言うまでもありませんね。会社が負けました。内部告発を理由とする差別的な取扱いは「禁止」されています。
内部告発というと会社にとってはある意味で「裏切り」と感じることがあるかも知れません。ただ、それは本当にそうか?
「会社にもっと良くなってほしい」という気持ちがあるからこそ社員はそれを正すために行動するのではないでしょうか。
この裁判例とは別になりますが、以前読んだ「しんがり」という本に山一證券のある元社員の話がでてきます。その元社員は、再就職先で役員の不正(タクシー代のカラ請求)を発見しそれを上層部に報告したことで、社内で干されてしまいました。
その不正を知った別の社員は「いいなあ、税金取られない小遣いが毎月入るんだ」とうらやましがっていたそうです。ただ、その山一の元社員は、そういった幹部の不正がやがて組織を大きくむしばんでいくことを身をもって経験しています。そこで、指摘すれば恨みを買ってトラブルになることは覚悟の上で、上層部に報告したのです。
さて、みなさんはこれをどのように考えるでしょうか?
私は、このような社員がいることはむしろ、会社にとって大きな財産だと思います。ただ、外部への通報によりその不正が大きく知られることは会社にとってはマイナスが多くあります。
外部に行く前に、それを社内で解決できることが、会社にとっても、社員にとっても望ましいのは言うまでもありません。そのためには、社内通報制度や相談窓口の設置などの整備を行っておくことが有効です。
会社と社員、一緒に良くなっていけるといいですね。
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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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