日産セレナ、サントリー、ライザップ…有名企業の商品コピーを手がけてきたヒットの仕掛け人、小西利行さん。彼のパフォーマンスを支えているのは「メモ」だそうです。今回の『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で紹介されているのは、そのヒットを支える「メモ術」を紹介した1冊です。
『すごいメモ。』小西利行・著 かんき出版
こんにちは、土井英司です。
ビジネスの成功要因は、さまざまありますが、多くの企業にとって「ヒット商品」は、間違いなくその筆頭に挙がると思います。大ヒット商品がひとつ作れれば、それだけで一生食っていける人もいる。もちろん簡単ではありませんが、それだけ価値があるものであれば、真剣に取り組むに越したことはないでしょう。
本日ご紹介する1冊は、ヒットを生み出す「メモ」の技術を、コピーライターの小西利行さんが指南した1冊。著者は、日産セレナの「モノより思い出。」のコピーや、サントリー「伊右衛門」「ザ・プレミアムモルツ」、ライザップなどのキャンペーンを仕掛けてきた人物で、埼玉県越谷市の「イオンレイクタウン」の開発にも携わっている「ヒットの仕掛け人」です。
本書は、タイトルのメモ術に加え、著者がどうやってヒットを仕掛けてきたのか、その詳細を知ることができる、興味深い内容です。
取りっぱなしのメモではなく、あくまで使うためのメモ。そこからどうやってアイデア発想すればヒット商品につながるか、いくつかヒントが示されています。
さっそく、エッセンスを見ていきましょう。
メモの本当の効果とは何か? それは「考えるきっかけ」をつくること
「焼かない」という言葉は、夏前に化粧品業界がこぞって使うもの。その言葉を使うことで、他の商品の広告との相乗効果が生まれ、この「焼かないTシャツ」は、夏の流行のひとつになりました。雑誌にも「焼かない商品」として取り上げられ、その年、そのUV対策Tシャツは130万枚を売り上げ、大ヒット商品となったのです
メモの欠点は、見返したときに混乱することです。だから「◯」を付けて、見るべきポイントを明確にする
◆3つのルール
1.一度のメモで、「◯」は3つまで
2.どこかに書いてあることには、「◯」を付けない
3.「?」と思ったことは、「◯」をしておく
小さな差別点を伝えるだけでは、結局、世の中の人の心には刺さらないし、広告としての話題も小さくなる
ただランダムにあった情報を「←」でつなぐと、情報の関係が明確になり、情報がすっきりして、理解しやすくなります。さらに、考える順序や目的がわかるようになるのでアイデアも考えやすくなる
「この狭い範囲で面白くしろ」というディレクションをする人は、とてもいい上司です
ハードルを設けて、それを超えることをルールにすると、アイデアの質は確実に向上します
帝国ホテルが社内向けに使い続けてきた「ハードル」があります。「さすが、帝国ホテル」。簡単すぎる言葉ですよね。でも実際に帝国ホテルでは、すべての従業員たちが、お客様から「さすが、帝国ホテル」と言われるようにと考え、行動しているのです
「ウイスキーを若者たちに飲んでもらおう」という無謀な目標に挑戦した人々がいました。それがサントリーの人たちです(中略)まず彼らは、ハイボールが本当に売れている状況を想像し、「若者たちがハイボールで乾杯し、楽しげに話している」ビジュアルをつくりました
不満を書けば、アイデアが見つかる
後半には、よい見出しを書く極意や、ベストセラータイトルの法則など、出版にも役立つ話が載っており、楽しく読むことができます。
なお、インタビューでは著者の友人だという伊坂幸太郎氏のメモ術も公開されており、ファンには気になる内容だと思います。
ヒットの仕掛け人の頭の中、ぜひのぞいてみてください。
image by: Shutterstock
『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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