「無電柱化」の推進を訴えるシンポジウム
日本全国の至るところに立っている電柱。それらを今後できる限り無くしていこうとする「無電柱化プロジェクト」が、現在着々進行中なのをご存知でしょうか。
電柱が無くなれば、上空を行き交う電線が無くなり、それにより各地の景観が格段に向上するというメリットが。また地震や台風といった災害が発生した際には、電柱が倒れて家屋が倒壊したり道路をふさぐといった事態も防げるということで、その実現が大いに期待されているプロジェクトなんです。
そんな「無電柱化」の現状を世に広くアピールする機会として、今月18日、東京都豊島区にある大正大学で開催されたのが、「無電柱化推進シンポジウムin豊島」なる催し。
このシンポジウムは、無電柱化を支援する民間団体「無電柱化民間プロジェクト」が主催したもの。パネルディスカッションには、小池百合子衆院議員をはじめ、国土交通省道路局長の深澤淳志氏、東京都技監の横溝良一氏、地元・豊島区長の高野之夫氏、さらにアナリストのロバート・フェルドマン氏も参加し、「無電柱化」の現状と今後の問題点に関して、活発な意見交換が行われました。
世界に後れを取る日本の無電柱化
シンポジウムで紹介されたデータによると、現在日本国内に立つ電柱の数は約3552万本。これは国内に植わっている桜の木の数と、ほぼ同じ本数なんだそうです。
世界各国の「無電柱化」の状況を見てみると、ロンドンやパリといったヨーロッパの主要都市では、古くから電線の地中敷設が当たり前。またソウルやマニラといったアジアの各都市でも、近年は無電柱化が進み、現在の無電柱化率は50%に迫る勢いとのこと。
それに対し、日本の無電柱化は遅れに遅れており、東京23区における無電柱化率は7%程度。その他の国内主要都市にいたっては、それを下回る状況であるとのこと。それもそのはずで、日本では現在も、年間約7万本ペースで電柱が増え続けているんだそうです。
そんな“電柱の増殖”に歯止めをかけるべく、電柱の新設を禁じる内容を盛り込んだ新法の制定を目指すと語ったのは小池百合子議員。かつてはクールビズ推進の旗振り役となった小池氏ですが、“ネクタイの次は電柱を引っこ抜く”と、無電柱化にかける意気込みを大いに示しました。
直接埋設と技術革新で低コスト化を図る
いっぽうで、この無電柱化を推し進めるにあたって、どうしても直面してしまうのが予算の問題。プロジェクトの財源となる税金を払っている私たちにとっても、大いに気になる話ですよね。
これに関しては、大規模な工事が必要な従来の埋設法ではなく、より浅い地中に電線を埋める「直接埋設」を、交通量の少ない道路では導入することで、コストの大幅圧縮が図れるとのこと。また「無電柱化」の動きが活発化すれば、電線埋設に関する技術革新が進み、それにより更なるコストダウンも見込めるのだそうです。
ちなみに、今回のシンポジウムを主催した「無電柱化民間プロジェクト」ですが、その活動の最新情報は無料メルマガで逐一配信しているとのこと。日本の空を劇的に変える大事業「無電柱化」・・・興味のある方は、一度メルマガをチェックされてはいかがでしょうか。
information:
『「無電柱化民間プロジェクト」通信』
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