日本の出生率、10年前より徐々に回復傾向に

2016.02.16
by erihiro(まぐまぐ編集部)
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少子化問題と高齢化という大きな問題を抱える日本。2005年には合計特殊出生率(TFR)が1.26までに減少しましたが、実は近年これが回復しつつあることをご存じでしょうか。

緩やかにあがっている日本の出生率

「日本と出生率:この兆しはすぐに終わるのか、それとも始まったばかりなのか?」ー。

英字新聞ジャパン・タイムスが「2005年に合計特殊出生率が1.26までに下がったが、その後はゆるやかではあるが徐々に回復している」と日本の出生率が回復傾向にあることを説明しています。

この合計特殊出生率(TFR)とは一人の女性が一生に産む子供の平均数のことです。

中央情報局(CIA)のレポートによると、日本のTFRの2015年度の割合は1.40で、前年と比べると0.02減りますが、2005年の1.26からみるとあがりつつあります。

スクリーンショット 2016-02-16 12.32.36【図:日本の合計特殊出生率の推移 / 編集部作成】

海外のメディアではよく日本の出生率の低さが取り上げられていますが、日本よりも低いTFRの国は13カ国もいます。

先述のCIAのレポートでは、日本は224位中211位に入っており下から14番目。

下位5カ国には、シンガポール(0.81)、マカオ(0.94)、台湾(1.12)、香港(1.18)、韓国(1.25)がランクインしています。

しかも、女性の社会進出が著しいシンガポールやマカオは1にも満たない数字になっており、これには驚きです。

「日本の人口推移の現状を語るときに“悲惨な現状”という言葉が使われる。高齢化、セックスレスのカップル。そして、人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態)の2.1を下回る出生率に、出産時期の遅れなど。しかし、現状は改善傾向にある」とジャパン・タイムスが説明しているように、日本はゆるやかにですが回復傾向にあり、むしろ他のアジアの国々のほうが日本よりも深刻な状況にあることがわかります。

ちなみに上位5カ国はニジェール(6.76)、ブルンジ(6.09)、マリ(6.06)、ソマリア(5.99)、ウガンダ(5.89)。

上位と下位でアフリカとアジアに分かれているというところが、興味深い結果です。 

課題は山積み。移民か、それともロボット?

他の先進国の国々と比べても、日本だけが特殊な状況にあるわけではありません。

例えば、アメリカ(1.87)イギリス(1.89)ドイツ(1.44)など、他の高所得国は2.1を下回っています

一方、フランスやスウェーデンのような子供に優しい政策を取っているいくつかの先進国では、2以下になることはありません。

ファイナンシャル・タイムスは「日本の年間の出生率は上がっているように見えるが、大きな社会的な変化なしでは、人口置換水準に達するのは難しい」という見方をしています。

では、今後の日本はどうなっていくのでしょうか。

国連の報告によると、2045年〜2050年の間に、日本のTFRは1.8に増加するといわれています。

しかし、30年以上たっても人口置換水準を下回り、また2050年には15%も人口が減ると予測されています。

低い出生率は大きな問題ではありますが、日本はTFRの数値だけをみると回復の兆しにあります。

今後の日本の状況を見て、「これは時間がかかる。政治や文化は変化するが、人口は安定へ。その間に日本は大規模な移民を受け入れるかもしくは大量のロボットに頼るかのどちらかを選ぶことになる」とジャパン・タイムスは指摘しています。

世界のメディアでも日本の出生率の低さが取り上げられてきましたが、海外のユーザーからも様々な反応がでてきます。

「原因は週70時間の労働時間で忙しくて、子作りの時間が夫婦にないってことが関係しているんだよ。経済的なことも問題。25年間にわたる不況が若い世代に家族を持つという選択を奪っているのかも。女性を仕事場に送り込むことはTFR問題を解決しないと思う。会社のデイケアの支援や、すべての社会人に社会的な活動をするように法を課したりなどしないと、うまくいかないよ」 

「日本は心配することないよ。インドにはたくさんの労働力があるからね。インド人に労働ビザを許可してよ」

「ロボット化はすでにおきている。日本は将来に向けて、すでに移民受け入れをしないことを決めているよ。2015年に女性をもっと仕事場で活躍させることを発表したばっかりだし。労働力を女性、ロボットで補うつもりだよ」

「この記事を読んでいる限り、いつもメディアで言われているほど、日本の人口減少はそれほど悪くはないと思うんだけど。真剣になりすぎているジャーナリズムより、希望のある記事だよね」

「日本はこれからもっと移民を増やしていくだろう。欧州ほどではないにしても。でも、ロボットがあるか」

国連が出したデータにあるように、出生率は今後も緩やかに少しずつ上がり続けることが予測できますが、劇的に伸びることはないでしょう。

今後は、いかにフランスやスウェーデンなど子育ての対策を取っている国を見習うかが重要になってくるかもしれません。

image by: Shutterstock

source by: ジャパン・タイムス , ファイナンシャル・タイムス

文/MAG2 NEWS編集部

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