真田丸『第11話』解説。室賀氏が散った上田城は「名城」ではなかった!?

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 NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は、室賀氏の暗殺事件の舞台となった「上田城」について詳しく解説しています。名城のランキングで必ずと言ってよいほど上位に選ばれる「上田城」ですが、実はきらびやかな御殿などではなく、まぎれもない「軍事施設」だったようです。

今回のワンポイント解説(3月20日)

今回のお題は、ズバリ上田城。上田城は、名城のランキングモノにもれなく選ばれていて、人気がある。でも実は、城郭研究者の間ではあまり評価が高くない縄張りが平凡だからだ。それならなぜ、ランキングの上位に必ず入るかというと、企画を詰めてゆく段階で「人気のある城ははずせない」という「大人の事情」が介在してくるから。もっとも、徳川の大軍を二度にわたって撃退し歴史の重要な舞台となった、という意味では「名城」としてよいのかもしれないけれど…。

真田昌幸の上田城は、第二次上田合戦の後で廃城となり、しばらく後に新規に築かれたのが今の上田城。だから、昌幸時代の上田城の姿はよくわからないのだけれど、江戸時代に描かれた推定復元図みたいな絵図で見ても、四角く堀と土塁が回っているだけで、あまり強そうに見えない。

では、何でそんな城を海士淵に造ったのかというと、徳川軍の対上杉作戦基地として必要だったから。だから、兵員や物資の移動・集積に便利なように、北国街道と千曲川に近くて充分なスペースを確保できる場所を選んだ。家康としては、上杉軍に備えた徳川軍の作戦基地を造り、ふだんの守備を地元の国衆である真田に任せたつもり…だったはず。そうした意味で上田城は、縄張りは平凡だったとしても、警備の厳重な御殿なんかではなく、まぎれもない軍事施設だった。

ところで…ワンポイント解説の 5回目(2月7日)で、「このドラマでは、厳しい状況におかれた 人間のタテマエとホンネ表と裏も見どころの一つだと僕は思う。そんなことも踏まえながら、遠藤景勝のセリフに注目してみよう」と書いたんだけど、覚えているかな?この話を頭に入れておくと、次の回が楽しめると思うよ!(西股総生)

今週のワンポイントイラスト

全国のムロガ―(室賀正武ファン)の皆様には悲しみの回となった 11話。「黙れ小童!!」がもう聞けなくなると思うと…(泣)(みかめ)

 

文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)

ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組

 

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