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自分の顔にコンプレックス。悩める女子高生に石田衣良がズバッと回答

石田衣良さんが親切にお悩みに答えてくれるメルマガ『石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」』。今回は自分のルックスにコンプレックスがある女子高生からのお悩み相談。ブスで根暗で自分が大嫌い…そんな自己嫌悪に陥っている彼女に 石田さんが送るアドバイスとは?

毎日が自己嫌悪の連続

Question

高校生女子です。自分が大嫌いです。私はブスで根暗なんです。

親からは「顔が悪いんだから明るくしてムードメーカーにならなきゃ」とは言われるのですが、小さなころから、まわりに「ブス」とか「きもい」といわれて明るくできますか? 無理しても空回りして失笑を買うのが落ちです。

自分でも周りにおびえすぎて挙動不審になっているのがわかり、毎日が自己嫌悪の連続です。勉強だけはとがんばっても中の上くらいがせいぜいで、運動も部活もだめ。もう何を楽しみに生きていけばいいのかわかりません

石田衣良さんの回答

すべての条件を考えたうえで、自己肯定をちゃんとしてあげるっていうのが大事なんじゃないかな。

親からも厳しいこと言われているけれど、でも人生って一瞬だよ。若い頃にどんなにきれいでも、しわくちゃのおばあちゃんになるっていう現実をちゃんと見て、もうちょっと揺れない世界観を持ったほうがいいと思うな。

生きてもたかだか100年。幸せな人でも不幸になることがある。ベッキーのようなかわいい子でもああいう目にあう。「禍福はあざなえる縄のごとし」で、あなたにも必ずいいときが来るから。つらいときこそ本当は、先人が悩んできたことを書いてある古典とか読むといいんだけどね。何でもいいんだけど、ローマの話だと男の社会の話になっちゃうからな。

一つ言えるのは、どんな美人でも必ず幸せになれるとは限らないってことだよね。

あなたは、顔がちょっとかわいければみんな幸せで普通に生きられるって思っているかもしれないけれど、そうではない。ぼくはこれまでに、いろんな女優さんに会って対談しましたけど、基本的に女の子で自分の顔が本当に大好きっていう人は1人もいないんですよ。

たとえば、柴咲コウさん。すごく目が大きくて、意思の強さを感じるじゃないですか。「目力がすごいね」って言ったら「いや、自分はそれがすごくいやで、嫌いなんだ」って言っていました。他にもいろんな子に会ったけど、やっぱりみんな自信がないんだよね。

どんなきれいな子でも必ずコンプレックスがあるんですよ。なので、完璧に自分自身が大好きな女の子は1人もいないんだっていうのを忘れないでほしいな。

今のあなたのままで基本的に大丈夫ですよ。無理やり明るくなることもないし、きれいになる必要もないです。その上で、「自分の幸せって何だろうな」「こういうふうに生まれたんだけど、自分はこれから何をして、どういうふうに生きていったらいいのかな」っていうことをゆっくり考えたらどうかな。

それに、どんな人にでも必ず好きになってくれる人が現れるんだよね。その人が完全に心を閉じて、すべての人をシャットオフしてなければ。

だって考えてみたらバブル期の未婚率って2%から4%なんだよ。だから相手のことをとやかく言わないで、「自分のことを好きになってくれる人が好き」って言えるのであれば、どんな人でも結婚できて子どもも作れるの。なので、「もう自分はだめだから」といって、外の世界を切り捨ててほしくはないんだよね。

顔の美醜なんて、時間が経てばどんどん変わってくるし、洋服のセンスを磨いたり、化粧をちゃんとしたりするだけで本当に見違えるようになるからね。女の子は化け方がいくらでもあるし、うまく自分をリードしながら、なるべく幸せな人生を送るっていうのがいいんじゃないかな。

今、空爆されたシリアの街を、ドローンで撮った映像がYouTubeとかVineにあがっているよね。ああいうのを見ると「あっ」て思うよ。今朝の新聞にも載っていたけど、トルコからゴムボートに乗ってギリシャとかイタリアに向った難民が、100人も200人も死んだっていうのがニュースになっていたんだよね。

もちろんそういう人と同じ条件とは言わないけれど、「ちょっと顔がかわいくないからって、絶望するだけでいいのかな」っていう気もするじゃないですか。なので、世の中を広く見た上で、女の子としての武器、ファッションや化粧を本気で勉強してみたらと言いたいですね。それと、ちゃんと君のことを好きになってくれる人が現れるから、だいじょうぶということは伝えておきたいな。

それに今、社会に出て何か仕事をして輝いている人って、必ず孤独な時期があって、自分なりの地獄めぐりをしてきているんだよね。そうでない人って伸びないんですよ。ただ条件に恵まれて、周りに与えられた仕事を淡々とこなしているだけではダメなので、今君が本物になれるかどうかの瀬戸際にいるんだと思って、踏ん張ってほしいな。

source: 石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」

image by: Shutterstock

 

石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」
著者:石田衣良
本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートの親密な相談……。
ぼくがおもしろいと感じるすべてを投げこめるネットの個人誌です。小説ありエッセイありトークありおまけに動画も配信。週末のリラックスタイムをひとりの小説家と過ごしてみませんか?メールお待ちしています。
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