豪華キャスト陣と三谷作品ならではのドタバタ劇が好評のNHK大河ドラマ『真田丸』。MAG2 NEWSではナワバリストと呼ばれる城郭研究家たちが、毎回のドラマをさらに楽しむためのワンポイント解説をお送りいたします。今回は、人前で口をほとんど口をきかなかったという上杉景勝にスポットをあて、その家系から景勝を演じる遠藤憲一さんのセリフ回しまで、その見どころをマニアックに解説します。口をきかないのに「セリフ回し」ってどういうこと!?
今週のワンポイント(2月7日)
今週の注目人物は、遠藤憲一さん演じる上杉景勝。景勝は、上杉謙信の姉と長尾政景との間に生まれた子で、謙信の甥にあたる。謙信の急死によって起きた御館の乱では、北条氏政の弟で 同じく謙信の養子となっていた景虎と後継者の座を争うこととなる。景勝は北条軍の介入を排除し、景虎を倒して越後国主となったわけだが、内乱の後遺症として、越後国内の各所に火種が残ることとなった。この乱に際して、武田勝頼は当初は北条氏政と同盟関係にあったことから景虎を支援していたが、途中から景勝支援にスイッチした。この結果、勝頼の妹の菊姫が景勝に嫁いでいる。
ところで、ドラマに出てくるマップ、越後北部で上杉家の勢力が途切れたような表示になっているのに気付いたかな?これは、有力国衆の新発田重家が織田方と結んで景勝に叛旗を翻していたため。織田軍が武田領内に侵攻した時、景勝は勝頼を助けるための兵を出した。しかし、こうした 事情もあってあまり積極的には動かず、結果的に勝頼を見殺しにする形となってしまった。
この景勝という人物、実際には人前でほとんど口をきかなかったらしい。これは口べたな性格というより、他人に本心を見せないための処世術だったようだ。もちろん、ドラマでは「……」というわけ にはいかないので(ゴルゴか!)、遠藤さんはちゃんとしゃべります(笑)。 ただ、このドラマでは、厳しい状況におかれた人間のタテマエとホンネ、表と裏も見どころの一つだと僕は思う。そんなことも踏まえながら、遠藤景勝のセリフに注目してみよう。 (西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
上杉景勝公、無言で本心を隠しても、お腹の音で空腹は見抜かれる…な〜んてこと、あったかもしれませんね。
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
今回も面白かった。前にも書いたけど、昌幸が「ウチ(真田)が生き残るのが何より最優先。天下?平和?なにそれおいしいの?」で一貫してて、忠も信もへったくれもないのはしみじみ愉快。そんな彼が「天下から戦をなくす」という話を聞いて「途方もない話じゃ」と反応したのもむべなるかな。#真田丸
— 神無月久音 (@k_hisane) 2016, 2月 7
で、ここで織田家臣である滝川様がまだ重要な情報を知らない、というなんとも悲劇的な。まだ、信長と夢見た世の中の夢の中にいる人。その夢がいかに偉大であったか、初めてその真意を真田が知ったんだね。もう、壊れた夢。知る者と知らざる者との時間軸の使い方うまいなあ。 #真田丸
— yopiko (@yopiko0412) 2016, 2月 7
信長と光秀のおっさんBLが終わったかと思ったら家康と本多忠勝が口についた米を食べ合う濃厚BL登場。大河の歴史を変えたいのか。 #真田丸
— ナスカの痴情ェ (@synfunk) 2016, 2月 7
三谷さんが「信繁が立ち会ってない場面はいくら歴史上重要でも軽く流すよ!(意訳)」って言ってて、信長信忠親子の最期はまさにその通りなんだけど、家康の伊賀越えはあえてねっちり描写するの、「怯え逃げ惑う家康」がこの物語で繰り返される重要なテーマの一つだからですよね。 #真田丸
— 空知 (@sorachiakira) 2016, 2月 7
伊賀じゃー!伊賀越えじゃー!#真田丸 pic.twitter.com/yck7vZGzSQ
— 窓の外@実況 (@madosotolive) 2016, 2月 7
真田丸の伊賀越えの家康が愉快な感じのようだが、実際に徳川家康という人は貴族の日記に「駕篭から落ちた」とか「乱酒して秀忠の所に押し掛けた」とか書き残されていて、面白みのある人だから。ちなみに、落ちて体を痛めた父の所に秀康がお見舞いに来てもいる。#真田丸
— アリノリ (@a_ri_no_ri) 2016, 2月 7
これ本当に大河ドラマですか…
情報が既に遅れちゃってる滝川を愚かな人には描かないんですよね。むしろ、水面下が激しく動いてる中、それが既に滅んだと知らない滝川こそが信長の理想の壮大さを素直に語れるポジションとなり、短い登場時間だった信長の描写に奥行きを与える。この痛みある優しさも三谷さん脚本らしいなと #真田丸
— 二塁 (@atohz_chiri) 2016, 2月 7
武田家、織田家に豊臣家と、傑出した当主の次世代で潰れる法則は、一代で成り上がった名物社長とその跡取り息子という形で、現代に続いていると思う。 #真田丸
— 子ヤギ牧場 (@koyagifarm) 2016, 2月 7
本能寺の変が発生してから人物毎に異なる時間の流れ方の差。この描き方が実に上手い。混乱する安土。必死で逃げる徳川ファミリー。次の手を考える昌幸。まだ主君の死を知らない一益。そして次回、最も流れに乗った羽柴秀吉が突然登場か。 #真田丸
— ちるきち (@chirukichi) 2016, 2月 7
真田丸は情報戦をしっかり描こうとしてるスタンスが凄く良いです
どの登場人物も完全な情報を握っているわけではなく、それぞれのカードで腹を探りあいながら、生き残りを図り利権をもぎ取ろうとしている。佐助や半蔵が序盤から活躍するのも、優秀な諜報要員がいかに大切かというメッセージ #真田丸— 袴田 (@kitahori_i) 2016, 2月 7