台湾人少女に謝罪を強要。中国が致命的な墓穴を掘った台湾総統選

 

このような事態を招いた黄安に対しては、台湾はもちろん、逆効果になった中国からも批判が殺到しました。そもそも、黄安という人物は、常日頃から他者を陥れて自分だけが生き残るようなやり方をしてきたために、彼を擁護する人はほとんどいません。今回の騒動でも中国メディアは彼のことを好意的には評していません。

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台湾では現在でも、激しい黄安批判が各メディアで繰り広げられています。16才の才能ある少女を陥れた彼自身の代償は、台湾メディアからの締め出しやカラオケチェーン店から彼の楽曲の締め出しなど、完全無視です。

それにしても、かつて、これほどまでに台湾の人々が台湾独立の意志を示したことがあったでしょうか。

李登輝時代は、李登輝が台湾と大陸は別ものだとして人々を導いていました。今回は違います。蔡英文が人々に導かれたのです。それほどまでに台湾内には大陸寄りの政策に不満がありました。馬英九を支持した4年前、政府も国民も大陸との政治的軋轢を経済協力という名目でごまかそうとしました。

しかしその結果、台湾に不利なことばかりが続きました。多くの企業が大陸へ進出したことで、台湾内の失業率は上がり、大陸への投資が増え台湾内の経済は下降の一途をたどりました。そんな状況に嫌気がさし、現状を打破したいとの不満が積もり積もっていたのです。そのひとつが、2014年3月に起こった「ひまわり学生運動」なのです。

今回の立法委員選挙では、民進党の躍進はもちろん、ひまわり学生運動で活躍した人々が所属する「時代力量党」が5議席を獲得しました。日本もアメリカも、民進党の躍進を歓迎しています。

台湾が正常な民主主義政権に移行しようとしている一方、中国は停滞するばかりか逆行しています。この選挙後にも、中国は「九二共識(92年コンセンサス)」を強調し、あくまでも中国は1つだと主張しています。ある中国高官は、蔡英文が少しでも台独の気配を見せたら、多くの制裁を加えることも辞さないとまで言っているようです。

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そんな古臭い脅しに効果があるとでも思っているのでしょうか。台湾は、台湾自身のため、また世界へ貢献するためにも独自の道を邁進すべきです。蔡総統を全力で支持します。

台湾では、1996年度以降徐々に国政選挙制度が確立されていきました。しかし、「選挙分析」の大家で知られる中山大学の陳茂雄元大学教授は、国民党が選挙制度を牛耳るかぎり、いかなる野党も永遠に勝ち目はない、と断言していました。

国民党が勝手に選挙日時を決めて、他の候補者を撃退し、国民党以外の候補者に投票させないような姑息な手段を用いていたからです。不在者投票をさせなかったり、大学の期末試験の時間に投票時間をもってきたりと、嫌がらせのようなことばかりしてきました。

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