記事に登場する民間研究機関の専門家らは次のように危機感を募らせます。
「派遣社員、正社員にかかわらずパソコンのスキルは必要で、パソコンの腕がないのは現代では貧困につながる。人生を豊かにするために技術を身につけてほしい」(東京都立川市で若者の就労支援を行うNPO法人「育て上げネット」の山本賢司理事)
「パソコンがないと社会で仕事ができないという意味を親が理解せず、子どもにパソコンを与えないことや、学校の授業がせいぜいワード、エクセルの初歩的な使い方にとどまり、応用的な使い方を教えていないことが背景にある」(日経BPイノベーションICT研究所の目次(めつぎ)康男主任研究員)
これを見れば、世界が注目するレベルのハッカーが日本から生まれない理由もわかろうというものです。
それだけではありません。社会問題となっている「子どもの貧困」にもつながる深刻な問題でもあります。
対策としては、「たとえば論文を発表させることで、ワード、エクセル、パワーポイントから、検索の仕方、著作権の問題など総合的にパソコンを使いこなせるようになる授業を提案する」(目次氏)といった取り組みがあるそうです。
自分の場合を振り返ってみても、初めてワープロのキーボードと出会った1985年9月、1週間以内にキーボードを見ないで入力できるブラインドタッチをできるようになろうと、年賀状の季節までに入力する必要があった600人分ほどの住所録の作成に取り組んだことがあります。
不思議なもので、悪戦苦闘の1週間が過ぎてみると、スピードこそ備わっていないものの、ちゃんとブラインドタッチで入力できるようになっているではありませんか。
中学、高校の段階で生徒にパソコンを使わずには済まない作業を与えることが、習熟に直結するのは間違いないところです。その点では、「必要は発明の母」と同じ発想で取り組むとよいのではないかと思います。
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『NEWSを疑え!』第437号より一部抜粋
著者/小川和久
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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