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あえて外す美学。Apple Watchで最も早くオシャレになる方法

前回、「腕時計の歴史の中で見た、ファッションアイテムとしてのApple Watch」についてレクチャーしてくださった現役メンズファッション専門のバイヤーのMBさん。第2弾の今回は、「AppleWatchのベルトの選び方」について語っていただきました。オシャレ感を作れるか、それともダサ男と呼ばれてしまうか…、ベルトチョイス、超重要です。

ベルトの選び方をファッション的にオススメ!

前回AppleWatchデザイン面、トレンドを踏まえた的確なデザインアプローチなどについて、時計流行の歴史を交えて語りましたが…今回はより具体的に「AppleWatchのベルトの選び方」を語ります。

Apple発のウェアラブル端末である「AppleWatch」。身につける最初のApple製品です。

Apple自身もこの商品をデジタルガジェットとだけ認識している訳ではなく、各国の名だたるファッション雑誌に広告露出を展開していることから、ファッション製品としても打ち出していることが理解できます。事実ラインナップに乗っているベルトはどれもファッション的な観点から優れたデザインのものばかり。さすがはデザイン界の大御所「マークニューソン」(がAppleWatchをデザインしたと言われています)です。

しかしいくら「どのベルトもカッコイイです」と言われたって、「実際に俺のファッションに合うベルトはどれなんだ!?」と迷う人もいらっしゃるでしょう。Appleの販売員もファッションに詳しい訳ではありません。どの組み合わせが顧客を最高にオシャレに見せるかという観点ではなかなか語れないでしょう。そこで今回はあなたが選ぶべきAppleWatchのベルトを教えます。

Appleの販売員は進化している?

先ほど「Appleの販売員はファッションに詳しい訳ではない」と書きましたが、もしかしたらこれは既に間違いかもしれません。実はAppleも「今までデジタルの接客をしていた人材が、急にファッションアイテムを販売できるのか?」という問題をよく把握しており顧客別のマニュアルを作成し販売員に徹底させていると聞きます。また、Appleはバーバリーやルイヴィトンなどのファッションブランドから人材を引き抜いたり、アパレル関連の販売員を求人したりとアパレルの接客に負けまいと本気の姿勢が伺えます。あなたの近くのApple Storeの販売員ももしかしたら既に「ファッション知識」を豊富に吸収してお店に立っているかもしれません。

しかしアパレルに長く従事している人間ならば誰しも理解できますが、「商品が売れるセールストーク」と「顧客をオシャレにするセールストーク」には大きな隔たりがあります。上述のAppleの販売マニュアルは既に社外に流出している様ですが、その一部にはこんなものがあります。

Appleから流出した販売マニュアル

(source: pcr-online.biz)

スザーナさんという仮想顧客に対するアプローチを考えさせるやり方。

このポップでカジュアルな服装をしている女性が自ら選んだのは、スポーツモデルの3種類。迷っている彼女に対してアドバイスをする様に求められるのですが、Appleのマニュアルでは「特定のモデルはオススメしない」という接客は基本的にしません。なので例えばスザーナさんが「ピンクのベルトがいいわ」と言えば販売員は「ピンクのベルトが何故良いのか」を喋りますが、「ピンクのベルトはやめたほうがいい」という内容は決して語りません。

これはアパレルの販売員も全てそうですが、手にとって気に入っているモノに対して「ダメです」は基本的に言いません。そりゃそうです、販売機会を逃してしまいますから。普通言いませんね。目的は顧客に気持ち良く買い物してもらい、満足頂くことのみです。「その方がオシャレかどうか」という視点とは微妙に異なる訳です。

>>次ページ メンズファッションで最も重要なものとは?

メンズのファッションは「バランス」が最も重要

では、誰にどんなベルトがオススメなのか? 利害関係のある販売員では、構造上正直には喋れません。…な訳でファッションバイヤー/ブロガーである私が紹介します。

私、MBの配信するメールマガジン『最も早くオシャレになる方法』でも度々語っていますが、ファッションは「バランス」で成り立っています。とりわけ街着のカジュアルファッションは「バランス」が最も重要です。私はこれを「ドレスとカジュアルのバランス」と表現しています。

「ドレス」とはスーツのこと。テーラードジャケットにスラックスに革靴を合わせた「スーツスタイル」のことです。「ドレス」はスラリと大人っぽくカッコイイですが、街着ではありません。ビジネスシーンやパーティーシーンにその活用は限られます。

一方「カジュアル」はリラックスウェアのこと。パーカーにデニムにスニーカーを合わせる等の「リラックスカジュアル」のことです。楽で着心地は良いですが、パーカーにデニムにスニーカーではなかなか「オシャレ」と感じさせることできません。

街着でのオシャレはこの両軸をバランスよく混ぜることが解です。例えばテーラードジャケットにデニムを合わせたりすると、「緊張感」のあるジャケットに「余裕」を感じるデニムが加わり、テーラードジャケットの格好良さ、緊張感が際立つ訳です。この「バランス」こそがメンズファッションの肝です。

さて、時計の話に戻ります。時計の選び方もこのバランスを意識すると良いでしょう。「時計」とは少ないスペースで個性を表現するものであり、この「バランス」が唯一解ではありません。…がファッションに自信がない、確たる指針がなく選ぶことに迷ってしまう…という人はこの「バランス」を意識することがオススメです。

AppleWatch ミラネーゼループ

(source: mygsm)

例えば「ミラネーゼループ」。輝きのあるラグジュアリーな雰囲気です。このチェーン状のミラネーゼベルトはApple独特のデザイン…と言うわけではなく、ヴィンテージ時計など1950年代あたりのモデルによく見られる形状です。一般的なコマ詰めのバンドよりもはるかに高級感があり、クラシカルな雰囲気を纏うことが出来ます。2011年にはBREITLINGが同社の名作時計「トランスオーシャン」の初代モデル復刻に使い時計業界内で大きな話題を集めたことも。この上なく「ドレス」な雰囲気に見えるベルトでしょう。

BREITLING トランスオーシャン

(source: webchronos)

一方でゴムの一種「フルオロエラストマー」を使ったスポーツバンドモデルは、誰がどう見てもスポーティーで「カジュアル」な雰囲気。いかに本体が同じデザインであってもベルト一つでかなり印象が変わります。

AppleWatch スポーツバンド

(source: オーケーマック)

前回の記事でも紹介しましたが、日本市場でも爆発的な人気を誇っている「ICEWATCH/アイスウォッチ」。こちらもラバー製バンド、スポーティーな印象です。AppleWatchのスポーツバンドモデルはこんな感じのミニマルなスポーツウォッチに印象としては近いかもしれませんね。

icewatch

(source: Jewelry Connection)

「バランス」を意識したベルト選びがオススメ

さて、では「ドレス」なミラネーゼバンド、「カジュアル」なスポーツバンド。どちらをどんな風に合わせるべきか。おそらく普通は「ドレスライクなスタイルにはミラネーゼバンドが良い」「カジュアルライクなスタイルにはスポーツバンドが良い」と思うでしょう。もちろんそれも良いですが…実は「逆の方がファッション的にはむしろ有り」とも言えます。

話を少し変えます。

大手セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」のドレス専門の販売員さんはスーツに「クロムハーツ」を着けていることが多いです。「クロムハーツ」に対して多くの人は「ゴツいアクセサリー」「バイカーさんがつけてる」など「カジュアルイメージ」が強いでしょう。「”ド”カジュアル」と言っても良いくらいです。普通デニムスタイルなどに着けるものですから。

クロムハーツ

(source: NOAVENUE)

しかしユナイテッドアローズでは販売員さんが「ドレス」の代表であるスーツを着ながら、「”ド”カジュアル」なクロムハーツを着けています。これは何も販売員さんの趣味嗜好ではなく、ユナイテッドアローズとしてのスタイルです。クリエイティブディレクターの栗野氏もスーツにクロムハーツを着ける事が多く、その「ミックス感」を楽しんでいる感があります。

これは上述の「メンズファッションはバランスが重要」という内容と同義です。「スーツにクロムハーツ」と同様の大胆なバランスの取り方は海外のストリートスナップなどでも多く見られます。

ロングコートにスニーカー

(source: 男前研究所)

例えばこちら。ドレスライクなウールのロングコート、細身のパンツなど、これで革靴を履いたら完全なドレスです。しかし足元を白スニーカーという「カジュアルアイテム」を入れることで街着としての「余裕」を与えています。この「緊張」と「余裕」の融合こそがファッションの最重要項目なのです。

もう一度AppleWatchに話を戻しましょう。

そういった観点から、「スポーツバンドをテーラードジャケットなどのスタイルに着ける」、「ミラネーゼループをTシャツスタイルに着ける」そういったミックスはオシャレにおいてはとても重要です。Tシャツにスポーツバンドを着けた姿を想像してみてください。随分と野暮ったく感じませんか? Tシャツにミラネーゼループを着けるから、カジュアルなTシャツスタイルに「緊張感」が生まれ色気が出るのです。テーラードジャケットにミラネーゼループでは「キメたスタイル」になりがちですが、スポーツバンドがチラリと袖元から覗くことで、「緊張感」のあるテーラードジャケットスタイルに程よい「余裕」が生まれるのです。

「たかが時計のバンドのことじゃないか」と思う人ももちろんいらっしゃるでしょう。でもせっかく買うならオシャレ感を作れる方が良いに決まっています。普段カッチリとした「ドレス」なスタイルが多い人はスポーツバンド、普段リラックスした「カジュアル」なスタイルが多い人はミラネーゼループ。そんなオシャレを意識した選び方はいかがでしょう。Appleの販売員も「良いですね!」と言いながら、「(普通の人と逆だなぁ…)」と意外に思うかもしれません。しかし「オシャレ」はそもそも「普通じゃない」ものです。他と違う行動が他と違う結果を生みます。勇気を出して他と違う選択を、バランスをとったチョイスをオススメします。

文/MB

source: apple

【最も早くオシャレになる方法】現役メンズバイヤーが伝える洋服の着こなし&コーディネート診断
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