会社を解散、その理由とは
洋服のお直し会社を解散しました。その社名はArtfit(アートフィット)。芸術のように服を直しフィットさせる会社です。
旅行業アムネット、人材業アクタス、出版業アングルプレスが好調だったので、2006年に気軽にお直し業へ参入しました。
社員は3名。
アメリカでは日本のような丁寧なお直し屋がなく、OPEN後直ぐに、お客様も増えてきました。当時ヤンキースの松井秀喜選手もお客様でした。高級スーツを五番街で購入し、その足でいつもArtfitにお持ち込み頂きました。
アートフィットでも社員と夢を共有し、順風満帆でした。
しかし、そんな時期に…お店が火事になったのです。
原因は未だに不明なのです。全く火の気のないところから出火…、あるいは放火…、とにかく、消防署の見解も原因不明なのです。
この時、大きな失敗をしていることに気づきました。
賠償保険金額が少額!
起業でのリスクの甘さです。既存の3社が黒字なので、4社目のリスク管理が甘過ぎました。
明らかに賠償に必要な金額の保険に入ってなかったのです。
それと、責任者選任に関して、私の甘さです。
私が選任したArtfitの社長は社員としては優秀な人でしたが、経営者としては一年生だったのです。そんな事は百も承知な私だったのに…。
それなのに、すべてを任せ過ぎたのです。本当に私の管理監督ミスなのです。
その責任者は経費削減に良かれと思い、保険金を少額にしていたのです。その報告を適当に聴いていた私の責任なのです。
お客様には誠心誠意お詫びし、保険金以外で、約20万ドル(2000万円)を弁済しました。経営者として、これは猛反省した出来事です。
お金以上の問題もありました。お客様によっては形見の衣服もあったのです。その思い出までも焼失させてしまったのです。
社員はその辛さから、これ以上仕事ができなくなり、私は会社を倒産ではなく、「解散」させました。取引先への支払もすべて履行しました。
解散なので、弁護士費用をかけきっちとしました。費用は5000ドル前後だったと記憶しています。
倒産だと、未払いも帳消しになりますが、以前も言ったように、築いた信用も帳消しとなります。解散はしましたが、倒産させたことはありません。
起業において経費削減は大切ですが、必要な保険や労働基準法等の法律を順守しないと、倒産のリスクが高まります。
それと、油断にも注意してください。常に起業時の初心で!
image by:Shutterstock
『NY在住となりの起業家中川扶二夫「誰でもなれる海外起業家論」』
著者/中川扶二夫
日米での起業家。ノマドライフ家。29歳の時に単身ニューヨークへ渡り起業。現在では全米に6業種6社(20支店)を展開中。毎週水曜配信のメルマガには、起業やトラブル解決法などビジネスヒント満載です。
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