MAG2 NEWS MENU

Syda Productions/Shutterstock

良い組織を生み出す鉄則は「真面目な人に損をさせない」という事実

組織の中に必ずいる「不真面目な人」。彼らの「改善」に気を取られているうちに、なぜかその組織全体がダメになってしまう――。実はこれ、学校のクラス運営でも同じことが起こるんだそうです。現役教師の松尾英明さんはメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の中で、「健全な集団づくりの鉄則」を上げてくださっているんですが…、不真面目な人間、とりあえず放置しておいていいらしいですよ!

鉄則は「真面目な人に損をさせない」

5月。学級の子どもとの関係も大分温まってきた頃である。一方で、学級でのトラブルも増えてくる時期である。遠慮がなくなり、子どもたちの本来の姿が現れてくるようである。

トラブルはチャンス。トラブルやピンチにこそ、成長の種が隠れている。

ところで、トラブルが起きると、それを起こした当事者に目が向く。その対応に追われる。当然である。放っておけない事態もある。

当然であるのだが、その対応中にも、真面目にやっている子どもがいる。トラブルがあった時にも、平時と同じようにきちんと行動してくれる子どもがいる。むしろ、担任がいないからこそ自分がしっかりしなきゃと進んで動いてくれる子どもがいる。それに追従してがんばってくれる子どもがいる。

ここを絶対に落とさない。以前にも何度も書いたが、大切なことなので繰り返し述べる。手のかかる子2割、普通以上によくやってくれる子2割、中間のどちらにも動く子6割である。この6割がどちらに引っ張られるかで、クラスの質が決まる。

よくやっている子どもを中心に声かけをすれば、6割はそっちに引っ張られる。最後の2割の子どもは、計8割となった真面目な子ども集団によってやがて引き上げられる。

>>次ページ 手のかかる子を中心に関わった結果は?

手のかかる子どもを中心に関わっていけば、6割もそっちに引っ張られる。よくやってくれるはずの2割の子どもは、不真面目な8割相手に馬鹿馬鹿しくなって、やがて真面目にやらなくなる。

様々な学級経営の方針があろうかと思う。私の学級経営の一貫した方針は「真面目な人に損をさせない」である。トラブルを起こす子どもになるべく「負の報酬」を与えない。たとえ厳しい叱責であっても、注目行為は子どもにとって報酬である(暴走族はその最もわかりやすい典型的行為である。注目されること命である)。

叱責の前に、きちんとやっている子どもを認め、感謝の念を伝える方を優先する。

繰り返す。真面目な人に損をさせない。不真面目な人は、「とりあえず」相手にしない。あくまで、とりあえず。相手にする優先順位は後回しである。なぜなら、きちんと並んで待っている真面目な人に先に対応すべきだからである。

お店を考えればわかる。例えば入場待ちで並んでいる列があるとする。入場するため、規則を守り、整然と並んで順番が来るのを待っている。そこに割り込みして先に見てもらおうとする人が入ってきた。そこを相手にして先に入れたら、真面目に並んでいた人が怒る。その怒りの矛先は、割り込んだ人というより、そこを認めて対応した店側にいく。当たり前である。

これは、社会全般に共通する、健全な集団づくりの鉄則であると思う。真面目な人に損をさせない。ここを外さなければ、大きく崩れることはないかと思われる「肝」の部分である。

「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術
著者/松尾英明
『まぐまぐ大賞2014[無料部門]教育・研究』の大賞受賞メルマガです。「教育を志事にする」を信条に、真に役立つ実践的な情報だけを厳選してお伝えします。教育関係者を中心に、子どもに関わる全ての方々に向けて発信します。
≪登録はこちら≫

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け