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「ヒラリー・クリントン大統領」誕生で、尖閣諸島を中国に奪われる日本=不破利晴

ヒラリー・クリントンが親中派のキッシンジャーを外交・軍事の助言役にすると公言したのは衝撃的だ。もしヒラリーがアメリカ大統領になった場合、我々日本にとって実に厄介な状況となる。(『インターネット政党が日本を変える!』不破利晴)

ヒラリー・クリントン&キッシンジャーの親中コンビが招く日本の危機

「キッシンジャーを外交・軍事の助言役にする」の衝撃

3月31日の東京新聞「本音のコラム」は竹田茂夫・法政大教授による『キッシンジャー氏の影』であった。この文中に登場する「クリントン氏」とは、もちろんヒラリー・クリントン女史のことである。

キッシンジャー氏とは何者か。十歳でナチスを逃れ、米国で生来の知能だけを頼りに政治学で頭角を現し、一九七〇年代に政権中枢で世界戦略を担った人物で、一部では大物政治家の扱いだ。だが、そのリアルポリティーク(現実主義的政治)の内実はどうか。独裁政権の支援や大虐殺の黙過などは戦争犯罪であり、犠牲者は三百万人に上るという見方もある。パリ滞在時にチリのクーデターの件で司直に事情聴取を求められた後は、身柄拘束を恐れて欧州や南米へ旅行しないといわれる。最近ではクリントン氏が、渋るオバマ大統領に迫ってリビア空爆に踏み切らせたが、先の見えない内戦と大量の難民につながったという。
出典:東京新聞(2016年3月31日)

いつもとは違った異様なる盛り上がりを見せているアメリカ大統領予備選の最中、ここにきてやおらヘンリー・キッシンジャーが取り上げられるのは実に興味深いことである。

というのも、キッシンジャーといえばなんだか“過去の人”といった印象をもつ向きも多いのかもしれないが、実はこの人物、政界の一線から退いたものの、未だ影響は絶大なのだ。

実はオバマ大統領の側近の中には、この90歳を超える年老いた現実主義的戦略家を毎週訪れる者もいる。

彼らは何も茶飲み話をしているわけではない。具体的な政治の話をそこで日々展開している。あたかもキッシンジャーの元が国際政治の最前線であるかのようだ。

そして衝撃的なのは、ヒラリー・クリントンがキッシンジャーを外交・軍事の助言役にすると公言したことなのである。

Next: キッシンジャーは筋金入りの親中国派、習近平にも多大な影響



キッシンジャーは筋金入りの親中国派、習近平にも多大な影響

「なぜ、あのようなガチガチのリアリストが、こうも中国に肩入れするのか?」

キッシンジャーを評する時に、必ずと言っていいほど出てくるフレーズだ。実際問題、キッシンジャーの中国びいきは目に余る。アメリカ政府当局の誰もが中国を危険視するようになっても、ただ一人キッシンジャーだけは中国に寄り添っているかのごとくだ。

かねてから習近平は「新型大国関係」といった概念を提唱してきたが、これは端的に言えばアメリカと中国の「G2」体制のことである。キッシンジャーは彼の著書『キッシンジャー回顧録 中国』でも中国に多くのページを割き、「G2」といった概念を我々に提示している。

そして、言うまでもなくこの「G2」を中国の耳元で囁いたのも取りも直さずこのヘンリー・キッシンジャーなのである。習近平のG2路線はキッシンジャーの言説に沿っている。

キッシンジャーなる人物は、大国2国間の微妙なパワーバランスを掌で操りたいタイプなのかもしれない。それは、旧ソ連との「デタント」(緊張緩和)でも如実に現れている。

この2大大国によるバランシングは、確かに戦略家にとってはその絶妙さにおいて戦略家冥利に尽きるものだが、政治家にとっては極めてストレスフルな状態には違いない。そんなこともあってなのか、キッシンジャーはアメリカ議会によって排除され、それ以降はアメリカの公職には一切就いていない。これはフォード大統領時代のことである。

「デタント」戦略は、アメリカ政府当局筋には受けが悪かった。これにはアメリカ人の国民感情が影響している。

アメリカはかつて、FBIを中心に“赤狩り”なる共産主義や、社会主義者の弾圧政策に邁進した時期があり、それでもこの政策はアメリカ国民の一定の支持があるからこそできた行動でもあった。つまり、アメリカ国家、アメリカ国民は、共産主義・社会主義といったものに対し、完全なるアレルギー反応を示すのである。

とにかくアメリカという国家は、中国、ロシア(旧ソ連も含め)共産主義、社会主義については「絶対無理!」な国家なのである。

それでも、アメリカ国民にも例外は存在する――「親中国」で忘れてはならない夫婦、それがクリントン夫妻なのである。要するにクリントン夫妻は親中国的感性でガチガチである。

Next: ヒラリー・クリントン大統領誕生で日本の尖閣諸島が危ない!



ヒラリー・クリントン大統領誕生で日本の尖閣諸島が危ない!

先のヒラリー・クリントン発言が衝撃的なのは、もしヒラリーがアメリカ大統領になった場合、アメリカの対中国戦略が180度転換することになる点だ。

そして、このことは我々日本にとって実に厄介な結果をもたらすことは、もはや説明をするまでもないと思われる。

その意味では、中国外交に関しては、むしろドナルド・トランプの方がより現実的な政策を打ち出す可能性が高いとすら言える。

世界的な戦略思想家で元CSIS(戦略国際問題研究所:アメリカの超党派シンクタンク)上級顧問であるエドワード・ルトワックによれば、2000年代以降、「平和的台頭」路線を採用してきた中国が、リーマンショック後の2009年頃から「対外強硬」路線に転換し、今現在は「選択的攻撃」路線にシフトしたという。

しかし、ヒラリー・クリントンがアメリカ大統領になるようなことになれば(その可能性は極めて高いのだが)、中国は大きく対外政策を転換するだろう。

さすれば、中国の傀儡である北朝鮮も増長してくることは必至であり、日本は大きく後退を余儀なくされるだろう。しかも、先般成立した安保法制の効果の程も、現段階においては極めて懐疑的だ。

中国はすでに南沙諸島において拠点を築いてしまったが、アメリカ大統領がヒラリー・クリントンになることによって、次のターゲットは日本の尖閣諸島になる可能性が高くなることが予想される。

現在、中国は「選択的攻撃」戦略により、尖閣諸島への行動については鳴りを潜めているが、再び行動を始めるかもしれない。

日本は海上保安庁を始め、海上自衛隊との密な連携のための新たな戦略を構築する必要に迫られている。

【関連】「クリントン相手ならトランプが勝つ」アメリカ大統領選 票読みの結論=子貢

インターネット政党が日本を変える!』(2016年4月12日号)より
※記事タイトル・リード文・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部による

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「あなたにとってハッピーな世の中とは、どのようなものですか?」驚かせてすみません。私は不破利晴と申します。私は、元駐レバノン特命全権大使・天木直人氏と共に、「インターネット政党」の成功に向けて活動しています。インターネット政党『新党憲法9条』のWebサイトをつくり、日々の運用管理をしています。想像して欲しいことがあります。→「毎日働き詰めで辛くありませんか?」→「生きることに目的を見失って辛くありませんか?」→「あなたにとってハッピーな世の中とは、どのようなものですか?」インターネット政党の主役は「あなた」です。

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