自己資本をチェックする
それでは最後に、東芝の自己資本はどうでしょうか?
東芝は老舗企業らしく、これまで大きく内部留保を積み立ててきています。利益剰余金の額は3,710億円に達しており、日立の1兆4,775億円には遠く及びませんが、シャープの984億円に比べれば、まだ余裕のある水準といえるでしょう。
また、自己資本比率を計算すると17.3%であり、日立の24.1%ほどではありませんが、シャープの12.3%よりは高い水準にあります。
自己資本部分も1兆円を超える水準にあり、余程巨額の赤字を計上しない限りは、債務超過に陥って経営が破綻する可能性は低いといえるでしょう。
このように、東芝の貸借対照表を分析する限りは、もちろん健全とは言い難い面もありますが、すぐに経営危機を迎えるような「瀕死の状態」に陥っているというわけではないようです。
不適切会計を二度と繰り返さないと反省し、大きな背伸びをしない経営に徹すれば、現状の体力で十分に再起は可能といえるのではないでしょうか。
今回は貸借対照表から東芝の経営状況を分析してきましたが、次回は損益計算書とキャッシュフローの観点から東芝の今後を占っていきたいと思います。
※ 実際に財務諸表を見ながら読むと理解も深まります。
今回のコラムに登場した3社の財務諸表は以下のサイトからダウンロードいただけますので、是非ともご活用下さい!
シャープ:平成28年3月期 第1四半期 決算短信
image by: Lucian Milasan / Shutterstock.com
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