日本という「死の商人」が、中国をも儲けさせるカラクリ

 

既にあちこちで書き散らしたようにグローバリゼーションとは、この世の最終権力を国民国家から多国籍大企業(グローバル・キャピタリズム)に移すプロセスである。多国籍企業とそれに連なる各国のエスタブリュッシュメントの利益を最大化したい。軍需産業ももちろんグローバリゼーションの一翼を担っていることは言うまでもない(ちなみに日本最大の軍需産業の担い手は三菱重工である)。グローバル・キャピタリズムの目的は、なるべく安い労働力を使って製品を作り、なるべく高く売りたい。そのためには、物や金の移動に関して障壁があるのは好ましくない。だからTPPも当然グローバリゼーション推進の装置なのだ。

グローバリゼーションにとって更に重要なのは、人口が増えることだ。人口が減少すると、労働力が不足して、賃金が高くなる。低賃金で労働者をこき使うためには、人口が減少しては困るのである。もう一つ重要な要因はエネルギーである。安価なエネルギーが供給されなくなると、物を簡単に運ぶことが難しくなるばかりでなく、農業や漁業といった第一次産業も不調になる。グローバリゼーションとそれを推進する権力は、ゆえに、金や太鼓を叩いて人口増を囃し、エネルギーの確保に血眼になっているのである。 人口増は一義的には食糧供給量の増大に比例するが、食糧供給量は食糧生産のために注ぎ込むエネルギー量に比例するため(肥料を作るにも、畑を耕すにも、魚を獲るにもエネルギーが必要である)、結果的に人口増は利用可能なエネルギー量の増大に比例するのである。その結果、最終的にグローバリゼーションもまた利用可能なエネルギー量の増大に依存し、という意味は裏を返せば、エネルギーが右肩上がりに増えていかなければ終わってしまう儚いシステムなのだ。

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池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋

著者/池田清彦(生物学者)
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