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伝説の暗黒プロデューサー康芳夫、降臨。マフィアに殺されかけた猪木アリ戦ほか、昭和のウラ歴史を激白

皆さん、康芳夫さんという方をご存知でしょうか? 漫画「20世紀少年」のキャラクター・万丈目胤舟のモデルと言われた人物で、かつては「オリバー君来日」や「アントニオ猪木対モハメド・アリ戦」、石原慎太郎を隊長とする「国際ネッシー探検隊」などをプロデュース、作者不詳の戦後最大の奇書と言われる『家畜人ヤプー』の出版など、次々とセンセーショナルは話題を提供し続けた伝説的なプロデューサーなんです。

その康芳夫さんが、ついにメルマガを発行しました! 発行するメルマガは「虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)」(無料)、「全地球を睥睨(へいげい)するスフィンクス『康芳夫』メールマガジンそして『家畜人ヤプー』通信」(有料)の二つ。メルマガ内で繰り広げられる、康さんだけが知り得た昭和の裏面史は、必読です。

でも、なぜ今、康さんがメルマガを配信することにしたのでしょうか? その真相をさぐるため、まぐまぐでは、康さんへのインタビューを敢行しました。

 イスラム国に行きたい若者は私のメルマガを読め

【康芳夫/PROFILE】

1937年東京西神田で、駐日中国大使侍医の中国人父と日本人母の次男として誕生。東京大学卒業後、興行師神彰の元で大物ジャズメン(ソニー・ロリンズ)などの呼び屋として活躍。独立後、三島由紀夫が通いつめた「アラビア大魔法団」、「インディ500マイルレース」などを招聘。また、『家畜人ヤプー』プロデュース、ネッシー捕獲探検隊結成、モハメッド・アリ戦の興行、オリバー君招聘、アリ対猪木戦をフィクサー、メディアの風雲児として活躍し続けている。

-メルマガを購読する世代と、康芳夫世代というものがあるとして、そこは必ずしも噛み合わないかとも思います。その中で、メルマガを始められた理由はなんでしょう?

 それは結局ね、一般的に今出回っているメルマガやTwitterの内容があまりに低級かつ無意味、刺激がないことに僕はビックリして。だから「そこに僕が一石投じてやろう」ということで、まずは美輪(明宏)やデヴィ(夫人)あたりについてメールするところから始めて、それはそれなりに反響があった。それで「これは続けていけるな」と思って、最近は曽野綾子を例の黒人別離問題でやっつけて(笑)、従来のメルマガ、Twitterの世界になかった、一種のレボリューショナリームーヴメント、革命を起こしてやろうと。それで、その思惑は実現しつつあるんだけど、じゃあそれがメルマガ読者数に反映されるかというと、かなり時間はかかりそうだね。

-康さんをご存知で、昔から追いかけられている方と、現代のネット社会を支える世代に乖離があるのは仕方ない気もします。康さん御自身は、どういった世代に読んでいただきたいと思っていますか?

 やはり、若い人たちですね。それは、「イスラム国に行きたい」という人たちも含めて、是非読んで欲しい。それで、僕のを読んで思いとどまるか、さらに勢いつけて行っちゃうか、そこはそれぞれの判断で(笑)。

 -今、イスラム国に行きたがっている若者は多いんでしょうか?

 感じますね。潜在的にね。それは別に「行け」という意味ではなく、イスラム国が言っていることは、間違ってるとかあってるとかは別にして、今の閉塞状況を打開する一つの窓口として、世界中の若者にアピールしている。イスラム国が対応しようとしてる相手は、アメリカでありヨーロッパ、さらには日本を含めた先進国であると。これらは強大な力を持っていて、イスラム国は近いうち必ず壊滅させられます。だから、彼らが現実的に存立をはかるなら、やはり既成の勢力と現実的な対応をして、現実的な妥協をはからないと潰されますよね。

-正否を超え、イスラム国に魅せられる若者が世界中にいるということは、現代社会に刺激が足りず、何らか問題がある。

 例えばメルマガの世界でも、ホリエモン君のものも含めてね、刺激が足りない。近いうち彼とも会うだろうからアドバイスしたいんだけど、現実の矮小な部分だけを捉えてて、言ってることがあまりにも生温い。もっと若者たちには、大きな希望とかを感じさせないとね。イスラム国は、例えば石油にしても「盗掘して」、「かっぱらって」って言われているの。でも彼らから見れば、あれは本来彼らのものなんだよ。それを、サウジアラビアとかクェートと一部の連中は西欧社会とグルになって、それでイスラム国には「搾取されている」って気持ちがあるから、そこは理屈として「取り返そう」ってのは通るかもしれない。でもそのためには、相手の力は強大ですから、それに対応するのにあんな無茶なことをやっていれば潰されるのは時間の問題なわけ。だから、現実的には西欧諸国とコンプロマイズ(妥協)するしかない。これは、本当に国家として存続したいなら、それはやらざるをえないでしょう。

僕は原則的な話を言っています。今、「イスラム国」って、彼らは「国家」をつくっちゃったわけ。そもそも国家なんて誰でもできちゃうというか、アメリカやヨーロッパ、日本みたいな先進諸国は自分たちの都合と力で勝手に領土を設定してきて、「じゃあ、オレたちもやろう」って、それは一つの理屈になる。そこで彼らの理想論を正しいとか正しくない論じると非常に時間がかかるし、やっかいな問題なので、僕はそこにはどうのこうの言わないわけだけど。

-オウム事件から20年が経ちました。オウムに入る若者とイスラム国に魅せられる若者、構造的には一緒なんでしょうか?

 それは非常に似ているでしょうね。どちらも、一つの「理想郷」を求めている。

-では当時と現代の社会状況の共通項はどこでしょう?

 経済的にも社会的にも、若者が完全に閉塞状況に置かれていて、展望をまったく欠いた社会に生きている。動きがとれない。そこに、かつてはオウムが出てきて、現代はイスラム国が出てきて、そこに希望を見出そうとするのは、若者の動きとしてそれなりの理屈がある。今、イスラム国に対しては、世界的にはほぼ「とんでもないことをやっている」という考え方で一致していますよね。でも一方では、「イスラム国の言い分も聞いてやらないといかん」という世論も、ヨーロッパや日本でも、おきつつある。必ずしも彼らが言っていることが「全然無理である」ということにならない流れもできつつある。

-日本の若者、国民が閉塞感から脱し、幸福感を抱けるようになるためには何が必要でしょう?

 やっぱり、今の経済的な閉塞感とか、若者が未来に対して展望が描けない社会を「改革」するしかないよね。彼らが「オウム」「イスラム国」に行かなくて済む状況を作ることが大事なことでしょう。

-それにはどういう方法がありますか?

 「どんな方法が」というのは、それだけでこのインタビューが終わっちゃうくらい長くなっちゃう(笑)。でもその解決策を見い出さない限り、イスラム国は必ず潰されますが、潰されても時間をおいて、次の何かが必ず出てきます。オウムも潰されましたが、その後オウムに対応する新しいオウムが出てくる。私たちの住んでる超高度情報管理社会、超高度市民社会は、非常に強力なかたちで設定されちゃっている中で、弾き飛ばされた連中が新しい動きをやろうとしていると。現実的には実現は極めて難しいよね。だから、そこはテロリズムに走っても問題は解決しないこと悟らせる様に、現実的に彼らの希望を満たすような策を考えないといけない。

>>次ページ アリ猪木戦とアメリカンマフィアの関係


アリ×猪木戦の裏側で繰り広げられたアメリカンマフィアとの交渉

-康さんが今までやられてきた、アリ×猪木戦、ソニー・ロリンズやトム・ジョーンズの招聘、アラビア大魔法団等々、それらこそ鬱屈した社会を軽やかに凌駕、突破する企画に思えます。

 半分ジョークなんだけど(笑)。勿論行きづまった超高度管理社会にくさびを打ちこむ目的はあった。

-ブラック・ジョークと云うには大き過ぎる企画ばかりですが(笑)、中でも特に苦労されたものは?

 やっぱりそれはモハマッド・アリだろうね。時間、お金もかかったし、マフィアとの処理の問題とか、語り尽くせないほどの色んなことがあって、さすがのオレも一時は肉体的、精神的に使い果たして。

 

-康さんがそんなにまで、なられた。

 ギリギリのところまできたよね。それはやっぱり、アンダーマネーの問題。ボクシング連盟との対決。マフィアとの交渉とか。だからオレも、便宜的にモスリムに入信し、突破口を見附ようとした。

-そこからなわけですから、長い道程です。

 オレは別に信者でも何でもないから、言ってみれば疑似モスリム(笑)。でもその時にね、彼らの主張にもなかなか面白いことがあることがわかって。

-そんな過程も、大きな壁を突破するための一つの手段だった。

 いわゆる、「目的のためには手段を選ばず」というね。まあ、一種のマキャベリ的な発想で。

-そして一方では、親交の深かった勝新太郎さんとNYの賭博場で、命からがらの事態に巻き込まれたり。

 あれは本筋とは関係ないけどね。たまたま勝ちゃんを連れてNYに行って、「モハマッドのドキュメンタリー映画を撮ったんだ」。その時に地下の賭場に連れて行ったら、たまたま警察に踏み込まれて、ホールドアップ(笑)。そしたら勝ちゃんの祇園の恋人、それは今でも元気な方ですが、彼女は縮みあがっちゃって、さすがの勝ちゃんも憮然として。だって奴ら、いきなり天井に向けて銃を撃つわけだよ。そうしながら片方の手を出して、「ハウス、ハウス」って、賭場経営者から金を巻き上げる。当時の彼らの月給が3000ドルもいかない中で、一回で1万ドルくらい抜いていくんだから、いい商売だよね。

-他に、命の危険を感じたことはありますか?

 それはね、本筋でモハメッドを呼ぶ時に、順番があるわけだよ。今度はテキサス、その次はロスでやるとかスケジュールがあって、興行のために本来は事前にアンダーマネーを支払わなきゃいけなんだけど、その金もない。そこで、うまくマネージャーに食い込もうとすると、それはマフィアに邪魔されますよね。当時興行権は彼らが握ってて、今はFBIなんかが厳しくて無理だけど、言うこと聞かない、金もよこさないとなるとすぐ撃たれちゃう。それは、本当に恐かったね。ヤツらは本当に問答無用(笑)。そこはオレ百戦錬磨、うまく切り抜けたけど、要は金を払えばいいんだけどそれがなかったから、あの手この手で苦労しましたよ。

ついでに、日本のボクシング・コミッションは当時、記者会見で「絶対にあの康芳夫にはやらせない」と。僕は、興行ライセンスを持ってないわけだけど、最初から日本のマフィア、ヤクザ、問題にしてないんだよ(笑)。当時の日本のボクシングは圧倒的にヤクザに押さえられていて、わざと挑発的に仕掛けて、そこに金平(正紀・協栄ジム設立者)君をたてて、これがまたすごいタマ(笑)。当時ヤツに800万くらい、今の金で3千万円くらいを渡してたんだけど、それをまた抜いちゃって訴えられて、オレがそれで東京地検に呼ばれて。その時の検事はちょうど大学の先輩で、結局は有耶無耶になって、金平君もオレも処分は受けなかった。ただ、僕は最初から日本のマフィアなんて問題にしてなかった。本当に恐かったのはアメリカのマフィアですよ。

>>次ページ 康芳夫が唯一オーラを感じた大物人物とは?


康芳夫が唯一オーラを感じた大物はPL教の教祖

-康さんはそんなアリ然り、他にもマイルス・デイビスにウガンダのブラック・ヒットラーことアミン大統領、国内なら正力松太郎さんから児玉誉司夫さん等々、表、裏の大物たちとお会いになってきました。その中で「本物の大物」と感じた方はどなたですか?

 それはやっぱり御木徳近さん。PL教団の教祖。特に名前は言わないけど今最大の宗教団体があってそこのボス、それなんかと比べても全然スケールが違う。御木さんは、岡本太郎とか勅使河原蒼風とかも、彼らが土下座するくらいの力を持っていた。それは、もちろん作品を買うってことはあるんだけれども、彼らをひれ伏せさせるだけのオーラを持った人だった。今ああいう宗教家はいないし、そのPL教団でさえも今や潰れそうでね。

-逆に、実際会ったら「小物だな」という人物は?

 それはね、まだ生きてる人もいるから、名前出すとやっかいだけど(笑)。僕は直感でね、会った瞬間に相手の器とか全部わかるんですよ。そういう意味で、御木さんも「尊敬する」とか「恐い」とかまではないけれど、一種の威圧感はあったね。でも、他の人はほとんど感じないから、オレから見れば、言ってみればみんな小物(笑)。

-普通に尊敬されたり、影響を受けた方というのは?

 いないね。自分を尊敬してるから。オレ自体が一つの教祖だと思ってるから。

-以前、磯崎新さんへの畏敬の念について話されていました。

 もちろんリスペクトしてますが、それも僕と同じレベルの中で、上ということではなくて。磯(崎)さんは、その世界の中であらゆる意味で非常に優れた思想家、知識人として、影響力を持って、世界の建築家に影響を与え続けている。僕の人生の中でも非常に重要な要素の人ではありますけど、尊敬とはまた違うんだけどね。

-アリは?

 彼は極めて特異な人物だと思っています。極めて、特異。彼は今病気になっちゃって、それはオレも夢に見るくらい、色んな意味で追い込まれちゃって。あの世界的英雄がああいう状態になるとは、これもある意味時々刻々というか、すべて時間ですよね。僕は、アリは極めて特殊な二度とでてこない、得難いキャラクターだとは思っているけど、オレがそれに左右されるということはない。ただ、色々な意味で感じることはあったね。あくまでも俺は俺。

-先ほどのPL教団教祖、御木さんは?

 御木さんもね、色んな意味で感じることはあるけれど、それによってオレが支配されるということはない。一つの要素刺激として取り入れることはあるかもしれないけれど。

-康さんが大学卒業後、石原慎太郎さんの紹介で入られた「アートライフ」社長、有吉佐和子さんの夫でもある神彰さんは?

 神さんも非常に面白い人で、色んな意味で教えられました。でも学んだのは仕事の上でのことで、「尊敬する」ということになると色々やっかいで、まあ僕は彼の実態は全部知ってるしね。ただね、一つ言えることは、「誰も尊敬する人がいない」ということはある意味で寂しいんだよ。オレが最終決断者だから。つまり、スフィンクスみたいに全世界をへいげいしているということ。それは今でも本当にそう思ってる。

-康さんのルーツは中国ということで毛沢東の名は浮かびますし、ドストエフスキーやニーチェ等々、歴史上には様々な知の巨人、哲学者がいます。

 毛沢東は哲学者であり、政治家でもあって、彼は一つ僕にとって重い課題でもあります。毛沢東の哲学には非常に興味を持っています。ただね、「影響を受けた」とか「乗り越えられちゃった」といった、そういうことはないですね。まあ、彼は政治家として最終的に大失敗してるわけです。だから、政治家としては買ってないけど、哲学者としては非常に面白い。毛沢東を始めとして、マルクス主義の哲学と政治はまったく別の物。一緒くたにするのはおおまちがい。ドストエフスキーも面白いとは思うけど、彼の場合は類稀なるキリスト教のパブリシティ・マネージャーだから。彼の書いたものは全部キリスト教に関係していって、そういう意味で僕はドストエフスキーの限界を感じて、彼は最後にキリストに屈服するわけ。僕は別にキリストにひれ伏すということはない。

-現在活躍している方で、共産主義と超高度情報資本主義の両方を共存させる思考の例として、スラヴォイ・ジジェクさんの名を出されていました。

 ジジェクは今一番最先端をいくコミュニストですよね。彼は、非常に刺激的ではありますね。まあ、それは情報の一部としてとるわけです。つまり、僕の綜合的哲学、文明観を強化するための栄養であって、でもそれは君たちだって僕に色々なことを教えてくれる。そこは僕は非常に敏感に、そういう意味で、ドストエフスキーもジジェクも君たちも、僕にとっては変わりないんだ(笑)。

>>次ページ 勝新太郎に「役者になれ」と言われた過去


-そしてそんな現代、「世を睥睨(へいげい)するスフィンクス」としてのお立場からの思考の中、メルマガともう一つ、俳優業を開始されました。その理由は?

 俳優業はね、これはもうマスコミに何度も言ってますが、大島(渚)、若松(孝二)、大学が一緒だった久世(光彦)君とかね、彼らが盛んにオレに「俳優になれ」と。だけど、僕は「どうせロクなことはない」と思って、断ってきたわけ。

-皆さん、なぜ康さんをそんなに誘われたんでしょう?

 それは、オレにそういう綜合的素質があると思ったからでしょう。でも、そのうちに時間が経っちゃって。ただ、「俳優をやってみてもいい」というポテンシャルは、そういう大島や若松、久世の問題があったから、意識には常に残っていました。

-勝新太郎さんからも、「役者になれ」と。

 もちろん。まあ、勝ちゃんの場合は冗談半分だけど「お前、やれよ」座頭市に出ろよと。そういう意味ではテシ(勅使河原宏監督)にも誘われました。

-勅使河原監督作品で康さんを観たかったです。

 具体的に言うと、「燃えつきた地図」(安部公房原作/1968年)ですよ。あれは勝ちゃん主演で、オレと勝ちゃんの付き合いもそれ以来。これは余談になるけど、勅使河原がなぜ、事件の時に法廷で勝ちゃんを擁護したかというとね、この作品で彼らには切っても切れない縁があったわけ。みんな、「なぜテシが勝ちゃんを」って不思議に思ったし、勝ちゃんも妙なインテリ・コンプレックスみたいのがあって、「勅使河原に拾われた」というのは、彼としても非常に嬉しいことだった。そんな縁もつくった、「燃えつきた地図」は原作もすごいし、非常に面白い映画ですね。

-康さんを改めて映画界に引き込んだのは、「渇き。」の中島(哲也)監督でした。

 彼はまずオレに「出てくれ」という手紙をよこして、それはタイミングも良かったし、ちょうど他にやることもなかったから。それで、彼に会ったらなかなか面白い人だということがわかったのでOKして、出たわけだよね。「渇き。」自体は、彼の他の作品に比べてもう一つ盛り上がらなかった部分もあって、それは残念だったけど、彼は本当は「進撃の巨人」をやることになってたの。それが東宝とトラブッちゃって降りちゃった。だからそれが実現してたら、オレも「進撃の巨人」に出てたかもしれない(笑)。そういうことで、僕は、潜在的に「俳優をやってみよう」という気持ちがなかったわけではないので、そこに中島監督が火をつけてくれて、「これは転機だ」と思ってね。そして第2作目が内藤誠監督の「酒中日記」(坪内祐三原作 小説現代連載中/3月21日 テアトル新宿 4/3まで21時~22時45分 公開)です。そして今度は、熊切(和嘉監督)君が「家畜人ヤプー」をやりたいと4年前から僕のところに来ているから。

-そこで、「家畜人ヤプー」の話になっていきます。諸々、最近の康さんの展開を拝見していて深読みすると、すべてはヤプーの映画化とその実現に向けた道筋づくりに集約されていくのかなと。

 密接に繋がっていきます。この間も、熊切君の出世作「鬼畜大宴会」(1998年)を改めて観たんですが、彼は十分にヤプーを映画化する素質を持っています。ただお金の問題はあって、今彼はパリに居ますけど、いずれにしても家畜人ヤプーとはかぎらず「私の作品に出てください」ということは、言われている。それもオレは出るつもりでいるし、俳優としても「オレの真価を問うてやる」と(笑)。

-「ヤプー」はどこまで進んでいますか?

 熊切君の話は大型予算で、数億のカネでやろうと思っている。そこにね、今、葉山陽一郎君という、日大芸術学部出のAVとかVシネマを撮る典型的な低予算映画を撮るベテラン監督が、急に「是非やらせてくれ」と申込んできた。それは僕もOKして、まずは低予算映画として一度実現させると。熊切君も「やってもらって結構です」と言ってくれてるんで、これは現実に、今年中に実現します。葉山君はね、「THE OSHIMA GANG」(2010年)という映画をつくったわけ。これは大島渚のドキュメントで、なかなか面白い。当時大問題になった。あと、「サル」(2003年)って非常に不気味な映画も撮っていてね、これは麿(赤児)の息子、大森南朋が主演してる。

休みの日は宇宙の果てを考える

-諸々楽しみです。ところで、今も企画が山積みでお忙しそうな康さんですが、お休みの日は何をされていますか?

 休みの日は寝て、宇宙の果てを考えていますね。

-何をされている時に一番幸せを感じますか?

 宇宙の果てが何かを考えています。究極の宇宙物理学、哲学の世界。僕には宇宙物理学の專門知識はないが、「哲学」がある。ホーキングもぶったまげる発表をするよ。

-ストレスはどのように解消されていますか?というか、そもそもストレスというものが、おありなんでしょうか?(笑)

 ただ寝てるだけ。ストレスはあんまりないね。

-また、最近の話題としては、やはり画家の金子國義さんが逝去されました。康さんとも親しくされていた金子さんですが、日本の美術界において、どのような存在でしたか?

 金子の最大の問題点は、彼が世に出たのは、今から約45年前、三島(由起夫)と澁澤(龍彦)が認めて、澁澤の本の表紙とかほとんど彼がやっていた。でもそれが美術評論家の反論をかっちゃって、それは三島も澁澤も文芸評論家であって、美術評論家じゃないよね。だから、死ぬまで美術界では彼は非常に不遇だった。それは例えば、横尾(忠則)君がグラフィック・デザイナーから絵描きに転換した時も、非常に冷たい眼で見られた。今やっと少し緩和されたけど、でも、美術評論家はあまり評価してない。そして金子君の、絵に関しても評論家は非常に厳しい見方をして、彼はその点について非常に欲求不満を持ってたんだけど、それが解消されないうちに亡くなっちゃった。彼とは放蕩無頼の生活を50年間共にして、新宿2丁目ゲイバーが二、三軒がオープンした頃、売春宿が終わった直後、西部開拓史ですよ。お互いに20代から、それが今や2丁目は世界的なゲイタウンになったけど(笑)。

-例えば、一緒に時代を過ごされた赤塚不二夫さん、若松孝二監督、赤瀬川原平さん、金子國義さんが逝去されました。時代の流れを感じますか?

 そうですね。唐(十郎)くらいだな、残ってるのは。昨日は金子の通夜だったんだけど、佐野史郎君も来たし、唐は病気で弔電うってきて、色んな人が来てたんだけど、でもお清めの場もセットされてなくて、みんなウロウロして帰っちゃって。最後は色々ありました。彼は非常に特異な画家ではあったけど、美術的にどう評価するか、それは難しいところがあった。最初に三島や澁澤に評価されたが故に、美術関係者の妬みをかってしまったというね。

-最後に、メルマガ読者に向けたメッセージをいただけますか。

 私のメルマガに注目してください。注目しないと、損をします。読まないことで、あなたの人生において大きく失われるものがあるでしょう。皆様の期待に、私は確実に答えます。それが何かは、僕が書くことを読んでもらえればよくわかりますよ。

 

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