「国連軍役立たず論」はアメリカの陰謀というこれだけの証拠

 

1998年にコソボ紛争が勃発すると、これも、地上戦はほとんど終焉を迎えてセルビアが制圧したところで、米空軍主導NATO軍による、ユーゴスラビア全土への約80日間に及ぶ空爆作戦が敢行され、コソボ紛争は収まったことになる(実際には、空爆開始前にほぼ収まっていた)。

ユーゴスラビア空爆では、複数方向からのトマホーク巡航ミサイルの同一目標同時着弾や、中国大使館への誘導爆弾の同時着弾など、ハイテク高額兵器の実験場というか実戦見本市の場と化した。この2件の着弾は、カトケンも空爆下、現場でその瞬間を撮影していたので、軍事オタクとしては震えた。

その瞬間の写真 → 米軍空爆下の夜空 

PKO向けの軽車両は米国兵器メーカーが得意な分野ではなく、米軍が売りたいのは航空兵器やミサイルシステムなど、ハイテクで高価な兵器というかシステム全体だ。米軍の最先端兵器を世界の多くの国に買ってもらうためには、PKOに最適な軽武装軽装甲の装甲車両なんかで紛争解決をされてしまっては困る。

ユーゴスラビアへの空爆は1999年。圧倒的に優位な米空軍の威力が発揮された。そして、その後、ステルス戦闘爆撃機F-35の多数国による国際共同開発や、日本でも話題になったミサイル防衛システム(核弾頭弾道ミサイルを撃墜するシステム)やAWACS、アパッチ攻撃ヘリなど、米国製兵器ビジネスのオンパレードとなる。もはや、PKO的な軽武装な兵器装備なんて議論の場にも上がらなくなってしまった。

米国が、自国製の大型兵器、ハイテクシステムを売るために国連軍ダメダメ論をぶち上げ、国連軍が成果を上げてしまう直前に空爆作戦を敢行して「紛争の解決には、国連ではダメで、米軍様の出番が必要、米国製の兵器が必要」という世論誘導をしたなどという証拠は出てない。「戦争ビジネスで儲けてる悪人がいる」論を唱える反戦側言論人さんも、この流れのことは言わない。カトケンだけが目立たないように「なんか怪しいなあ」と言ってるだけですので、陰謀論嫌悪者な方は、いくらでも反論してください。

image by: Sadik Gulec / Shutterstock.com

 

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