併されますが、社員は取りあえず解雇すると報道されています。

米国中西部の大手酒類卸売業者「Monarch Beverage社」は、2020年12月に633人の従業員を永久解雇すると発表した。

出典:Monarch Details Employment Changes Amid Acquisition – Inside INdiana Business(2020年10月21日配信)

15)病院グループ内でもリストラ続々

約200年前に創立されたフィラデルフィアの名門私立医系のトーマス・ジェファーソン大学(学生数8,000人弱)では、パンデミックの影響で財政赤字となり、少なくとも正規職員500名を削減する発表。

傘下14カ所の病院を運営しているが、パンデミックで320M$の政府支援を受けるも、直近の財政年度で300M$の赤字を出している。

出典:Thomas Jefferson University to eliminate 500 jobs in wake of COVID-19 pandemic | PhillyVoice(2020年10月13日配信)

16)大手通信会社「AT&T」の大量解雇

AT&T社は、第3四半期に従業員の3.6%に相当する8,720人削減して、23万5,000人以下に減らすと発表。

出典:AT&T cuts more than 8,700 workers in third quarter amid COVID-19 – Dallas Business Journal(2020年10月24日配信)

17)ビール「バドワイザー」製造会社も解雇、販売の落ち込み止まらず

アンハイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch Companies, Inc.)社は、米国最大のビール製造会社で、世界第3位のビール生産量を誇る企業です。

主力商品はバドワイザー・ビールである。 他にミケロブなど多数のブランドを持っており、米国内で12カ所のビール工場を保有。

今回、全米で約400人を永久解雇するとのことである。

出典:Anheuser-Busch to lay off 400 across Front Range, including 71 in Loveland – Loveland Reporter-Herald(2020年10月1日配信)

18)ミネソタ大学、ミネソタ医学大学、フェアビュー健康医療サービスグループの統合医療法人の大量解雇

ミネアポリスに本拠を置くM Health Fairview(ミネソタ大学、病院、クリニックの健康・医療法人)は、900人を解雇することがわかった。

ミネソタ、ウィスコンシン州の56の診療所のうち16箇所を閉鎖し、St.Paul市のリハビリセンターも閉鎖すると発表。また、St. Paul市のSt. Joseph病院の救急治療部門を年末までに閉鎖する。

以上のリストラ策で3万4,000人職員の3%に相当する900人を解雇する。これは、パンデミックで病院の財政悪化が増加し、250M$の赤字が出ているためである。

出典:M Health Fairview to lay off 900, close hospital ED(2020年10月5日配信)

ここまでざっと、注目されている米企業の店舗閉鎖・大量解雇の報道を紹介しました。

企業再生には経費削減が必要で、例えば不動産リース料削減を目的にしたチャプター11(米連邦破産法第11条)の申請が主流です。今後は、複数回の更生法申請から、企業整理・清算に入るケースが増えて来るでしょう。

つまり、完全清算処理となれば、大量解雇が今後も続くことになります。

Next: 失業者数は2,265万人以上?本当の数字は統計ではわからない



真の失業者数は統計ではわからない

主要メディアの米国の失業件数報道もチェックしておきましょう。
※参考:米国の失業申請、2週ぶりの減少 78万7千件、高水準続く:東京新聞 TOKYO Web(2020年10月22日配信)

米労働省が発表した10月17日までの週の新規失業保険申請件数は、前週より5万5,000件減って、78万7,000件へと改善しています。補足すると、パンデミック以前では20万件以下でした。

また失業保険継続受給者数は、10月10日までの週で前週比102万人減少して837万人となっています。これにも補足すると、継続受給者数の837万人という数字を信用してはなりません。パンデミック失業者への特別な失業給付件数が抜けているからです。

通常の失業給付件数は減少していますが、パンデミック対策での特別給付件数は増加しており、すべての失業保険プログラムによる合計では10月10日までの週で2,265万4,453件となっています。
※参考:DOL puts positive spin on last unemployment insurance report before election(2020年10月29日配信)

では、失業者数が2,265万人なのかと言えば、それもまた、真実ではありません。

給付が打ち切られた人=再就職出来た人ではないからです。ほとんどは再就職できず、失業し 家の中で暗い雰囲気で過しているでしょう。

つまり、真の失業者数はわからない。真の失業率もわからない。これが真実の姿です。

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いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2020年11月12日号)より一部抜粋、再構成
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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