出川最一氏が世界最高峰のクリエイティブスタッフと作り上げるブロードウェイミュージカル
新作ミュージカル「Trip of Love」の公演が、2015年10月18日よりブロードウェイにてスタートしました。
この作品は、なんと日本人プロデューサー出口最一氏が手掛けたミュージカル。
出口氏といえば、世界でロングランヒットを巻き起こしているオフ・ブロードウェイ「ブルーマン・グルーブ」を制作し、日本人で初めて「ニューヨーク商業演劇協会賞」を個人として受賞した凄腕プロデューサー。
そんな出口氏がトニー賞受賞の演出家や振付師、衣装デザイナーとタックを組み作り上げたのが、この「Trip of Love」です。
ブロードウェイ史上初!日本の大阪から、トライアウト公演がスタート
実は「Trip of Love」のトライアウト公演は、大阪からスタートしました。
トライアウト公演というのは、ニューヨークのブロードウェイで上演する前に、観客の反応を見る為に行う「地方公演」のこと。
その反応を見ながら、本番のブロードウェイ公演前に最終修正をしていくのです。
大阪は宝塚などショービジネスも盛んで目が肥え辛口な観客が多いことから、トライアウトの地として選ばれたそうですが、通常はシカゴなどアメリカ地方都市で行う為、日本で開催するというのは史上初。
そんなブロードウェイの歴史に残る初の大阪公演は大好評に終わったそうです。
であれば、この日本人プロデューサーによる日本発のミュージカルが、本場ニューヨークではどのような反応を受けるのか気になる所。
ということで、この目で確かめるべく観に行ってまいりました!
1960年代アメリカを舞台にした、新感覚ミュージカル
「Trip of Love」は観客席にいた女の子が舞台に吸い込まれ、1960年代アメリカをテーマにした不思議な世界で様々な経験をするというストーリー。
それをセリフなしで、ノンストップの歌とダンスのみで表現していきます。
今までにない新感覚のミュージカル、且つ色々な魅力が散りばめられた作品だったので、いくつか見所をご紹介していきます。
(1)お洒落な1960年代ファッションが、250着以上
衣装には特に力を入れたそうで、キャスト達は250着以上の衣装、60~80個のカツラ、100足以上の靴を次々と着こなしていきます。
シーンごとにカラフルでキュートなお洋服だったり、クールなロックテイストだったりと1960年代のお洒落なファッションがコロコロ変わるので、見ているだけで楽しめます。
(2)みんなが知っている定番ヒットソングが28曲
映画「ティファニーで朝食を」のサントラでも使用された「ムーン・リバー」や、ビートルズのナンバー、ボサノバの定番ソング「イパネマの娘」などなど。
誰しもが一度は聞いたことがある1960年代のヒットソングが28曲かかるので、中には体を揺らしながらノリノリで観劇していたお客さんもいたほど。英語が聞き取れなくても十分に楽しめます。
音楽は世界共通ですね。
(3)やはりブロードウェイ、ダンスと歌は超一流
ダンサーがキレキレでとにかくカッコイイ!
彼らのピタっと揃ったしなやかな動きは一見の価値アリです。
当時流行ったスイングやモンキーダンスなどの動きも一部取り入れているので、その辺りもお見逃しなく。
またどの歌手の歌も素晴らしかったけれど、私が特に注目したのが黒人歌手Anika Ellisさん。
彼女の力強くソウルフルな歌声は鳥肌モノでした。
(4)歴史やカルチャーを学べるストーリー
劇中では当時まだまだ差別があった黒人女性が夢を叶え成功を勝ちとるシーンや、ヒロインの恋人がベトナム戦争で戦い命を落とすシーンなどもありました。
このように歴史や当時流行った音楽、ファッションなどの文化をベースにストーリーが展開されていくので、1960年代アメリカの時代背景を学ぶことができます。
もし時間があれば事前に勉強してから鑑賞すると、ひと味もふた味も理解が深まるかもしれませんね。
クールジャパン、世界へ
以前、本紙「New York・ビズ」の取材にて「クールジャパンという言葉を、ソフトという知的産業でも確立させる挑戦がしたい」と話していた出口氏。
世界の中心で日本の作品を認められた時に、日本は「ハード」だけでなく「ソフト」でも勝負できるのだということを証明できる。
それをミュージカルで実現させたい。
彼のこのような姿勢は同じ日本人として、とても誇りに思いました。
そんな世界で挑戦している日本人がいるという事、そしてこの素晴らしいミュージカルを、もっと多くの人々に知ってもらいたい。
この原稿でそれが少しでも伝わるといいなぁと願いつつ、出口氏の今後のご活躍と「Trip of Love」の成功を心より応援しています。
【ライター・プロフィール】さめこ 青山学院大学フランス文学科を卒業後、IT企業にてWEB広告制作・メディア編集者として7年間勤務。プライベートではマクロビオティックやローフード、オーガニック料理ソムリエなどの資格を取得し料理教室を主宰していました。現在はニューヨークにてライターをしています。個人ブログ「さめこのニューヨーク通信」やinstagramでもNY情報を発信中。ブログはこちらから。
記事提供:ニューヨークビズ
『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』
著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」「ニューヨーク ビズ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事「ガチ!」を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
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